From 三橋貴明




【今週のNewsピックアップ】

日本は公務員数を増やさなければならない
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12669606877.html
「日本国家のマンパワー」を回復する
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12669798616.html

多くの日本国民が勘違いをしていますが、
日本の公務員数は多くはありません。
むしろ、少なすぎる。

OECDの最新データによると、
日本の公務員数対労働人口比率は、
わずか7.94%。

ちなみに、OECD諸国の平均は21.28%。
日本よりも公務員の割合が小さい国は、
韓国とコロンビアのみです。

人口千人当たりの政府職員数を
先進国について見てみると、
フランスが89.5人、イギリスが69.2人、
アメリカが64.1人、ドイツが59.7人。
そして、日本はわずか36.7人。

国家公務員数で人口千人当たりの
数字を比較してみると、
フランスが24.6人、イギリスが5.1人、
アメリカ4.4人、ドイツ2.8人、
日本2.7人。

やはり、我が国の国家公務員数が最も少ない。
三橋は上記の「事実」を元に、
「日本の公務員数が多すぎるというのは出鱈目だ。
むしろ、少ない。
日本は公務員を増やさなければならない」

と、主張し続けてきたわけですが、
毎回、物凄い反発を受けていました。

特に、二十一世紀に入って以降の日本では、
「公務員を削れ」
「公務員給与を下げろ」
というルサンチマンプロパガンダが展開され、
行政の民営化が進み、
パソナを初めとする
人材派遣業のビジネスが拡大していきます。

三橋が日本の公務員数は「少ない」という
データを示しても、屁理屈をこねて
反発され続けます。
いわゆる、認知的不協和です。

「確かに公務員数は少ないかも知れないが、
公務員は働かない税金泥棒だ」
などと。

バカバカしい話です。
この手の主張をする者は、日本中の公務員の
働き方を調査でもしたのですかね?

というよりも、働いているようで怠けている
生産者など、民間にも大勢います。

むしろ、確実に民間の方が数は多いでしょう。
何しろ、日本の公務員対労働人口依比率は、
世界有数の「低さ」です。
民間企業で働く生産者の方が、
圧倒的に多いのです。

完璧な社会など存在しえません。
公務員だろうが、民間企業だろうが、
さぼりがちな者はいるし、これからも
決していなくなることはありません。

世の中は「そんなもの」ですよ。
問題がある公務員は、批判すればいい。
だからと言って「公務員全体」を否定する、
あるいは批判するのはやめるべきです。

まさに、木を見せ、森を見せないプロパガンダ。
日本は97年の橋本緊縮財政以降
(厳密には大平内閣以降)、
政府を「小さくする」グローバリズム路線を
ひたすら走ってきました。

特に、小泉政権以降の
日本の小さな政府化は常軌を逸しています。
三位一体の改革と銘打ち、
地方交付税をひたすら削減。

地方自治体は正規公務員を減らし、非正規雇用に
切り替えていかざるを得ませんでした。
(結果、パソナなどの
「人間を売る」会社が儲かった)

自治体職員の間でも、
正規公務員と非正規公務員との間には、
凄まじい「所得格差」が生じています。

雇用が不安定で、収入も正規公務員の
半分程度にしかならない非正規公務員は、
すでに自治体職員の20%を超えています。

さらに、日本政府は国家の行政を
担当する国家公務員も、減らしに減らしました。

【図 一般職国家公務員数の推移(人)】

http://mtdata.jp/data_74.html#ippan
出典:人事院

防衛省職員、裁判官、裁判所職員、
国会職員を除く一般国家公務員数は、
2001年度には80万人以上いたのが、
今や30万人を切っています。

こんな状況で、「非常事態」に
対応できるはずがありません。

現実に、日本政府が
コロナ・パンデミックという非常事態に
対応できない光景を、我々は
目の前で見ているのです。

すでに、政府あるいは「行政」には
パンデミックを収束させるパワーはありません。
何しろ、人がいないのです。

無論、緊縮財政という制約を
取り払うことができれば、コロナを
収束させることは可能です。

国民の損害を全て補償し、
二週間のロックダウンをする。
同時に、民間医療機関のコロナ対応を
「赤字補償」を含めて支援する。
これだけでいいのです。

ところが、緊縮でカネは出せない。
だからと言って、行政の人を
減らしに減らした以上、
マンパワーも不足している。
どうにもならない。

日本は公務員を減らし続け、小さな政府を
志向した結果、非常事態に
対応できない国家と化した。

国家公務員も地方公務員も、
現場は凄まじい人手不足になっている。

ならば、民営化? 
違います。
単純に公務員数を増やせばいい。
地方交付税交付金を増額し、
地方自治体の非正規公務員を正規化。
全体の数も増やしていく。

国家公務員も同様です。
ところが、2021年度の
国家公務員採用総合職の試験申込者は、
20年度比べ14.5%減ったという
報道が流れました。

五年連続の減少で、
総合職試験を導入した
12年度以降で最大の減少。

それはまあ、これだけ公務員叩きを繰り返し、
かつ過重労働の実態が明らかになった以上、
当たり前です。

平時ですら過労気味の国家公務員が、
この非常時にいかなる状況になっているか、
想像を超えるものがあります。

日本は公務員を増やさなければならない。
この「常識」が「常識」にならない限り、
日本の復活はありません。
日本は公務員を増やさなければならない。