猫伝染性腹膜炎(FIP)の治療剤の歴史&治療剤の種類と特徴

何回かに分けて現在の海外の状況を含めた世界的な猫伝染性腹膜炎(FIP)の治療状況とそれに伴う様々な情報を整理し、内容を共有していこうと思い、今回はその2回目です。

前回の猫伝染性腹膜炎の治療の歴史と今後の治療と治療への思いについてはこちらからご覧ください。

 

 

◎FIP治療薬の始まり

現在までは正式に猫伝染性腹膜炎(FIP)の治療のための薬は出ていません。

 

そのため様々な人のために開発された抗ウイルス剤の中で似たような猫伝染性腹膜炎に適用できる様々な成分と抗ウイルス剤を使用するようになりました。

 

猫伝染性腹膜炎は基本的にコロナウイルス系のレトロウイルス治療を基準に様々な治療剤を現在適用しています。

 

 

 

・・・FIP治療薬の歴史と種類および特徴・・・

猫伝染性腹膜炎治療薬①:GC376

FIP治療薬 GC376

はじめの臨床と治療事例に使用された治療剤はGC376とGS−441524の2種類があります。

 

GC376は子猫(幼い成長中の猫)に奇形及び様々な副作用が発生する可能性があり、完治率及び再発率で高くない成果が見られたため初期臨床以降は事実上現在の治療では使用されていません。

 

簡単に言及のみして次の話に進めていきます。

 

猫伝染性腹膜炎治療薬②:GS−441524

FIP治療薬 GS−441524の研究

2番目に進められたGS−441524の成分(以降レムデシビルがコロナパンデミックに使用された薬としてこの成分が適用されます)は、はじめにギリアド サイエンスで研究中の候補物質でした。これをアメリカのペダーセン博士が猫伝染性腹膜炎の治療に適用できる様々な成分のうちの一つとして選択し臨床が進められ、最終的にかなり効果的な治療方法であることが証明されました。

 

UC DavisのDr.Pedersenによる臨床研究の資料です。

 

 

初期の臨床でもほぼ大多数の患者達が治療でき(85〜90%以上の完治率)以降の追跡観察でも再発の事例はかなり少なく再発する患者たちも投与量の増量を通して再治療を終わらせることができました。

 

以降2019年から現在に至るまで世界的にほとんどの動物病院または治療コミュニティでGS−441524は多くの患者を救ってきており、様々な臨床でも最も使用されている薬剤となりました。

 

しかし、このように高い評価と低い副作用の発生率が立証されたにも関わらずギリアド サイエンス社では動物用の医薬品市場性が低いとともに、より収益性の高い人間のための抗ウイルス剤として適用するためにGS−441524の動物医薬品の発売および他の製薬会社へのライセンス使用も全て行わないとしました。

 

 

GS−441524の製造メーカーの登場とブラックマーケット

 

そのため既に最も猫伝染性腹膜炎の最適な治療剤として十分に検証されたにも関わらず患者と家族と獣医師は認証された治療剤を手に入れることができずブラックマーケットに頼らざるを得なくなりました。

 

2019~2020年の始めに中国の大手製薬会社と医薬品原料メーカーから出た非常に高い純度の品質が良いGS−441524が発売されました。この時Mutian(ムティアン), Slayer(スレイヤー),  Rainman(レインマン)等の非常に良い品質の製品が発売された時期でした。

 

しかし様々な法律的な問題によって全てが閉ざされ、2020年~2021年には零細製薬会社から大手製薬会社まで全てがブラックマーケットに隠れるようになりました。この時20~30も超える会社が乱立することになり、いくつかの不良品も出回るようになりかなり混乱している状況になりました。

 

このことは猫伝染性腹膜炎を治療する患者と家族にとっては本当に辛い時間となりました。唯一の治療方法があったにも関わらず供給も不安定で競争が激しくなり、治療剤の含量や品質等の多くの欠陥がある製品が発売され実際に多くの患者が当時再発や治療中の悪化等の状況に合わないといけませんでした。

 

*次回にもう少しGS−441524について詳しくお話をしようと思います。

 

猫伝染性腹膜炎治療薬③:レムデシビル

FIP治療薬 レムデシビル

またこの頃(2019年〜2020年)から人々の間でもコロナウイルスパンデミックで世界的な困難と閉鎖があった時期であり、この期間で新型コロナウイルス感染症のための治療剤の開発が急速に進み始めました。

 

この時にGS−441524を基盤にレムデシビルというコロナ治療剤が開発され始めました。これが現在、私たちも知っているレムデシビルであり、一部発売された国では獣医師の先生がオフラベル(off-label, 適用外使用)で猫伝染性腹膜炎の治療のために処方して臨床が進め始めました。

 

比較的に入手が難しく、国によっては獣医師の先生の処方が不可能な場合もあり受給バランスや価格などの問題から様々な問題があり、現在のところ多くの治療が行われていません。しかし、やはり正式な処方が可能な製品として猫伝染性腹膜炎への適用やレムデシビル経口薬など様々な研究と臨床が進行中です。

 

レムデシビルの海外での評価

現在多くの海外のコミュニティの評価では分子量がGS−441524より大きくて投与量が大きく増えるため猫への適用事例は多くはありません。そのため適正投与量に対する正確な指標が無いのが現状です。一部臨床ではGS−441524に比べて再発率が高かったりと問題が発生しており、猫にどのように適用できるかはまだ確実ではない状況となっています。

 

 

 

猫伝染性腹膜炎治療薬④:モルヌピラビル (EIDD−2801)

 

FIP治療薬 モルヌピラビル (EIDD−2801)

そして最後にEIDD−2801 モルヌピラビルは、新型コロナウイルス感染症の治療剤として開発され、一部の国では安い価格で製品許可が出るようになり(特にインド産のレムデシビル)やはりこれを猫伝染性腹膜炎の治療のために適用している試みも多く発生してきています。日本を含め他の国の複数の獣医師が臨床的に使用し、海外コミュニティーでも以前から再発や耐性がついた患者への治療に適用し始め、既に1~2年の月日が経過しています。

 

レムデシビルは手に入れやすい状況で比較的低価格で購入できるというメリットがあります。臨床や実際の治療事例でも猫伝染性腹膜炎に十分に適用が可能な治療剤として認められており、正式医薬品として獣医師の先生も適用外使用(オフラべル)が可能というメリットもあります。

 

モルヌピラビル (EIDD−2801)の海外での評価

現在、大部分の海外治療コミュニティーでは最初(初発)の治療患者には推奨していません。大抵の場合GS−441524治療後の再発、薬剤耐性が発生した患者に使用するようにと推奨されています。この理由としてGS−441524よりも毒性や副作用が強いという直近1~2年間の治療現場からの評価があるためです。

 

副作用は全ての患者に発生する訳ではありませんが、非常に多くの患者から耳が折れる、抜け毛、肝毒性などの様々な副作用が発生しているという内容の報告が多く上がっています。

 

 

下の記事は実際に、GS−441524の無痛注射と謳いながら、レムデシビルやモルヌピラビルを使用していたという海外のコミュニティからの注意喚起です。この中にモルヌピラビルの副作用についての報告も上がっています。

 

 

 

海外でのモルヌピラビル (EIDD−2801)を使用した治療方法

モルヌピラビルの副作用が発生しているという内容が多数報告されているため、GS−441524の治療が可能であれば、初発(1回目)の治療はGS−441524を使用し、再発時に薬剤への耐性が見られ、それを避けるために追加的に使用することを一般的に推奨しています。

 

 

今日はこのように猫伝染性腹膜炎に使用可能な治療剤とその状況についてお話をしてみました。次回はGS−441524について詳しくお話をしようと思います。

 

 

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