美徳のよろめきを読んだ。180ページほどなので2日で読めた。それにしても三島由紀夫氏は天才だと思う。まず女を主人公にするというのは男には難しいと思う。自分だけがそうかも知れないが。金閣寺の様な氏特有の修飾語に散りばめられた文体は少ないが、不倫という内容は今も60年前も変わらないだなと感じた。今度は禁色を読んで造詣を深めたい。
先日から三島由紀夫氏の事を投稿しているが、どうも氏の小説は暗いなと感じた。短編集がたまたまそうかも知れないが、、ただ20代前半の文面にしては語彙力、表現力が素晴らしい。自分は古い人間なのか最近の小説特有の言葉の乱れや、セリフでなくても若者言葉の乱用が好きでない。読むと不快になるのであえて古い小説を読んでいる。戦争小説を読んできて、ビジネスに役立てようと思ってきたが、確かに戦争小説はしっかりとした取材をして文章を作っているわけだが、やはり氏の小説はオリジナリティた富み、ビジネスに役立てるのではなく、読んだ事により別世界に誘ってくれ気分転換してくれるという効果に気づいた。まだ氏の小説を読み始めたばかりなので、これからも読んでいくのかわからないがそう思った。
三島由紀夫の短編集ラディゲの死を購入した。氏の若い時の短編集なのだが、少し読んで氏が天才と再認識した。
私が驚嘆したのは「山羊の首」という作品で氏が23歳の時のものだ。
舞台は戦後直後で40男が主人公で若い女と情事していると、自分が買っていた山羊が少年達に食われてしまい、首が置いてあり、その目が尊厳に主人公をみつめており、彼が女を口説くたびに山羊の首が出現するというものだ。
氏は語彙力が凄く、これを23歳で書いていたというのは凄いと思う。

どうも三島由紀夫というと小説家というより、楯の会主催の活動家であったり、ボディビルで鍛錬した肉体を晒したりとか、他の要素が入ってきてしまい、この人の文はどうなのだろうかと思ってしまう。
しかし文体は本当に素晴らしい。逆にそこまで天才的だからこそ、他の活動がより注目されたのではないだろうか?

氏を検索すると氏と関わったとして著名人が雨あられと出てくる。全てをそのまま受け入れるのは安易すぎるかも知れないが、石原慎太郎は氏を否定するも生前は可愛がってもらったとか、美輪明宏に氏がぞっこんであったが死後、美輪氏は氏を尊敬し続けていたりとか、真相は不明だが美智子皇后様と見合いをした事があるとか、手塚治虫は氏に否定されてから氏をライバル視したとか。
残念ながら彼の死後に生まれた自分としたら小説を通じてしか氏を垣間見る事はできないが、もう少し氏を掘り下げていきたいと思う。