ぼちぼち。。ここに移していこ~(=゚ω゚=)ノ58 | 7ころびひとやすみ。闘病と介護と猫と音楽と。。

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10章・3話『孫悟空』

飄葛は一転して接近戦に転じた。
多様で力強い孫悟空の攻撃を何とかかわしながら攻撃するが当たらず、両者の攻防は続いた。
「当たらぬ・・・」
(なぜ、避けれる・・・)
お互いがそう思っていた。
飄葛は先読みをしたが、孫悟空の如意棒が優れており意思に関係無く攻防する様だった。
戦いは長引き、日が沈む頃、孫悟空は戦意を消し、言った。
(はぁはぁ・・・もう良い、俺様の負けだ!)
勝敗を決めたのは体力、気力であった。
息が上がった孫悟空に対し飄葛は全く平然としていた。
(同じ不老不死と感じたが、根本的に違うようだ、それに全てを焼きつくすであろう焔も使わずだしな)
「それは、孫悟空殿も同じ事、神通力を使わずでしょう」
(使ったとしても力の差は歴然だ、何より飄葛殿は1度たりとも亡骸を踏まずであった・・・小国の妖とか関係無く尊敬にあたいしました)
「では、この国を見て回ってもよろしいか」
(無論、俺が案内しましょう)
そう言うと孫悟空は雲を呼び寄せ、飄葛も隼に乗り空に上がった。
(飄葛殿、この国の何が見たいので?)
「人とこの地の大きさをと思ったが・・・人はもういい・・・この国をぐるり見せてくれるだけでいいです」
(本当にただそれだけの理由で来たので?)
「はい、この星の全てを見ておきたく、まずは最初にこの国をと」
(・・・この星の全て・・・考えた事もないな)
「それは大国に居るからでしょう」
(まぁ、それもありますが・・・とにかく夜になってしまったので、俺の隠れ家で語りながら朝を待ちましょう)
「はい」
そうして、飄葛は孫悟空の後ろに付き飛んだ。
辿り着いたのは日本では見られない、まるで竹の子のような山々の中の山の頂上、小さな小屋がポツンと1つ建っていた。
(どうぞ今、灯りを付けるので、中に)
と、孫悟空は小屋に入り飄葛を招いた。
(一応、手下や義兄弟が居る宮殿もあるのですが、この隠れ家の方がゆっくり語り合えましょう、何も無いですが座ってくだされ)
「ご配慮、ありがとうございます」
(まぁ、そうかしこまらず気楽にしてくだされ、俺が造った桃源郷の桃の果実酒です、どうぞ)
「桃?果実酒?・・・良い香りだ・・・ゴクッ・・・旨い!これほどの旨いものは初めてだ・・・」
(気に入ってもらえ良かった、一緒に呑みましょうぞ、好きなだけ呑んでくだされ)
「では、遠慮無く・・・」
そうして、飄葛と孫悟空は酒を酌み交わした。
(ところで飄葛殿、神々の事はお知りで?)
「はい、聞いています、この星から去ったと」
(やはり知っておりましたか・・・実に勝手な事だ・・・)
「孫悟空殿はお会になった事がありますか?」
(はい、昔は地上や天界にいたるままで悪戯ばかりしていまして、神直々に罰を与えられた事が)
「どんな罰です?」
(僧侶に仕えさせられ、仏門に入れさせられたのです、まぁ辛かったですが、改心でき今となっては良かったとは思っていますが・・・)
「なるほど・・・孫悟空殿は神々居なくなった今、人と宗教をどのように考えていますか?」
(何も変わりはしないでしょう、神の教えは十分に人に伝わっています、こうありなさいという教訓や道徳として、これからも人には必要であるし、祈りもすがりとなります、それに、誰が何を言おうとも神が居ないとは人は信じはしないでしょうし、神を感じさせる事くらいは力のない天部の者にも容易くできましょう、ただ・・・戦乱の世では神も宗教も関係無くなります、そして都合よく使われるです、権力争いや土地の奪い合いだけで今日、見た通り、殺し合う・・・日本もそろそろ武力の時代になるでしょうな)
「やはり、大妖ともなると同じ考えですな・・・孫悟空殿はこの大国の妖の1番の妖なのですか?」
(そうです、全て配下に置いています)
「これからの妖のあり方をどうなさるおつもりですか?」
(それが悩みどころなのです・・・人の権力者だけを殺めるか・・・しかし、それでは一時的な解決にしかなりませんでしょうし、何の理由があっても、それをやってしまえば人とは変わりませぬ・・・飄葛殿はどのようにお考えか?)
「・・・我もそれを模索している途中です・・・」
(何か考えがあるようですな、それが何かは詮索しませぬが・・・その時はお助け下さい!)
「分かりました、最善をつくしましょう」
そうして、飄葛と孫悟空は夜明けまで語り合った・・・


(・∀・)人(・∀・)