山吉さんからこっそり聞いた話は

今の麻生店長からは想像もできないほど

すごい話だった

 

「それでね、10年前くらいの数日間

風俗の可愛い女の子と過ごしたのよ~

もちろん、避妊とか無しでね

それで、麻生店長はいい思いだけして

ふらふら生きていたんだけど

いきなり典文君が現れて

『息子です』って話

まぁ、あの見た目だから

どう見たって麻生店長の息子よ

ママは病気で死んじゃっててね

なんか、世間でよく聞く悲惨な話よ

でも、世間でよく聞く悲惨な話じゃなくなったのは

典文君が天才だったことね

そして、麻生店長が年を取っていて

まともにそのことに対処できたってこと

家庭も持ってなかったしね」

 

「あの、典文君って

そんな環境で育ったんですか?」

 

「そう、ここに来るまでの環境は最悪

大人はみんな、母親が働いていた

風俗関係者!

でも、たぶんだけど、みんないい人だったんだよ

世の中の最下層でも清く正しく美しく

典文君を守ってくれる人たちはいたんだよ

仕事が風俗だって心は綺麗な人はいるんだね~」

 

澄香さんは頷きました

忠秀君と光ちゃんの母親

秋子さんだってそうです