店では山吉さんと九谷君が待っていて

 

「店長、あんまりにも典文君に夢中になるあまりに

もう、帰ってこないかと思ったよ

田舎で子育てをしたほうが

典文君のためにいいとか言いそうでさ」

 

「いいなぁ、僕も大学受験失敗したら

典文君のおじさんのとこに行って暮らそうかなぁ」

 

麻生店長は首を振りながら

 

「いや、典文はこの東京で最高を目指すんだ

オグリキャップが笠松から中央に来たみたいにさ」

 

すると、山吉さんが

 

「そうだねぇ

でも、びっくりだよ

本物のエリートとか天才とかは金持ちの家からしか

生まれないって思ってたけどさ

周りの人たちが美しい心を持っていれば

どんな環境でも天才は生まれるんだねぇ」

 

麻生店長も本当にそう思いました

そして、これからも典文を大事にしようと

決心したのです

こんなさえない中年オヤジにまるで降ってわいたような

宝物なんですからね