・・・・沈黙。






なんだろうあんちゃん・・・?







私は怪訝そうに見つめ返した。

すると、あんちゃんが口を開いた。




「・・おまえさぁ、もったいないし、損している。」



「え?」



何のことかさっぱり分からず
私はキョトンしてしまった。




「話も面白いし、自分が過小評価するほど、

見た目も悪かないのに、なんつーか・・・」




「・・・?」




「無愛想なんだよ。もっと媚びろ。」





「はぁ??」




確かに私は昔から無愛想なほうだったとは思う。

でもそんな言い方って・・・。



「媚びろとは言い過ぎだけど、女は愛嬌だぞ」



あんちゃんは、後日電話で言っていたけど
私がぱっと見、冷たく見える時があるみたいで、
それが気になったそうで。

もったいないよなって思っていたらしい。



就活最終面接でも、硬くなり過ぎて落ちた節があるので
あながち間違ってはいないと思う。




「あと、だいぶ元彼氏のことを忘れられたみたいだけど、まだ自分が
駄目だからと思いこんでいる節があるな。それは違うからその発想をやめろ。
そいつとは合わなかっただけだ。」





「・・・。」


私はうつむいた。ちょっと図星だったからだ。




「逆に恋愛は、最初のとっかかりは愛想良くても、

すぐにお前の素の姿を見せられる相手じゃないとな。」




・・・とっかかり、かぁ。



自然体でかつ、深く愛せる人なんて

この世にいるのかしら?



「悪い、急に説教してしまってさ。でもおせっかいでも何か、

言いたくなった。やっぱりお前は可愛い妹みたいだから。」



あんちゃんは少し笑ってそう言った。



私はその笑顔につられて、微笑み返し、

そして深く頷いてこう答えた。





「わかった。もう自分をダメだと思わない。」




「じゃぁ、その話は終わりだな・・・あ、でもまだもう一つ言いたいことがある。」


あんちゃんは、思い立ったようにそう言った。



「今度はなんだよぅ~。」





「・・・・。」



そういっておきながらちょっと考えるように黙ってしまったあんちゃん。





「・・・ちょっとマジ訳わからないんだけどっ」






私は、シリアスモードから、

いつもの電話で話している口調に戻し


早口になる。



「それだよ、その言い方っつーか・・・」





「え?」






「お前わざと、そういう風に話しているの?それとも、素?」




口調が気にくわないの・・・?


まったく初対面で説教かいなあせる






「まったくの素だと・・・思うよ。」




私はおずおずと答えた。




「少なくとも、俺に対しては素だよな・・・。」



「そうに決まってんじゃんっ!電話のまんまでしょう?」



「だよなー・・・」



あんちゃんはそう言いながら、マルボロを取出し

一本持って軽く持ち上げ、吸っていい?と目くばせした。



私は「いいよ」、と頷くと、




「で、それがどうかしたの?」




と問いただした。




あんちゃんはタバコを深く吸い込み、一服をすると

こう言った。




「もう一つ忠告。誰でも彼でもその素をだすのはあれだぜ?


損するぜ?お前さ、それ解っててやっているだろ?


何故だか知らないけど、気になる男の前でも、その本能を隠して


俺としゃべるみたいな口調で、言葉を発してなかった?」




「・・・・。」




確かに。キョウヘイに対してそうだった。

彼に対してそういう本能を出すのが恥ずかしいだけじゃなく

媚びている自分自身が嫌だったのだ。





「まぁ、説教はこのくらいにしておくよ。楽しい話でもしようか。」




私の複雑な表情を見て、あんちゃんはそう言った。




私は自分の中でもやもやした気持ちを持て余していた。



あんちゃん、こんなことを一番私に言いたかったの?




でも、もやもやしているのは、自分でもわかっているんだよ。

あんちゃんの言うとおりで、的を得すぎていて・・・。




私が見なかったフリをしていた

自分のある部分を直視させられたから、

こんな気分になっているんだよなー・・・。




そう思いながら、私たちは再び話を続けた。