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ジューンブライドの季節、6月を迎えました。6月7日にはシンガーソングライター遠坂めぐさんの新曲「私が結婚するまでは」のミュージックビデオが公開され、8日には各音楽配信サイトでもリリースされました。ぼくはもう毎日鬼リピして聴いています。まだの方はぜひ聴いてみてください。こちらがミュージックビデオです。

 

遠坂めぐ「私が結婚するまでは」 Music Video

 

結婚報告かと視聴者をざわつかせたMV公開

 

この日を迎える数日前から「大切なご報告」という予告があったものの新曲MVの公開とは告知されず、しかもうっすら見えるサムネにウェディングドレスとブーケが映っていたことから一部の視聴者のあいだでは結婚の報告ではないかとざわめきました。

 

でも、おめぐをよく知るファンの間では結婚報告ではないだろうという意見が大勢を占めていました。なぜならおめぐは、これまでどのインタビューでも質問コーナーでも、「彼氏はいますか」との問いに常に「いません」と即答していましたし、NON STYLE 井上さんのYouTubeチャンネルでコラボした際も5:45あたりから、これまでのオリジナル作品に恋愛系の歌が少ないことについて、その理由として恋愛経験そのものがほんのちょっとしかないからと言っています。

 

【遠坂めぐ】サビが顔の産毛!?恋愛下手なシンガーソングライター!

 

おめぐは超インドア派、ある種の音楽オタクで、外に出て異性との出会いを求めてこなかったということを、ぼくらめぐ民は知っていますから、このトーク、本当のことなんだろうと思いました。このコラボが今年(2024年)3月ですので、その後にいきなり結婚するような出会いがあるとは思えないし、しかも今、初のアルバムCDの制作を成功させるべく、クラウドファンディングにも挑戦している最中ですから文脈的にも今ここで結婚を報告するタイミングとは考えられなかったわけです。

 

元カレへの恨みつらみを歌った歌なのか?

 

この「私が結婚するまでは」という曲、2022年12月のクリスマスライブでこの曲の生歌を聴きました。2023年には土曜のライブ配信でも3回歌ってくれています。おめぐが大切にしてきた曲です。

 

メロディは美しいバラード。キーは変ロ長調(B♭major)。クラリネット吹きのぼくにはなじみの深い調性です。構成は、AメロとBメロのみでサビがなく、BメロもAメロの変形なので、全体の構成は至ってシンプルです。今回の音源ではオルガンの音色が加わって教会の厳かな空気感も出ています。

 

問題は歌詞です。おめぐの歌には本当のメッセージが隠されている作品が少なくありません。例えば、「新曲」。自分の凡庸さを卑下する歌詞を連ねながら、最後に自分の凡庸さを受け入れて、だからこそ実感する曲づくりの喜びを静かに歌い上げます。最後まで聴かないとメッセージの本心がわからない、そして、繰り返し聴けば聴くほどそれが心に響いてきて感動を覚える――それがおめぐの作品なんです。

 

「私が結婚するまでは」もそう。表面的には自分を振った元カレへの恨みつらみをだらだらと言い続ける未練がましい歌のように思えます。最初の方はこんな感じです。

 

「私が結婚するまでは」 作詞・作曲 遠坂めぐ

 

♪私が結婚する時は

♪笑顔で祝福などくれぐれもしないでね 

♪悔やんでも悔やみきれない顔で 

♪おめでとうと声を震わせて 

 

♪私が結婚する時は 

♪式には何がなんでも絶対参加してね 

♪逃した魚は大きかったと 

♪そう花嫁姿睨みつけに来て

 

♪私が結婚するまでは 

♪どうかあなたはまだ結婚しないでよ、お願い 

♪あなたの方が早く幸せになるなんて 

♪そんなの残酷すぎて…

 

最初にこの歌を聴いた印象はずいぶん後ろ向きな歌だな、どうしてもっと前向きに新しい恋、新しい出会いを見つけようとしないんだろうと思いました。

 

先輩シンガーソングライター小坂明子さんの「June Bride」にちょっと似てるなと思いました。あの歌もメロディは美しいのだけど、よく聴いてみると実は失恋の歌だったんです。

 

一人の人を思いつづける一途なラブソング

 

でも、おめぐの「私が結婚するまでは」はただの悲しみの歌ではなさそうです。少し飛ばして2番の最後のほうではこう歌っています。

 

♪私が結婚するまでは 

♪いつでも何度でもチャンスはあるよ、いいの? 

♪独身のうちに早く急いで 

♪不倫するつもりなんてないから 

 

♪私が結婚する時は 

♪「あんな恋もあった」と今を笑い飛ばそう 

♪でもまだそんな予定もないから 

♪大人しく素直に泣いてあげるわ 

 

♪悔しいけど憎いけど  

♪あなたは私の一番好きな人  

♪私が結婚するまでは

 

今ならまだ元に戻るチャンスだと。さっきあれほど「♪私が結婚する時は~」と何度も歌っていながら、実際は私が結婚する予定はないと言っています。これほどまでに私はあなたをいつまでも愛しつづけている、だから私が結婚してしまうまでに私のところへ戻ってきてほしい、という、なりふりかまわない、プライドや見栄を捨てた、ラブコールなんですね。

 

つまり、それまでの「♪私が結婚する時は~」はすべて仮定の話だったことになります。もし私が結婚したら、逃した魚は大きかったとあなた後悔しますよ、きっと私ロスになりますよ……と、元カレの心を揺さぶろうとしていたわけです。

 

こんなに私はあなたのことが好きなのに、あなたはそんな人の気持ちも知らずにどこかへ行ってしまった。そんなあなたが憎い、悔しい、でも、今でも「♪悔しいけど憎いけど あなたは一番好きな人」……、そう最後に歌います。ただし、「♪私が結婚するまでは」

 

この歌がおめぐの実体験なのかどうかはわかりません。今やおめぐの代表曲となった「明日君に会えるせいだ」はデート前夜の女性のワクワク感と胸の高鳴りを歌った歌ですが、ノンスタ井上さんとのトークのなかで、実際のおめぐはデートをしないからこの歌詞は実体験ではないと明かしていました。想像の中からでも作品を作れてこそプロのアーティストだとも言えます。

 

でもぼくはこの「私が結婚するまでは」がおめぐの実体験だと思って聴きたいです。そのほうが胸に強く響くからです。おめぐが今恋愛をしないのは、人を好きになれない薄情な音楽オタクだからなのではなく、全く逆で、心の底から好きになった人が胸のなかにいて、その人のことが今でも好きすぎて新しい恋に踏み出せない、そしてそれほどの思いを歌で表現するシンガーソングライターとして生き抜こうとしている――そう捉えたほうが圧倒的に共感できるし、そんなおめぐをアーティストとしてもっと好きになれます。

 

ミュージックビデオを視ながら

 

ミュージックビデオの場面をスクリーンショットで追いながら見て行きましょう。

黒のドレスで厳かに歌うおめぐ。ピアノ伴奏者のアンジーも黒の礼服を着ています。クラシック声楽家の演奏会のようです。長身の美男美女による共演はそれだけでも絵になりますね。ただし、音源のピアノはおめぐが演奏しているようです。

 

場面が時折り白のウェディングドレスのおめぐに切り替わります。現実世界のアーティストであるおめぐが歌のなかに描く、幻想の世界なんでしょうか。でも、そこにはおめぐ一人しかいません。

 

純白のウェディングドレスで歌うおめぐ。美しいですね。この姿をお父様にお見せしたかったでしょう。でも、この姿はあくまでも歌のなかの幻想です。リアルでのウェディングは胸に秘めて、アーティストとして歌い、頑張る姿をお父様は見守ってくださっていると思います。

 

またここにもこけている人がいます。たまたま映り込んだのでしょうか。それともおめぐを追いかけて来た人がその勢いで転んでしまったのでしょうか。

 

後ろに駆け込んできた男性はアンジーなのか、それともいつもこけるあの方なのか。その方はおめぐに恋をして追いかけてきたのかもしれません。でも、どうやらおめぐの心のお相手はこの方ではないようです。

 

現実世界に戻って「♪悔しいけど憎いけど あなたは私の一番好きな人」と歌うとき、何か白いものが落ちたように見えました。うすしおの雫でしょうか。

 

教会の扉を閉めて朗らかな表情で前を向いて歩き出そうとするおめぐ。今はアーティストとして悔いなく生き抜こうとしています。その途上でいつか運命の人と出会うかもしれない。でも、そのときが来るまではあの恋を大切に胸に秘めて生きていこう、そんな清々しい決意のようにも見えます。

 

小坂明子の「June Bride」と比較して

 

先ほど小坂明子さんの「June Bride」をちょっと思い出したと書きました。とても美しいメロディなのですが、歌詞の内容は失恋を歌っていました。こんな感じです。

 

「June Bride」 作詞・作曲 小坂明子

 

♪風のうわさで聞いてたけど
♪あの子の指に光っていた
♪金の指輪があなたから
♪おくられたとは知らなかった

♪うらむ気持ちなどないけど
♪悲しみはかくせない
♪やさしさを愛と思ってた
♪自分に気づいたから

♪街はあじさい色になり
♪静まりかえっているけれど
♪私の心は雨もよう
♪今にもふり出すわ

♪June Bride June Bride
♪夢に見た 花嫁
♪私の夢は消えても
♪愛は止められない

 

かつて愛した人の心変わり。やり場のない、そして止めようのない愛が涙となってあふれ出ます。この辛い心情を、不思議なぐらい美しい長調のメロディで歌い上げています。そう言えば、小坂明子さんの代表曲「あなた」も愛する人との幸せな暮らしを思い描きながら最後には「♪それが私の夢だったのよ いとしいあなたは今どこに」と失恋の悲哀を歌っていました。

 

美しいメロディで失恋相手への消えない思いを歌っているという点で二つの歌は共通していますが、おめぐの「私が結婚するまでは」には離れてしまった彼の心を今でも揺さぶろうとするような強さがあるように感じます。

 

最後に一言、「私が結婚するまでは」をこの時期にリリースしたということはきっと制作中のアルバムCDに収録されるのだろうと思います。ますますクラウドファンディング、応援しなきゃ!🐱

 

※このブログはめぐ民の1人であるネコバスが主観的感想を記したものです。楽曲の解釈は作詞作曲者遠坂めぐさんの意図と一致するとは限りませんので、その前提でお読みください。歌詞は全曲ではなく部分引用に留めています。