邪馬台国論争 倭王とクシャーナ朝の王

 

 

【 親魏大月氏王 】

大月氏王・波調は魏に遣使し、223年魏の癸卯)に親魏大月氏王の称号を賜ります。大月氏国は後のクシャーナ朝です。

癸卯、大月氏王波調遣使奉獻、以調爲親魏大月氏王

なお、この時のクシャーナ朝の王はヴァースデーヴァ1世(波調)182–230です。

 

撮影 西宮恵比寿神社 画像と記事は関係ありません

 

【 親魏倭王 】

それから15年後の238年倭の女王・卑弥呼が魏に遣使し、親魏倭王の称号と金印を賜っています。

景初二年六月。倭女王遣大夫難升米等詣郡、求詣天子朝獻。

今以汝爲親魏倭王、假金印紫綬。

景初二年(238年)の中国皇帝は「明帝 曹叡」でしたが、曹叡は翌年(景初三年)の1月1日に崩御し、その後を「斉王曹芳」が継承します。なお、遣使の年に関しては、「景初3年(西暦239年)であるという異説(梁書倭国伝など)もある」とwikipediaにあります。いずれにしても倭の女王・卑弥呼の朝貢は、曹叡崩御およびそれにともなう曹芳の即位に伴うものであったと考えられます。なお、この時のクシャーナ朝の王はカニシカ2世230–247年です。

 

魏が「親魏●●王」の称号を他国に賜ったのはこの2例だけだとされ、大月氏王と倭王は同じ国の代替わり王であった可能性が高いように思えます。また卑弥呼の朝貢が曹叡の崩御/曹芳の即位を目的とするものであったと考えれば、やはり倭王(卑弥呼)は日本の王ではなく、クシャーナ朝の王であった可能性が高いように思えます。またそのことは卑弥呼の後を継いだ台与も同様です。

 

画像と記事は関係ありません

 

【 倭王とクシャーナ朝の王 】

卑弥呼の後継である台与も266年に魏に使者を送っていますが、その時のクシャーナ朝の王はヴァーシシュカでした。上述の仮説(卑弥呼も台与もクシャーナ朝の王であった)だと、「卑弥呼とカニシカ2世」そして「台与とヴァーシシュカ」の、生年、即位年、退位年は一致すると考えられます。そのことを念頭にWikipedia等から情報を拾ってみます。

  • カニシカ2世 生年:不明    即位:230頃  退位:247年頃
  • 卑弥呼     生年:170年頃  即位:不明   退位:248年頃  

卑弥呼の即位年は不明ですが、魏志倭人伝に即位のとき既に歳は長大とあり、もし即位年がカニシカ王と同じ230年頃であったとすれば、卑弥呼は即位時60歳であり、年已長大という魏志倭人伝の記述と符号します。また退位は概ね合致していますので、カニシカ2世の生年を170年頃と措定しても矛盾は生じないように思えます。

  • ヴァーシシュカ 生年:不明   即位247年 退位:267年
  • 台与      生年:235年  即位248年 退位:不明

台与の生年は検索で概ね235年とされていることが分かります。台与は13歳で即位したとありますので、即位年は248年だと考えられ、クシャーナ朝の王・ヴァーシシュカの即位年247年(英語版wikipedia等)と概ね一致します。台与に関する最後の記録とされるのが266年(泰始二年)の西晋王朝への朝貢であり、その退位をヴァーシシュカと同じ267年と措定しても矛盾は生じないように思えます。ヴァーシシュカの生年は不明ですが、台与と同じ13歳即位だと仮定すれば234年になります。

 

以上から「クシャーナ朝・カニシカ2世と倭王・卑弥呼」そして「クシャーナ朝・ヴァーシシュカと倭王・台与」の生年・即位年・退位年は近似すると考えていいように思えます。推測になりますが纏めてみます。

  • カニシカ2世 生年:推定170年頃 即位:230頃        退位:247年頃
  • 卑弥呼     生年:170年頃   即位:推定230年頃 退位:248年頃 
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  • ヴァーシシュカ 生年:推定234年 即位247年  退位:267年
  • 台与      生年:235年   即位248年  退位:推定267年
wikipediaにクシャーナ朝の王に関して次のように記載があります。
  • クジュラ・カドフィセス(丘就卻)   40-80年頃
  • ヴィマ・タクト(閻膏珍?)      90-113年頃
  • カニシカ1世(迦膩色迦)       128年-155頃?
  • ヴァースデーヴァ1世(波調)   182頃-230頃?

これに習えば、卑弥呼と台与は次のように表示できるかもしれません。

  • カニシカ2世(卑弥呼)        230頃-247頃?
  • ヴァーシシュカ(台与)       247頃-267頃?

結論としては、実体としては卑弥呼はクシャーナ朝・カニシカ2世であり、台与とはクシャーナ朝・ヴァーシシュカである様に思えます。