第二百九十一話 <童話風>かいとうネコマル と ハナグロけいぶ | ねこバナ。

第二百九十一話 <童話風>かいとうネコマル と ハナグロけいぶ

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「たいへんです すぐに きてください」
「どうしました」
「やられました かいとうネコマルのしわざです」

きょうも けいさつの でんわが なりひびき
ハナグロけいぶの しゅつどうです

ふんにゃん ふんにゃん ふんにゃんにゃん

サイレンをならした パトカーは
おおいそぎで おおどおりの おみせに むかいます
それは ねこがいっぱい すんでいる このまちで
いちばん おおきな おもちゃやさんでした

「わたしが ハナグロけいぶです」
「ああ よくきてくれました」
「げんばは どちらです」
「みてください もう ひどいもんです」

おもちゃやの おじさんは そう いって
ほっぺを ぷうっと ふくらませて
ハナグロけいぶを あんないしました

「おやおや これはひどい」

おみせの たなは ひっちゃかめっちゃか
あちこちに はこが ちらかって
なかの おもちゃが ちらばっています

「とられた ものは なんですか」
「それが ふしぎな ことにですね」
「はいはい」
「とられた ものは これだけなんです」

おじさんは、からっぽの はこを さしだしました
そこには

「かいとうネコマル さんじょう」

と、まっかな もじで かかれていました

「ほほう これは しんはつばいの おもちゃですね」

ハナグロけいぶは、ふふふん と おひげを ゆらして かんがえこみました

「いったい どうしたんだろう かいとうネコマルが おもちゃだなんて」

そうなんです
きらきら ほうせき リッチな ようふく さいしんえいの スポーツカー
かいとうネコマルは そんなものばかり ぬすんでいたのです
それなのに
さいきん ネコマルが ぬすむのは おもちゃばかり
それも しんはつばいの おもちゃばかり

「ふしぎですねえ」

おもちゃやの おじさんも くびを ひねりました

「そうだ わかったぞ」

ハナグロけいぶは、ぽふ と にくきうを たたきました

「どうしたんです」
「おもちゃやさん ぜひぜひ ちからを かしてください」

そうして ハナグロけいぶと おもちゃやの おじさんは 
ごにょごにょ そうだんを はじめたのです

  *   *   *   *   *

さてさて そのあと なんにちか たちまして
くらーい よるに なりました

「しめしめ だれも いないぞ」

あらわれました かいとうネコマル
おおどおりの おもちゃやさんに そうっと しのびこみます

「あ あったあった」

まえのひ はつばい されたばかりの
かわいい パンダの ぬいぐるみ
ネコマルは まわりを きょろきょろ みまわして
ケースの かぎを しんちょうに
かちゃかちゃ かちゃりと あけました
どんな かぎでも ちょちょいと あけちゃう
これが ネコマルの とくいわざです

「ようし」

ぬいぐるみを とりあげた ネコマルは
あきばこに 

「かいとうネコマル さんじょう」

そう かいて

「ええええええいっ ネコマルさまの おでましだいっ」

あちこち がちゃがちゃ ひっくりかえし
あたりを めちゃめちゃに してしまいました

「ようし かえろうっと」

そうして まっくらな おみせを
するすると でて ゆきました

  *   *   *   *   *

「さて きょうも だいせいこうだ」

まちの うらやま ふかい もり
ネコマルの すみかは そこに ありました
ちいさな ほらあなに するりと はいり
にやりと わらって とくいがおです

ちょうど そのころ

「なるほど あそこが ネコマルの すみかだな」

ハナグロけいぶと けいかんたちは
そうっと そうっと
しずかに しずかに
ネコマルの すみかを とりかこみます

そうです
ハナグロけいぶが おもちゃやさんに おねがいして
こっそり ぬいぐるみの なかに しのばせたのは

「バウワウ!」

バウワウじゅんさの だいこうぶつの ほね でした

「しーっ バウワウじゅんさ おてがらですよ」

じゅんさの とっても よくきく はなの おかげで
ハナグロけいぶは ネコマルの あとを おって これたのでした

「ようし そろそろ いくぞ」

ハナグロけいぶと けいかんたちは
そろそろ そろそろ
しずかに しずかに
ネコマルの すみかに ちかづきます

「ようし とつにゅうだ それっ」

けいぶの ごうれいと ともに
けいかんたちは いっせいに
ネコマルの すみかに とつにゅうします

「かいとうネコマル! ごようだ ごようだ」

どやどや どやどや

「ごようだ ごようだ」

そうして ひろまに たどりつくと

「ありゃりゃ これはいったい どうしたことだ」

ハナグロけいぶと けいかんたちは
びっくらぎょうてん して しまいました

「はいしどうどう はいどうどう」
「はひ はひ はひーん」

ネコマルは
くちに ひもを くわえて
おうまさんの ように ひひーんと なき
その うえには

「はいしどうどう はいどうどう」

かわいい ちいさな こねこが
パンダの ぬいぐるみと いっしょに
うまのりに なって おりました

「ひい ひい つかれた もう だめだ」

ネコマル ぐったり ばたんきゅーです

「なんだ だらしないわね えいえいっ」
「ぐぎゅー」

こねこが ネコマルの おなかを けると
ネコマル たまらず ぐぎゅーと なきます

「おいっ ネコマル これは どういう ことなんだ」

ハナグロけいぶが ききますと

「このこは パパママと はなればなれに なっちゃったのさ かわいそうだから うちに つれて きたんだよう」

ぐったりしたまま ネコマルが こたえます

「そうだったのか どれどれ その ぬいぐるみを かえしなさい」

ハナグロけいぶが ひょいと ぬいぐるみを とりあげますと

「うわーん うわーん あたしの おもちゃー」

こねこは おおきな こえで なきます

「うわーん うわーん」

ハナグロけいぶは びっくりして ネコマルに ききます

「おい ネコマル これは いったい どういう ことだ」

ネコマル ぐったりしながら こたえます

「このこは とっても おてんきやさん おもちゃが ないと だめなんだよう」
「なるほど それで ネコマルは おもちゃばっかり ぬすんでたんだな」

ハナグロけいぶは がてんが いきました

「うわーん うわーん うわーん」

それにしても おおきな なきごえです

「うわーん うわーん うわーん」

けいかんたちも ハナグロけいぶも
おもわず みみを ふさぎます

「もう しょうがないなあ」

ハナグロけいぶは しかたなく
パンダの ぬいぐるみを こねこに わたします

「えへへ あたちの パンダちゃん」

すると こねこは にっこりして

「じゃあ こんどは おじちゃんが おんまさんね」

と ハナグロけいぶを ゆびさします

「ええっ そんな」
「だめなの だめなの ううううう」

こねこが なきそうに なったので

「わかった わかった ほらほら ひひひーん」

ハナグロけいぶ よつんばいに なって
おうまさんの まねを します

「やっほい やっほい はいどうどう」

こねこは すっかり よろこんで

「はいしどうどう はいどうどう」

にこにこ わらって あそびます

ハナグロけいぶは

「ひいひい つかれた もう だめだ」

どてっと くずれて ばたんきゅー
そうして はたと きづきました

「あれ そういえば ネコマルは どうした」

「かっかっかっ ネコマルさまは ふめつだい」

みると かいとう ネコマルは
いつのまにやら だっしゅつの
じゅんびばんたん ととのって おりました

「おいネコマルっ どこへ いくんだ」
「どこへって にげるに きまってるじゃねえか その おんなのこは たのんだぜ」
「こらまてっ」
「あばよ またなっ」

そうして ネコマル するりするりと
やみのなかへ きえて しまいました

「おうい おいかけろっ」

ネコマルけいぶは さけびます が

「だめー はいしどうどう はいどうどう」
「ぐぎゅー」

こねこに どすどす のっかられ
すっかり のびて しまいました

  *   *   *   *   *

つぎの ひ です

ネコマルの すみかに いた こねこは
ぶじに パパママの もとへ かえりました

「おじちゃん また あそんでね」

こねこは そう いいましたけれど

「いやいや まいった もうたくさん」

ハナグロけいぶは そう いって
こしを とんとん たたきました

そして かいとう ネコマルの
ゆくえは さっぱり わかりません

「いまに みてろよ ネコマルめ
 ぜったい つかまえて やるからな」

ハナグロけいぶは にくきゅうを ぐいと てんに つきあげ
げんきよく そう いいましたが

「あいててて」

やっぱり こしを とんとん たたきます

すると

「たいへんです すぐに きてください」
「どうしました」
「やられました かいとうネコマルのしわざです」

またも けいさつの でんわが なりひびき
ハナグロけいぶの しゅつどうです

ふんにゃん ふんにゃん ふんにゃんにゃん


かいとう ネコマルと ハナグロけいぶの たたかいは
まだまだ つづきそうな よかんです




おしまい






=====このおはなしはフリー素材としてお使いいただけます=====
=====絵本にも読み聞かせにも、ご自由にお使いください☆=====



いつも読んでくだすって、ありがとうございます



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