将棋の藤井聡太七冠がまたまた偉業達成です!

 

本日8月28日、王位戦七番勝負の第5局に藤井王位が挑戦者の渡辺明九段に勝利し、4勝1敗で王位戦5連覇を達成しました。おめでとうございます!この勝利で藤井王位は永世王位の称号資格を獲得しました。史上最年少の二冠達成とのことです。

 

6月の叡王戦では伊藤匠七段に敗れてタイトル戦23戦目にして初の敗退で八冠から七冠に後退した藤井さんですが、7月には棋聖戦に勝利して史上最年少の永世称号となる永世棋聖資格を獲得し、8月には早くも二冠達成ですから、叡王戦の敗退を決して引きずることなく、実績を積み上げつづけています。

 

実際に永世称号を名乗るのは原則として引退してからですから、きっと何十年も先のことになると思われますが、その間に永世称号の数も増やしていくことでしょう。羽生九段の永世七冠を超える日がいつか来るのかもしれません。

 

        永世王位を獲得した藤井聡太七冠(Yahooニュースより)

 

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藤井聡太竜王・名人(七冠)のタイトル戦全記録】

★2020年度

①第91期棋聖戦 ○○●○ 3勝1敗 奪取 相手:渡辺明棋聖 ⇒初冠

②第61期王位戦 ○○○○ 4勝0敗 奪取 相手:木村一基王位 ⇒二冠

★2021年度

③第92期棋聖戦 ○○○   3勝0敗 防衛 相手:渡辺明名人

④第62期王位戦 ●○○○○ 4勝1敗 防衛 相手:豊島将之竜王

⑤第6期叡王戦 ○●○●○ 3勝2敗 奪取 相手:豊島将之叡王 ⇒三冠

⑥第34期竜王戦 ○○○○ 4勝0敗 奪取 相手:豊島将之竜王 ⇒四冠

⑦第71期王将戦 ○○○○ 4勝0敗 奪取 相手:渡辺明王将 ⇒五冠

★2022年度

⑧第7期叡王戦 ○○○    3勝0敗 防衛 相手:出口若武六段

⑨第93期棋聖戦 ●○○○  3勝1敗 防衛 相手:永瀬拓矢王座

⑩第63期王位戦 ●○○○○ 4勝1敗 防衛 相手:豊島将之九段

⑪第35期竜王戦 ●○○○●○ 4勝2敗 防衛 相手:広瀬章人八段

⑫第72期王将戦 ○●○●○○ 4勝2敗 防衛 相手:羽生善治九段

⑬第48期棋王戦 ○○●○  3勝1敗 奪取 相手:渡辺明棋王 ⇒六冠

★2023年度

⑭第8期叡王戦 ○●○○  3勝1敗 防衛 相手:菅井竜也八段

⑮第81期名人戦 ○○●○○ 4勝1敗 奪取 相手:渡辺明名人 ⇒七冠

⑯第94期棋聖戦 ○●○○  3勝1敗 防衛 相手:佐々木大地七段

⑰第64期王位戦 ○○○●○  4勝1敗 防衛 相手:佐々木大地七段

⑱第71期王座戦 ●○○○  3勝1敗 奪取 相手:永瀬拓矢王座 ⇒八冠

⑲第36期竜王戦 ○○○○ 4勝0敗 防衛 相手:伊藤匠七段

⑳第73期王将戦 ○○○○ 4勝0敗 防衛 相手:菅井竜也八段

㉑第49期棋王戦 △○○○○ 4勝0敗1持 防衛 相手:伊藤匠七段

※△は持将棋による引き分け

★2024年度

㉒第82期名人戦 ○○○●○ 4勝1敗 防衛 相手:豊島将之九段

㉓第9期叡王戦 ○●●○● 2勝3敗 失冠 相手:伊藤匠七段 ⇒七冠

㉔第95期棋聖戦 ○○○  3勝0敗 防衛 相手:山崎隆之八段 ⇒永世初冠

㉕第65期王位戦 ○●○○○ 4勝1敗 防衛 相手:渡辺明九段 ⇒永世二冠

 

 

タイトル棋戦成績 25棋戦24勝1敗 勝率.960

タイトル戦対局成績 88勝21敗1持 勝率.807

プロ通算成績 377勝76敗1持 勝率.832

2024年度成績 13勝5敗 勝率.722

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渡辺九段の大健闘

 

今シリーズも藤井王位の4勝1敗という数字だけを見れば一方的な勝敗のように見えますが、実際は第3局まで渡辺九段が優勢に押す展開でした。長手数の念入りな作戦を構想する策士として知られる渡辺九段ですが、練りに練って温めてきた作戦の3つを第3局までにぶつけたのでしょう。

 

第1局では藤井玉に詰みが出て渡辺九段の勝利が決定的となりましたが、1分将棋のなかで詰み筋を逃してしまうという悔いの残る形で渡辺九段が惜敗しました。藤井王位としては薄氷の勝利だったわけです。

 

とは言え、藤井王位は負け将棋であってもいわゆる「一手違い」の状態まで行ってスタンバイしていたわけで、つまり、相手に一手でもミスが出れば今度は相手玉を詰ますことができる状態まで持って行ってたということですから、単なる相手のミスだけでは説明のできない勝負強さがあったということです。

 

第2局は渡辺九段側の完勝、第3局も途中まで渡辺九段が優勢だったのを終盤で逆転しての藤井王位の勝利でした。この3局をすべて渡辺九段が勝っていたら全く違う展開になっていたでしょう。しかし、そういう途中経過を経たとしても最終的に勝利を収めるのが藤井王位の強さなんですね。

 

第4局と第5局は逆に藤井王位側の完勝となりました。優れた作戦も3つまでしか用意できなかったということでしょうか。事前の作戦もさることながら、やはり出たとこ勝負の新しい局面を読み切って勝っていく藤井王位の終盤力の凄さが物を言うのでしょう。

 

新聞三社連合主催の王位戦

 

現在の将棋の8タイトルのうち不二家が主催する叡王戦を除く7タイトルが新聞社の主催です。将棋は重要な新聞記事のコンテンツだったからです。その7タイトルのなかでは、読売新聞社が主催する竜王戦、朝日新聞社と毎日新聞社が主催する名人戦に次ぐ序列の位置にあるのが王位戦ですが、こちらは新聞三社連合と言って、有力地方紙の連合体が主催しています。名前にある三社とは北海道新聞社、愛知県の中日新聞社、福岡県の西日本新聞社の三社で、まさに地方新聞を代表する三紙であり、記事の内容も三社で共有したりもしています。

 

現在はこれに神戸新聞社と徳島新聞社が加わって五社の連合となっています。王位戦の開催地は必ずこの五社の地元を回ることになっているというのがこの棋戦の特徴でもあります。今回の第65期王位戦でも各新聞社の地元の5地域を回りました。

 

 第1局 名古屋市 中日新聞社の地元

 第2局 函館市 北海道新聞社の地元

 第3局 徳島市 徳島新聞社の地元

 第4局 唐津市 西日本新聞社の地元

 第5局 神戸市 神戸新聞社の地元

 

そう考えると少なくとも第5局まで行かないとタイトル戦の対局が地元に回って来ない新聞社が出てしまうので、とりあえず第5局まで行ったのはよかったと思います。

 

藤井王位の五連覇を振り返ってみると、木村一基前王位からタイトルを奪取したときは4連勝でしたが、翌年からの4期(豊島、豊島、佐々木大地、渡辺)はすべて4勝1敗です。藤井王位もひょっとして新聞五社に配慮して第5局までは行くようにしているのでしょうか・・・