猫神バステト と 聖櫃(アーク) | にゃにゃ匹家族

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ねこ家族のつれづれと折々のことなど綴ります。

前回、エジプトのネコ信仰について書いたせいか、⇒コチラ
その数日後、ボンがスフィンクスのようなポーズをしていたので、


これは、ネコ神様が、
「もっと、われのことについて書くのじゃニャ~」
といっているお告げに違いないと、今回もエジプトネタです。


ネコが古代エジプトで、神格化されていった背景とは

第1は、エジプトをネズミの害から救ったこと。

穀物生産が伸びるにしたがって、飛躍的に増えたネズミは、穀物を食い荒らすばかりか、パピルス製の住居に穴はあけるは、伝染病は媒介するはで、当時の人は鼠害にたいへんに悩まされていたのですが、そこへ優秀なネズミハンターとしての登場したネコは、まさにスーパーヒーロー、救世主となったのでした。


第2は、エジプト人の動物信仰。

エジプト神話に出てくる神様は、頭が雄牛(アピス神)だったり、鳥(ホルス神)だったり。
エジプト人は、動物をよく観察し、人間には、はるかに及ばないその能力に感嘆し、神性を感じとっていたようです。
もちろん、身近になったネコについても、彼らはその魅力を見逃すはずはありません。

独特のしぐさ、清潔好きなところ、多産で穏やかな子育てぶり、並外れた視力と聴力。
それに自らの意思に忠実な孤高の様子、どこまでも野性を失わないところ。等々
愛らしく、神秘的なネコは、やがて神となり、王家の支持を受けるようになるのです。

外のわずかな気配に、集中する3匹

壮大な猫神バステト神殿が築かれたのは、第22王朝の時代

第22王朝を打ち立てたのは、エジプト王朝の傭兵を務めていたリビア出身の軍人、シェションク。
イエネコの祖先とされるリビアヤマネコの発祥地を、故郷に持つ彼は、猫神をみずからとその部族の守護神と崇めていたのでしょうか。

彼は、第21王朝、最後の王プンセンネス2世の娘マートカーラを妻にめとり、外国人ながら、王位を継承します。
そして、強力な政治力と軍事力で、当時、下エジプト(首都:タニス)と上エジプト(首都:テーベ)に分裂していた国土を、再統一し、全エジプトの王ファラオになります。


イスラエル王国の分裂と失われたアーク

さらに、彼は、隆盛を極めたソロモン王率いるイスラエル王国の分裂の黒幕を演じました。

ファラオ・シェションクは、ソロモン王に反逆し武装蜂起するものの失敗し、エジプトへ逃れてきた指導者ヤロブアムを保護します。
その後、ソロモン王が亡くなると、ヤロブアムは、再びイスラエルに戻り、10部族の支持を得て、北のイスラエル王国をうちたてます。そして、残る2部族は、エルサエムを死守し、南のユダ王国にと分裂します。
このイスラエル国の謀反劇と内乱、分裂という過程で、ファラオ・シェションクが、亡命者ヤロブアムをバックアップし、イスラエル王国の分裂に一役かったのは間違いのないことでしょう。

BC956年ごろには、ファラオ・シェションクは、南のユダ王国に攻め入り、ソロモン神殿を破壊します。
旧約聖書では、
「主の神殿と王宮の宝物を奪い取った。
彼はすべてを奪い、ソロモンが作った金の盾もすべて奪い取った。」(旧約聖書列王記上14章26節)
と記されています。

持ち帰った財宝は、そのまま猫神バステト神殿の資金源となったそうです。

闇夜をその光る瞳で照らし、鋭い爪で闇の悪神を引き裂くバステト神。
その名には「引き裂く者」「分裂させる者」という意味があるといいます。
シェションクは「分裂させる者」としてのバステトを崇めていたのかもしれません。


ところで、シェションクがソロモン神殿から持ち帰った財宝の中には、あの有名なモーセの十戒の石板が納められた聖櫃(アーク)があったとか、なかったとか。

その行方は、世界史の1大ミステリーとして、いろいろな説が取りざたされていますが・・


映画「インディ・ジョーンズ ・失われたアーク(聖櫃)」では、
「聖櫃」アークは、エジプト第22王朝の都タニスに埋もれていることになっています。

猫神バステトの最大の信奉者であるファラオ・シェションクがソロモン神殿から持ち帰った財宝の中に、聖櫃(アーク)があったという設定です。

映画では、ハリソン・フォード演じるジョーンズ教授が、聖櫃(アーク)をめぐって、ナチス・ドイツとの激しい争奪戦を展開します。

冒頭の、ジョーンズ教授と陸軍情報部の男との会話

ジョーンズ教授:「あいつら(ナチス)、タニスを見つけたんだ」
陸軍情報部:「なんですかそのタニスっていうのは?」
ジョーンズ教授:「タニスの町には『失われた聖櫃(アーク)』があると言われています」
陸軍情報部:「失われたアーク?」
ジョーンズ教授:「十戒を納めて運んだと言われている、契約の箱ですよ」
陸軍情報部:「十戒とは例のモーゼの十戒のことですか」
ジョーンズ教授:「そうです、例の十戒です。・・・」

エジプトの猫神バステトの加護がなければ、シェションクのイスラエル遠征もなかったかもしれません。
だとすると、映画「インディ・ジョーンズ ・失われたアーク(聖櫃)」ができたのも、シェションクのイスラエル遠征、ひいては、エジプトの猫神バステトのおかげということにもなりますかね~。

バステトの末裔のこの2匹は、お外の小鳥が気になります。