「びっちゃ~ん カニカマ食べるぅ~」

1匹の子猫が駆け寄って来た

その後を花びらがヒラヒラとついて来て

止まった時ひらりと回転して

子猫の鼻の頭にピタッと乗っかった

「あら、桜の花びら、どこから入ったのかしら」

子猫を抱き上げ窓の外を見た

外は春一番が吹いて

桜の花びらが空高く舞っていた

「びっちゃん、春一番だよ、また1年いろんなことが始まるんだよ」

ぴっちゃんはクルクル回る花びらを見て目を回した

「あらら、びっちゃん大丈夫、もっと大きくなったらもっと長くみれるかな」

そんな初めての春一番から5年目の春

びっちゃんは朝から鼻をクンクンして耳をピーンとさせてウロウロしている

「ママは何処?、また春一番が吹くよ、今年はもっと長く見れるよ、ねぇママ~」

一生懸命鳴いて探していたのだ

しかし飼い主の姿はどこにもなかった

やがて桜は散り雨が降り続き

家にいろんな人が入って来て騒がしい日が続いていった

「ママがいない、僕はどこに居たらいいの・・・」

びっちゃんはだんだんと怖くなって部屋の片隅で縮こまった

「びっちゃんカニカマ食べる?」

「ママ?」

びっちゃんはハッとして見上げた

優しい声・・でも違う・・・

「びちゃん行こうか」」

すっと伸びてきた手にビクンとしてびっちゃんは目を閉じた

「怖いよ、ママ助けて」

すると懐かしい声が響いてきた

 

びっちゃんごめんね 一緒に春一番見れなかったね

でもね、これからも舞い上がるきれいな花びらをたくさん見れるわ

そして、愛してくれるたくさんの家族に出会うわ

怒ったり、泣いたり、笑ったり、たくさんの思い出に包まれる

びっちゃんの居場所は消えることはないわ

だから怖がらないで

びっちゃん目を開けてごらん

 

目を開けたその先には心配そうに見つめる顔

びっちゃんはその顔をペロっと舐めた

「大丈夫だからね、怖くないからね」

「怖くないよ、わくわくしてるよ

なんだか僕の新しい居場所は

賑やかそうな匂いがしているから」

抱き上げられたその腕の中で鼻をうずめて言った


 

 

 

あとがき

いつ別れが来るかわからない

でも最後のその時まで愛する人が

愛される居場所があることの幸せ

びっちゃんは幸せだったね

桜の似合うイケメンでした

びっちゃん。。。。 - にゃるるさんの猫ブログ - ネコジルシ (neko-jirushi.com)

 

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2011年の凍えるような地震の時期から夏を過ぎ

また寒い冬が来ようとしていた

猫になった見習い死神は今はどうしているのか?

 

 

第二章「見習い死神が土になる日」

 

寒い冬の終わりに起きた東北地震から

暑い夏が過ぎまた寒い冬が近づいてきたころ

にゃんは1匹の猫に出会った

「君、いつもここにいるね」

汚れて痩せた白猫は怯えて木の陰に隠れた

「僕はにゃん、君のことを知りたいな」

顔を出した白猫は泣きながら

「私のこと怖くない、私ね兄弟を食べたの

お兄ちゃんと弟と三匹で仲良く暮らしていたのに

地震で閉じ込められて食べるものもなくて

弱かった弟が死んで・・・怖いでしょ」

「怖くないよ、よく頑張ったね」

白猫は木の陰から出てきて

「お兄ちゃんがね生きる為に食べろて

きっと飼い主は迎えに来るって

でも来なくて、

また大きな揺れが来て窓ガラスが割れてようやく外に出られたの」

「お兄ちゃんは?」

「最初の大きな揺れの時に大きなケガをして

だから弟の前に死んだの

だからね・・・

最初に食べたのはお兄ちゃんなの」

白猫は言い終わるとまた木の陰に隠れて泣いた

「いいお兄ちゃんだったね、弟くんも出られると良かったのに

残念だったね、でもさ、お兄ちゃんも弟くんも喜んでいるよ」

にゃんはそう言いながら木の陰でうずくまっている白猫の頭を撫でた

「本当に」

「あぁ生きてくれてありがとうってね」

しばらく2匹はただ黙って座っていました

 

「ねぇ君の名は」

「みい」

「みい・・・飼い主は小さな女の子?」

「ううんy、違うけど・・・」

「そっかぁ・・・でもきっと君の飼い主も待っているよ

それより、外に出てからどうしていたの?」

「この先の小屋に人間がご飯を持ってくるの、それを待って過ごしていたの」

「そっかぁ優しい人間に出会えたんだね」

にゃんは空を見上げてほほ笑んだ

「なぁ、みい一緒にいていいかい」

「うん」

二匹は赤く染まった森を見ながら寄り添いました

それからあっという間に月日は流れ

季節は変わり辺りは雪景色となっていきました

 

「にゃん今日の雪はすごいね」

「あぁ人間もなかなか来れないかもしれないね」

「早く春が来ないかな」

「・・・」

にゃんはみいとの生活が楽しかった

その反面

次の春までに動物たちが救われなかったら

土になる運命のにゃんは春が来るのが怖かった

 

「どうしたの?にゃん」

「いや、なんでもない、なぁ、みい」

「何?」

「そろそろ人間に捕まってみないか?もうそろそろ順番じゃないかな」

ケガをした動物や弱っている動物は少しづつ保護されていた

でもあまりに多くてなかなか保護される順番が回ってこなかった

「そうだね、にゃん一緒に行こうね」

「あぁ・・・」

 

やがて雪が溶けはじめるころ

たくさんの植物が芽を出してきた

「わぁ~可愛い、見てにゃん、もう春だね」

「うん」

 

とうとう約束の時が来た

にゃんは丘の木のたもとに座り込んでいた

猫になって1年悲しさも悔しさも優しさ

いろんなことがあったなぁ

とうとう人は置き去りの動物を救えなかった

もう時間がない

せめて・・みいだけでも救いたい

最近は僕の後ろにばかり隠れてる

他の子もそうだ、

長いこんな生活、不安で怯える子が多い

少しでも少しでも・・・

にゃんは立ち上がって叫んだ

「ねぇ神様、最後に僕のお願いを聞いて

後少し、少しでもいい、命を救って」

そして

にゃんは木を駆け上がっててっぺんに立ち

「見つけておくれ、小さな命を見つけておくれ」

そう言って飛び立った

それと同時に強い風が吹いた

強い風は隠れていた動物を人間の前に吹き飛ばした

そして

にゃんの体は砂のように砕けて大地に降り注いだ

「ねぇ~にゃん~どこどこ~」

「よく頑張ったね、もう大丈夫だよ」

「にゃんは?にゃんも一緒に行くって言ったじゃん!にゃん~」

 

春一番の風が吹いた日、多くの動物が救われた

それでも避難区域は人が入れない見えない悲しみの大地のままだった

ただ・・・

悲しみの大地に新しい芽が大きく葉を広げていました

 

 

あとがき

進まぬ動物救済放置される動物達

人が入れない地域で

道路の真ん中に

動物の糞から芽が出ている写真を見たとき

放置される世界の時間の長さを感じました

私自身も春一番の風には強い思いがあり

癌と戦った叔母の葬式が春一番の風の中

最後まで笑顔で生きることを

教えてくれた叔母らしい、忘れないでの叫びと思っていたことに

重なって思え書いた話でした

実際、突風でケガした子や出てきた子が保護されていました

長い1年 そして今10年

忘れてはいけないたくさんのあやまち

そして忘れてはいけない優しい気持ち

改めて考えてほしい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たぶん2013年に書いた話の書き起こし

書いていたサイトが無くなりはっきりわからないが

コピーした紙が出てきたのですが

当時の思いが強すぎてだいぶ書き直しました

当時は動物問題も荒れた・・

いやようやくいろんな愛護の声が上がってきた時でした

2010年に毛布支援を知り、それからいろんなボランティアを知りました

そして東北地震があり放射能での地獄絵図

この話を書いた時は被災動物と地域動物‥悪徳ブリーダーにショップ

たくさんの動物が利益に使われいらない、邪魔で排除人の愚かさが蔓延していました

支援を求めるために被災動物をだけを引き取る人もいました

詐欺もありました、反面、信念をもって すべてを捨て被災動物と共に生きる人

逆に目の前の命、地域動物を救うという人もいました

残酷な死を迎える姿がフラッシュバック、人の愚かさに精神もパニックの中で

病気も重なっていた頃、それでも知ってほしいと書いた話

あれから、月日が経ち400頭の犬は山を出て、おじさんも亡くなったが

多くの命が救われた、このことは絆による奇跡だと思います

 

本当にたくさんの関わった人達にも感謝します

山梨県・犬の多頭飼育問題 (fc2.com)

 

 

 

首輪を夢見た犬 第一章 初めて見た光 | 毛玉の物語 (ameblo.jp)

 

首輪に夢みた犬 第二章 生まれた場所 命が消えた場所 | 毛玉の物語 (ameblo.jp)

 

首輪を夢見た犬 第三章 出会い | 毛玉の物語 (ameblo.jp)

 

首輪を夢見た犬 第四章1 丘の大きな木 | 毛玉の物語 (ameblo.jp)

 

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首輪を夢見た犬 第六章 別れ | 毛玉の物語 (ameblo.jp)

 

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首輪を夢見た犬 第八章1 灯り  | 毛玉の物語 (ameblo.jp)

 

首輪を夢見た犬 第八章2 毛布  | 毛玉の物語 (ameblo.jp)

 

 

 

 

 

 

最終章 毛布

 

「クロ、昨日さぁ夜なのに小屋が明るかったでしょ」

「お月様が落っこちたのかな?」

「違うよ、ケンが言っていたよ、人間は夜でも明るくできる電気を持っているって」

「すごいな!」

「うん、だから暗くなっても飼い主の顔がよく見えるって」

「じゃあ、今夜、あのおじさんの顔を見に行こうぜ」

「うん」

チビとクロはそわそわと夜を待ちました

「あっ、小屋が明るくなったぞ」

二匹はそっと小屋の前まで行き

戸の隙間から中を覗こうとしました

「クロ・・なんだか美味しい匂いが・・・」「本当だ」

二匹は小屋の中を見るより先に鼻先が小屋の中に入ってしまいました

「おお、来たのかいおチビさん」

おじさんは手招きして「チビ、チビ」と呼びました

「チビ・・・僕の名」

チビはケンに呼ばれるような気持ちになっておじさんに近づきました

「今日は寒いしここに居たらいい、ご飯も食べたらいい」

頭を撫でられて、腰が抜けたようにペタンと座りました

「チビ大丈夫か・・・」

「クロ・・なんだか気持ちがいいんだよ」

「おい、そこの真っ黒くろすけ、もこっちに来い」

「真っ黒・・・」

「なんでそんなに汚れるんだ

夜だと見えないな、よっ!黒ん坊クロ

お前も早くこっちに来い」

「クロ‥なんで僕の名を知ってるの、ケンがrつけてくれた名前・・」

クロもフラフラとおじさんの元へ行きました

二匹は頭を撫でてもらいご飯ももらいました

「ねぇ、クロ、おじさんってケンみたい」

「そうだな」

「心配できてくれたのかな」

「そうじゃ、あれを持ってこないと」

おじさんは立ち上がって

部屋の隅に山積みになっている

ダンボールから毛布を取り出した

「これはな、お前達に頑張れってたくさんの人が送ってくれた毛布じゃ、良かったな」 

ふわっと掛けられて毛布は

優しく2匹を包み込みました

「ケン温かいよ、これが毛布なんだね」

チビは喜んで毛布に頬ずりしては転がっていましたが

急に毛布を咥えて外に駆け出しました

「おい、何処に行くんじゃ」

チビの後をクロとおじさんが追いかけました

そして丘の上の大きな木の下に

毛布をかけて座るチビがいました

追いつて来たクロにチビが言いました

「クロ、ママと兄弟とケンに毛布かけてあげたよ、もう寒くないよね」

ようやく追いついてきたおじさんは

懐中電灯で照らして驚きました

木の根元にはたくさんの骨が

同じ方向を向いて並んでいました

「お前の母さんもいるのか‥

じゃその毛布はあげよう」

おじさんは手を合わせて小屋に戻って行きました 

次の日、おじさんは大きな穴を掘って骨を埋めてお墓を作りました

毛布は汚れないように木に巻きつけました

「長い間、頑張ったな、その分

チビもクロも幸せになってもらわんとな、さぁチビクロこっちに来い」

そう言うと2匹に首輪をつけました

「クロ、首輪だね」

「なんか緊張するな」

「これか愛された印なんだよね」 「愛されるだろ、愛されたじゃダメ」

「なんだお前達、首輪したことあるのか?」

嫌がらないチビとクロにおじさんは不思議そうにしながらも

「賢いなぁ、すぐに飼い主が見つかるぞ」

と言ってまた頭を撫でました 

「さて散歩に行こうか」

「散歩」

「この首輪のおかげでこれからは

いろんな所で守ってもらえるぞ

いや‥守ってあげないとな」

「おじさん、あのね、僕、人間すきだよ」

「俺も」

冷たい風が木々を揺らす中

2匹とおじさんは

なんだか春が来るような気分の

寒い冬の昼下がりの出来事でした