愛子さんの失踪に関して

何も手ごたえを感じていない

帰りの電車の中

でも、昇君はこの旅を楽しいと思っていました

愛子さんを見つけたい気持ちはあるけれど

こうして、自分の前から姿を消したのです

もう、自分のことは好きじゃない

そのショックから毎日バイトに明け暮れながらも

立ち直れなかったのですが

弟のような典文君との旅は

新鮮でした

 

第一、旅自体がもう初めてだったし

愛子さんの実家の人たちの素朴で

優しい対応にも感激しました

 

サバ缶スーパーに戻って、みんなに

何の成果もなかったことを

典文君と話しながらも

こうして、何かの仲間の一員に慣れている自分に

居場所が見つかった気がしました

 

「そうかぁ、何も、成果なしかぁ」

 

いつだって典文君に期待している麻生店長は

少しがっかりはしていました

すると、最後にスマホの名刺の画面を見せられた

澄香さんが、何か考え込んでいます

 

「その事務所の名前。どっかで聞いたような・・・」