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真下君が移動して次が私か・・・・

ちょっと、きついかもな

真下君はなんたって25歳、

スーパーマーケットの鮮魚売り場の日々の仕事は

早さ!が結構勝負だったりする

定年を来年に控えた私には、まず、体力がない

昨年、ちょっと、大きな病気で二か月ほど入院したばかりでもある

それで、人事がこの小さな東京の片隅の店舗に私を配置したのだろうが

こう、人手不足だと仕事の量は増えるばかりだ

それなにの本社は社員は時間通り帰れ

休みを取れ、仕事はできるだけバイトやパートに落せ

しかし、スーパーの魚屋にはめったにバイトはこない

ここには前に真下君と一緒に仕事をしていたオバサンがいたそうだが

その人も真下君の移動の前に辞めたらしい

そのあと、人は入って来ない


仕事は、もう、三十年もやっているんだからお手の物だ

マネージャー、スーパーバイザー、バイヤー、だいたいやってきた

魚は好きだし、刺身だってスーパーとはいえちょっとしたものだと

自分では自負している

あと、一年やればこの仕事ともおさらばだ

そう、思うとこの店が私の最後の店舗になるのは確実だ


マネージャーの山谷君は入社したての頃私の下にいたから

いたって、仕事はしやすい

今までいた店舗にくらべると忙しいとはいえ

かなり小さな売り場なのだから

あと一年、好きな推理小説でも読みながら

のんびりやって行こう

そんなことを思いながら真下君からの引き継ぎをやる


「あ、別に目新しいことはないです。

星川さん、ベテランですからね

そういえば、星川さんの移動するところ必ず事件が起こるって

有名じゃないですか?

そういえば入院してる時にもなんかあったんでしょう?

警察を出し抜いて事件を解決したとか・・・・。

すごいですね」


真下君はもっと、大人しい人間だと聞いていたが

明るい。

まあ、25歳なんて楽しくて仕方ないころだしなぁ。