今回は1966年にリリースされたビートルズの両A面シングル”Ereanor Rigby / Yellow Submarine”です。この2曲は同年リリースのアルバム”Revolver”からのシングルカットとなっており、アルバムと同時の発売でした。そのため、”Revolver”のモノラル盤でも全く同じバージョンを聴く事が出来るので、わざわざシングル盤も入手する意味を感じられないかも知れません。しかしながら、音質的に有利である45回転のシングル盤が持つ圧倒的な情報量の多さには終始圧倒されるばかりです。”Revolver”のモノラル盤と比較してみましたが、シングル盤の圧勝でした。”Revolver”のモノラル盤も素晴らしい音である筈ですが、シングル盤の音圧の前では最早大人しい音です。


UKオリジナル盤。マトリクスは両面-1の初版。品番はR5493となっており、モノラル盤のみです。当時のスリーブも付属しますが、一部破れています。


”Ereanor Rigby”はジョン・レノンとポール・マッカートニーによる共作扱いですが実質マッカートニー手掛けた楽曲。ビートルズのメンバーは演奏に関わっておらず、外部ミュージシャンによるヴァイオリン、チェロ、ビオラによる弦楽八重奏の前でマッカートニーが歌う構成になっています。ステレオミックスは出だし部分のミックスミス(本来シングルトラックであるべきボーカルが一部ツイントラックになってしまっている。文書で説明するのは難しいので聴き比べてみて下さい。)が有名ですが、手間暇掛けて作られたモノラルミックスには勿論その様なミスは有りません。


もう片面にはリンゴ・スターがリードボーカルを務める”Yellow Submarine”が収録されています。中期ビートルズを代表する楽曲の一つです。様々な効果音が挿入されており中々賑やかな雰囲気です。因みに、彼がリードボーカルを務める楽曲の内シングルになったのはこの楽曲のみです。ほのぼのとした歌声が曲の雰囲気と非常にマッチしています。リンゴ・スターは決して歌唱力が高い訳では有りませんが、非常に味のある歌声です。”Yellow Submarine”の制作クレジットはレノン=マッカートニーと共作扱いになっていますが、実際にはマッカートニーが単独で手掛けたものです。この楽曲も矢張りミックス違いが存在しており、特に分かり易い部分はイントロのギターが入るタイミングの違いです。ステレオミックスはボーカルがやや先に入る一方、モノラルミックスはボーカルと同時にギターが入ります。


盤のコンディションは細かい擦れが散見されるごく普通の中古品といった状態ですが、モノラル盤である事も相まってノイズは全く気になりません。入手も然程難しくありませんので”Revolver”のモノラル盤と併せて是非聴いて欲しい1枚です。