園村君は初めてのデート

津川さんにいろいろアドバイスをもらって

めちゃくちゃおしゃれな服を買いに行った

そのついでに、もちろん、新しい下着も


待ち合わせた駅の改札

時透君は園村君がいつも着てほしい

そう思っていたブランドに身を固めていて

細身の高身長に似合いすぎる

メガネはしていない

時透君のメガネは度が入っていない

できるだけ自分を世間に晒さない

そんな思いでかけていたのは

園村君もよく知っている

もちろんマスクはしているけれど

もう、その姿に参ってしまいます

こんな幸せでいいのか


その日、一日

優しい時透君の眼差しを受けながら

もう、絶対、自分のこと好きに決まってるし

でも、このまま何もなくても

十分これから生きていける

そんなことまで思ったんです


園村君、すごく一途で真っ直ぐに

時透君が好きだったから


夕暮れの帰り道

すっと、時透君は

園村君の手を取ると


「湊、ごめん」


「え?!何?」