ああ、やっぱり、背中しか見えてない男の人は

保品君なんだ

やはり、あの時・・・

保品君の言葉はもう一度蘇る

でも、夏美の幸せそうな顔

よかった!

そんなくそ親父、殺されて当然だ!

愛子さんは二人が幸せそうなことに

心からホッとして、店を出ました

 

部屋に帰ってみると

布団をひっかぶって昇君は震えていました

もう、どうしようもありません

 

「ねぇ、佳苗に会って来たけど

私の体なんてお金にならなかった」

 

その話を聞いて布団から顔を出すと

 

「そんなことまで考えてくれてたのか

本当に情けない男だよなぁ

ごめん、ほんとうにごめん

俺みたいな情けない男

お前にとっては不幸の種でしかないな」

 

そう言って、また、泣き始めます

 

「ねぇ、逃げようよ!

うちの田舎に二人で帰って

お米作ったり、畑仕事しよう

物凄い田舎だから

絶対にわかんないよ」

 

その言葉に昇君はぽつんと

 

「あいつら愛子の実家も知ってる」

 

え~何それ!怖い!もう、どうしてなのよ~

でも、昇君のこれまでの馬鹿さ加減を見ていたら

そのくらいペラペラしゃべりそうだ

 

「ねぇ、愛子・・二人で死のう」