「そしてどうなったの?」

 

もう、破滅の道しか見えない

秋子がどんなに心が美しくても

そのペンキ屋はそれに答えられるような

まともな人間じゃないだろう

 

「すぐに男の子が生まれたの

彼は最初は一生懸命働いてくれたけど

でも、お友達がいるでしょう?!

その友達と遊ぶようになると

ギャンブルとかたくさんのお酒とか

家にはほとんどお金を入れなくなって

帰ってこなくなったの」

 

お友達がいるでしょう!

じゃないわ!

ロクでもない仲間たちに決まっている

どうせ、ギャンブルや酒だけじゃなく

薬だってやってただろう

帰ってこなくなったのは正解だけど

子供を育てながら中卒の秋子に何ができただろう

 

「何とかお弁当やの仕事にありつけて

そこはオーナーの奥さんがいい人で

忠秀の面倒を私が仕事をしている間

見ててくれたの」

 

ちょっと、曇った秋子の表情から

それは、その話ほど

いい人なんかじゃなかったのだろう

そう感じた

実際は面倒見るったって、狭い部屋に閉じ込めて

オムツも変えないで、泣かせっぱなし

でも、子供を見ているからって

お給料は半分

実際はそんなとこだったのだろう

 

「え!じゃ、光ちゃんにはお兄ちゃんがいるってこと?」