「そ、その事故って

いつだったか正確な日付、わかる?」

 

急に真剣になった愛子さんをみんな不審に思いながらも

 

「あ、俺、家、近所だったから覚えてる

二月の最後の日!

朝、7時くらいじゃなかったかなぁ」

 

愛子さんの頭に、あのメモが浮かびました

2月28日、朝、七時半!

事故じゃなかったんじゃないか!?

でも、もう終わったことです

愛子さんはこれから佳苗と東京に行くんだし

新しい人生が待っています

別に、私には関係のないことだし・・・

 

今、高校を卒業してから10年以上たって

同じこのカフェで今張夏美が

斜め前の席に男の人と座って幸せそうに笑っている

男の人の後姿、左手の薬指

やっぱり旦那さんなんだろう

すると、そこに後から待ち合わせしたらしい

男女がやって来て

 

「夏美~お待たせ!

あ~そのネックレス素敵!

さすが弁護士様ね~

二人で弁護士事務所開いて

すごいって評判だよ~」

 

女の人がそう言って夏美に笑いかける

もう一人、やってきた男は

 

「やり手の保品に人情深い夏美さん

二人でタッグを組めば儲けまくるのは

当たり前だな!」