澄香さんは山吉さんから話は聞いたものの

二人が出かけていくのを不安なまなざしで

心配していました

二人で旅行に行くくらいならば

昇君は心もとないけれど

典文君が付いていれば大丈夫

そうは思うけれど、あのメモに関することを

二人で出かけて行って

いったいどういう意味か

調べられるのだろうか?

 

最近は帰り道にスーツ姿の省吾君が待っていて

 

「澄香さん!こんなところでパートとかやらせて

本当にごめんなさい

今の法律事務所、父の知り合いなんだけど

すごくいい人たちで

夫婦でやってるんですよ

二人とも弁護士で

あれって理想だなぁ

僕が父の事務所を継いだら

澄香さんも手伝ってくださいね」

 

そんなことを、勝手にほざいています

どういう思考をしたら

そこまで空想の世界で生きていけるんだろう?

 

「母さんならね

母さんなら僕に甘いから

きっと、澄香さんのことも

可愛がってくれますよ

母さん、優しいから安心して」

 

どうでもいい話だけれど

そんなご立派な家の奥様が

家の跡取り息子が二人の子持ち女と

結婚することに賛成するかしら?

 

「光ちゃんを預けている

『デュランダル』って幼児教室

調べましたよ

ゆくゆくは僕の子供になるんですから

変な安いとこだといけないって思って

びっくりしました~

東京のセレブがっ子供を預けたくて

順番待ちするくらい有名なんですね

めちゃくちゃ高いし

あの、僕出しましょうか?」