俀王・阿毎多利思北孤と阿摩羅識

 

 

【 序 】

俀王が、西暦600年と607年に、隋に遣使をしたことが隋書と北史に記述されています。その俀王の名前は隋書では「阿毎多利思孤アマタリシコ」、北史では「阿每字多利思孤アマタリシコ」とされます。以下この俀王の2つの名前について見てみます。

 

撮影 西宮戎神社 画像と記事は関係ありません

 

【 唯識思想 】

浅学ですが、唯識思想について少しだけ触れてみます。

  • 悟りを得ていない人間の無意識は煩悩で穢れており、それを阿頼耶識と呼ぶ。その阿頼耶識から全ての穢れ(煩悩)を滅却したとき、阿頼耶識は清浄無垢なる無意識である阿摩羅識へと昇華する(若しくは阿摩羅識が新たに顕現してくる)。阿摩羅識を獲得した人がイエスや仏陀であり、彼らは神や仏と呼ばれる。
  • 唯識思想では、無意識が森羅万象を生み出すとされるから、悟りを得ていない人が造り出すのは穢れた世界(阿頼耶識縁起の世界)であり、イエスや釈迦のような悟りを得た人が造り出すのは清浄無垢なる世界(阿摩羅識縁起の世界)だとされる。

ここで強調したいのはイエスとは阿摩羅識(煩悩のない清浄無垢なる心)を獲得した人である、と言うことです。

 

【 阿毎多利思北孤と阿摩羅識 】

以上を念頭に置いて、阿毎多利思北孤(阿每多利思比孤)という名前を見れば、その中に阿摩羅識が隠れていることに気がつきます。

 

<隋書・阿毎多利思北孤アマタリシホコ(ヘボン式:Amatarishihoko)>

  • Amatarishihoko 447 888 148
  • Amatarishihoko ⇒ Amarashiki + hoto ⇒ 阿摩羅識 + ホト ⇒ 阿摩羅識が造り出す世界

同じ数値をしめすものに次があります。

 

<北史・阿每多利思比孤アマタリシヒコ(訓令式:Amatarisihiko)>

  • Amatarisihiko  amarasiki + hito ⇒ 阿摩羅識を獲得した
  • Amatarisihiko 398         804      134

同じ数値をしめすものに次があります。

撮影 西宮戎神社 画像と記事は関係ありません

 

【 結論 】

以上から、阿毎多利思北(比)孤という俀王の名前は、阿摩羅識を獲得した(悟りを得た)人の、そしてその人の阿摩羅識が造り出す清浄無垢なる世界(阿摩羅識縁起の世界=千年王国)を象徴するものであるように思えます。そしてそれらは具体的には「イエス」と「マグダラのマリア」という「対」の概念を取り入れた形で表現された名前であるように思えます。