「山吉さん!お願い!

このことは言わないで!」

 

「言わないでって、誰に?」

 

「崎村さん」

 

「何言ってるの!

こういうことは二人の責任なのよ

一緒に決めていかなきゃ」

 

いちごは首を振って泣きながら

 

「崎村さんを苦しめるだけなんだもん

私も典文君の言葉、胸にしみてる

子供は産もうと思ってる

でも、崎村さんには言わない!」

 

山吉さんはいちごに心底、腹が立ちました

 

「子供は産む!それは良し!

でも、その子の幸せを考えたら

絶対に父親はいるわ!

ねぇ、いちごは世の中の不幸、底辺

何のために見てきたのよ」

 

いちごはその言葉に黙ってしまいました

すると、後ろから

麻生店長の声がしました

 

「金も要るぞ!

子育てって愛だけじゃダメなんだ

金が要るんだ」

 

いちごは小さな声で

 

「知ってる

お金なら持ってる」

 

そう答えました