そして当日。

私は約束の時間よりちょっと早く、池袋についた。




西口西口・・・っと。

うわーホント池袋の駅だけは未だ慣れないんだよね~。




リクルートスーツに黒いヒール。
就職活動を始めてから髪の毛は

ものすごく茶髪だったのを
黒に戻して、長かったセミロングから、

ボブにすっぱり切りそろえたあの頃の私。



迷いながら待ち合わせ場所に向かったわけだが、





プルルルルルル・・・携帯




急に携帯が鳴りだす。

あんちゃんからだった。



「あ、もしもし、もう着いているの?今向かっているのだけど」




「・・・いや、もしかしたらおまえ迷っているかと思って。
大丈夫そうだな、  ○●前で待っているぞ。迷ったら
また電話してくれ、今いる場所を説明してくれたら迎に行くから」




「ありがとー」




もうあんちゃん着いているんだ・・・。
急がなきゃ。




焦って方向を間違えてしまい、結局迷ってしまった。
そこで電話すればよかったのに、初対面なのに申し訳ないと思って
自力で待ち合わせ場所に着いた。

あんちゃんを10分待たせてしまった。



待ち合わせ場所はここだけど・・・誰だろう?
と思ったらまたケータイが鳴りだす。



「お前、もう着いたか?」



「あ、ごめん待たせて。今着いたの。」




「もしかしてリクルートスーツの・・・わかった!右を見ろ!」



ふと右を見ると、ちょっと小柄な男性が手を振っている。





あ、あんちゃんだ!





写真とそのまんまの男性。本当に26歳?ってくらい若い。
グレーのニットに、ジーンズ。
二宮君のファッションよりちょっと大人っぽくした感じ。


あんちゃんは初めて私を見て一言。



「お前もスーツのせいか妙に大人びているよなぁ。

   写真と髪型が違うし。てか、迷ったら電話しろって言ったじゃんか」



「ごめん!初対面の人に迎えに来させるのは、悪いなぁって」




何か初対面なのに、前からの知り合いのように会話していた私たち・・・。

変な感じがする。




「とりあえず、あそこにファミレスがあるから、一息つこうぜ?」




「わかった」




私たちは何となく並んで歩きだした。


楽しく喋りながら。(しかもどうでもいいことばっかり)




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とりあえず、コーヒーを二つ頼んで。
一息つく。


「なんか変な感じだよな。会うの初めてなのに、
電話でしゃべり過ぎていたせいか。」




「うん。私もそう思う」




そう言いながら私は、送ってくれた写真を
テーブルの上に置いた。




「ありがとう。」




「あーいいよ。俺から頼んだことだし。」



あんちゃんは、少し笑って写真を受け取る。



「お前就職活動中だよな?やっぱり厳しい・・?」



「うん。最終面接で2回落とされたよ。総合職狙いだったんだけどね」



うんうんと頷くあんちゃん。



「・・俺も最近仕事辞めてさ。まぁちょっとやりたい仕事があったんだけど
それ目指そうかと思って。」



「そうなんだ。」



「それでサチエとケンカした。」



私は、運ばれたコーヒーをすすりながら
その経緯を聞いた。


二人とも20代中盤に差し掛かる。
第一の結婚ラッシュだ。


それで、急にあんちゃんが仕事を辞めてきたもんだから
サチエさんの機嫌が悪くなってしまったという。




「大人の恋愛は、いろいろそういう問題も出てくるのね」



「まぁ、そうだな・・・結婚を考えなくてはいけない歳ってことだな」



そうだよね・・・楽しいだけじゃ駄目だものね。

結婚は生活もかかってくるのだもの。


でも今の私は就職も決まっていないし、
結婚なんてリアリティがないわなぁ・・・

私、普通に恋愛して、結婚を考えるまでのお付き合いを経て 
結婚できるのかしら・・・?


そうフッと思ったときにあんちゃんが
また口を開いた。





「そういえばさ、ちょっとお前に話したいことがあるんだ。」






まっすぐ私の眼を見て、あんちゃんはそう言った。






何かいつもの面白いあんちゃんとは違う感じだ・・・。






・・・・・・・。





沈黙。



私は、まっすぐな目を見つめ返して、軽く頷いた。