第二百九十三話 あくび | ねこバナ。

第二百九十三話 あくび

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眠いのかと思えば
そうではないようだ

オイオイ
アソベヨ
アソンデクレヨ

そう言ったあと
彼はきまって
あくびをする

いっちょまえに生えた牙を
あんぐりと見せつけて
それでもやっぱり
ちょろりと舌を
しまい忘れていたりするから

はいはい
わかった
もうちょっと

私はそう言って
意地悪をする

ナンダヨ
ナンダヨ
アソンデクレッタラ

彼は催促をする
腕によじ登って
いかにも必死に
私をせき立てる

私は観念して
よっこらせっと
立ち上がる

すると

アソブヨ
アソブヨ

彼はそう言って
またしても
あんぐり大きく
あくびをするのだ

  *   *   *   *   *

物の本には
こう書いてある

「ネコノ アクビハ
 ヤルキヲ ダシテ イル ショウコ」

なるほど確かに
そうかも知れない

アソブヨ
アソブヨ

彼は全力で遊ぶのだから
眼をいっぱいに見開いて
今この時をと言わんばかりに

アソブヨ
アソブヨ

どうして
そんなに
一生懸命
なのだろう

アソブッタラ
アソブヨ

紙袋に顔を突っ込み
ボールを追いかけ
戸棚に頭をぶつけ

私がへたり込んでしまうまで

  *   *   *   *   *

そうして彼は

アソンダ
アソンダ

いつのまにか
私の枕を占領し

ひとつ大きな
あくびをする

ネルヨ
ネルネル

今度こそ
本当に
眠いのだ

全身全霊
傾けて
一生懸命
眠いのだ

ネルヨウ

私がぼんやり
見ている間に
さっさと彼は
眠りに落ちる

イキルッテエノハ
コウイウコトサ

羨ましいよな
嬉しいような

そのうち

彼のりっぱな髭が
ひくりと動いて

私の鼻を
くすぐったのだ




おしまい






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