え!いちごは典文君を見る

 

「そばによってちゃんと見なよ

左手の薬指、銀色の指輪、

あれって結婚指輪ってやつでしょ」

 

いちごは真っ赤になって

 

「別に、何ともないし

結婚ぐらいしてるでしょ

真面目で区役所勤務なんだし

私にとっては関係ないし」

 

そう典文君を見て痛々し気に

笑って見せます

典文君は冷たく

 

「でも、毎日、サバ缶スーパーに寄って

一人分の食材!

アジのフライ用の開きだって

いつだって一枚

これ、どういう事だろうね」

 

いちごはハッとします

ほんとだ、どういうことだろう?

でも、結婚指輪は間違いない

なんと言っても、注意深い典文君が

気が付いているのだ

それを聞いた山吉さんが

すぐに、店のほうに行くと

精肉のほうに行った彼を追っかけた

それとなく左手を見てみると

『あら、ほんと!指輪している!』

そう思って、フィッシュ課に帰ってきました