表参道のTOBICHで、「星野道夫の100枚」展
が、今日最終日でした。
「テーブル大の巨大ライトボックスを用意し、その上に、星野さんが撮影した「35mmフィルム」を100枚ならべて、ご来場のみなさまには、ルーペを使って、1点1点、作品と1対1で向き合うように、ご観覧いただくという趣向。」
の写真展。
最終日だからか、来場者が多いので、整理券が配られ、決められた時間の中で観る形でした。
一点ずつゆっくり心ゆくまで観る、というわけにはいきませんでしたが、小さなフィルムをのぞきこむ、片目で観る行為が、「星野さんがカメラのファインダーを覗いた時に、こんな世界が広がっていたのかも」と想像したり、
額装がないため、顔を上げたら360度アラスカの景色が繋がっているんじゃないだろうか、と、ルーペをのぞくたびに妄想できる、素晴らしい展示でした。
時々ユーモラスな動物達の表情。
凍えてツーン痛みがするほどの寒さを想像してみる。
一瞬一瞬が、その時だけにしか、目にすることができない景色だったり、動物の表情やしぐさ。
数多く撮られた写真の中で、作品として残されたものは、星野道夫さんが、大切で忘れられない光景なのだと思いました。
書いていたら、ふいに思い出した。
私が直接見た、忘れられない光景がある。
小学校6年生くらいのある冬の朝。
夜雪が降った翌日の早朝、
東から昇る太陽の光が、
雪で真っ白になった西の山にあたり、
全て金色に輝いていた光景。
すばらしいく、美しかった。
そして日が昇ってくると、
一瞬に金色は消えてしまう。
子ども心に、この一瞬はもう二度と同じものは見られないと感じて、じっと心に焼き付けた記憶がある。ひとりで。
同じような雪の翌朝には、起きて外をみることを繰り返しても、同じ金色の光景は見ることができなかった。
あの金色の雪の山は、
今でも私の中にくっきりと残っており、冬の日にこっそり思い出してみる大切な記憶。
私の記憶の中にある風景は、取り出せないけれど。
雪のホッキョクグマや、アラスカの山々が写った写真をみて、私の記憶の中の風景を思い出しました。
アラスカの大切な記憶の写真を、残してくれた星野さんに、ありがとうを伝えたくなりました。


