同棲し始めてすぐに

愛子さんが生理が来ないことを

心配し始めました

昇君には心当たりは十分ありましたが

このままの状態で二人に子供ができるなんて

考えもしていなかったし

自分には結婚して子供を持ってなんて

絶対に無理だと思いました

 

「ねぇ、どうしようか?」

 

「え~絶対に無理!

もしそうだったら、頼むから

病院行って!」

 

そんなことを冷たく言いました

愛子さんはすごく寂しそうな顔をしましたが

昇君にその気がないことはわかっていたし

そんなふうに昇君がダメな奴ってところに

惚れていましたから

もしできたら病院に行く覚悟はできていました

今、二人の赤ちゃんはできたとしても

育てられません

今、その時の事を思い出すと

自分が嫌な男で、愛子さんを深く傷つけたこと

そして、その愛子さんは

もういないこと

 

昇君は英君に話しながら

 

「結局、ちゃんと生理がきて

何事もなかったんだけどさ

今、思うとあの時子供ができていたら

愛子は死ななくてよかったのかもしれない」

 

そんなことをぽつりと言いました

英君はその話を聞きながら

 

「俺の彼女、できちゃってるんです」