虹の橋のその先に小さな小屋があります

そこは虹の国と地上を繋ぐ「猫カフェ」今日も賑やかに営業しています

 

「虹の橋の猫カフェ」

 

カランカラン~♪
「いらっしゃいませ、あぁ予約の方ですね、奥で家族の方がお待ちですよ」
「こっち~こっち~、もう遅いじゃない」
「いろいろ準備があるんだよ」
「もぅ、待ちくたびれてササミドーナツ2つも食べたよ」
「わかったよフライド煮干し注文してやるから」
「マグロケーキがいい~」  
「はいはい、すみませ~ん、マグロケーキ1つとホットミルク」
「はぁ~い、かしこまりました」
店員猫はクスッと笑って急いで厨房へと向かいました
カラン~カラン~♪
「あっ、はぁ~い、いらっしゃいませ」
「あのう・・・」
そこにはキョロキョロ見渡す大きな黒い犬がドアから顔を半分のぞかせていました
「ここで猫に会えると聞いたんですが」
「はい、会えますよ、えっと・・会いたいのは、虹の町の猫?地上の猫?」
「地上の猫・・・・」
「では、そこの空色の電話をお使いください」
カウンターには空色の電話が置かれていました
不思議そうに見つめる黒い犬に
「あぁ・・・虹の町の猫は思いだけで予約できますが
   地上の猫はこの電話で会いたい猫のことを思って名前を呼ぶとお話しできますよ」
黒い犬は受話器をとって不安そうに言いました
「銀ちゃん・・・」
すると
「何?クロ兄?わぁ~い、何?何?」
懐かしい声が響いてきました
黒い犬はとまどいながら答えました
「今、虹の橋の猫カフェにいるんだけど・・・」
「・・・何?これ?電話?クロ兄さん?・・・いや私も貸して~、今俺だろ・・・」
電話の向こうでは、なんだか騒がしい声で盛り上がっています
慌てて、黒い犬は定員猫に尋ねました
「あのう・・・どうしたらいいんですか?」
「あら、あらたくさんの猫なのね地上に現れた電話のそばに空色の猫ドアがあると思うのだけど
 そのドアをくぐるだけでこちらに来れますよ」
「だそうです、銀ちゃん聞いてる?」
「へぇ~わかった、あっちょっと待っていて」
「うん、いいけど」
「すぐ行くから楽しみに待っていろよ~」
なんだかあっけにとられて呆然としている黒犬に定員猫はまたくすっと笑って
「こちらに座ってミルクでもお飲みください」
そういって席に案内しました
黒犬はゆっくり椅子に腰かけ、目の前に置かれたミルクを一口飲み
「相変わらずだな」と笑いをこらえながら口を押えました
奥では相変わらず先に来ていた猫と犬が賑やかに話す声が響いていました
それからどれくらいたったのでしょうか?
黒犬はもうミルクを飲みほしていました。
「遅いなぁ・・・」
そう思った時、カフェの空色の猫ドアがガタガタと音を立てだしました
「だから無理だって~」
「いやいや大丈夫だよ」
音はもっと大きくなってきました
慌てて店員猫が走ってきました
「どうしました?」
「猫ドアが・・・」
「すみませ~ん、扉の向こうの猫さ~ん、どうかしました?」
「あぁ~大丈夫です、ちょっとお土産が・・・よいしょ、よいしょ」
「きゃ~~~」
店員猫は大きな尻もちをついてしまいました
なんと空色の猫ドアから大きな魚の頭がにょきっと突き出て来たのです
「だから~無理って」
「大丈夫、そんなことより、もっと押して~」
そんな声が聞こえて来たかと思うと大きな魚と4匹の猫がゴロンゴロンと転がってきました
「よっ、クロ兄~お土産持って来たよ、虹の橋では若い元気な頃に戻るんだろ

クロ兄は昔さぁ,台所から魚盗んでいたんだろ、聞いてるぜ」
「あ・・・」
「あれ?あまり若くないね」
「あっ本当だ」
4匹の猫は黒い犬のまわりをグルグルまわりジロジロ、クンクン
「ああ、猫に会う時はあんまり若いとびっくりして怖がるから猫に合うちょうどいい年になるらしいよ」
「そうなんだ、でもよかった、少し怖いかなって思っていたんだ」
「じつは私も~」
「私も~」
床に転がった魚のことを忘れてはしゃぐ4匹の猫達に
ようやく立ち上がった店員猫は困ったように言いました
「あのう・・・魚」
「あっあげるよ、ケーキにでもしてみんなでわけて」
「あっ・・ありがとう、準備しますね、それまでホットミルクでもどうですか?」
「うん、あっ,, ぬるめでね」
「ここは猫カフェ、いつでもぬるめですよ」
「そりゃ~そうだ、アハハ」
なんとも店の中は賑やかに笑い声であふれていました
カラン~カラン~♪
「あっお客様」

「ようこそ虹の橋の猫カフェへ、お会いになりたいのは地上の猫ちゃん?虹の町の猫ちゃん?」


*****あとがき*****

仲の良かった猫ちゃんとワンちゃん最後の時を迎え虹の橋に旅立ち

http://www.neko-jirushi.com/user_home/diary/diary_detail-99098-34483.html

そしてその思い出がいつまでも続くことを思って書きました