二人は仲よさそうに、テーブルに着くと

楽しそうに会話をしていました

 

中学の時の同級生

今張夏美だ

愛子さんの目はその女性のほうから離せません

そして、ここからでも見える結婚指輪

旦那さんかしら?

そうに決まっている

あの、幸せそうな笑顔

今張夏美のほうは

愛子さんには全く気が付いていません

彼女とは高校も別だったし

中学の頃のごく一時期、仲が良かった

いえ、ノートの貸し借りくらい

そのくらいの付き合いです

愛子さんに気付くはずもありません

でも、愛子さんには忘れられない

記憶があるのです

そして、今でも持っているノート・・・

 

中学三年生のもう、冬に近いころ

愛子さんは家から近い公立の高校に

行く予定でしたから、受験勉強もしていません

学年で成績が真ん中くらい

この成績なら落ちることもありません

同じ高校に行く仲間とのんびり過ごしていました

偏差値の高い所を狙っている子たちは

勉強一色、大変だなぁと眺めていました

そんな中で今張夏美は高校には行かない

そんな噂を聞いていました

成績は愛子さんと同じくらいでしたが

家がなんだか問題ありって感じでした

 

「ふ~ん、そうなんだ~

何か知らないけど、大変なんだね~」

 

そのくらいの認識でしかありませんでした