昨年公開作でずーっと見たい見たいと思っていた待望の作品を鑑賞して参りました。
この世界の片隅に
を見てきました。
2016年を対象にした映画賞を各種総ナメにしている大ヒットアニメ映画。
このブログでもちょくちょく「見たい見たい」と言っていましたが、無事日本に帰ってきたということで鑑賞することができました。
見てきた感想をざっくり一言で言えば
すごい!!
けど、
あれ・・・?
って感じの映画でした。
あまりにもオアズケになりすぎて期待が膨らみすぎてしまったせいか、若干の肩透かしが実はありました。(とはいいつつ、めっちゃボロ泣きはしています。)
もうちょっと詳しい感想を書いていきます。
●大失敗!私が原作読みすぎ問題
今回映画を見て大失敗だったなぁと思ったことが一つあります。
それは
私が原作漫画を読み込みすぎてしまったこと。
中国滞在中に、映画鑑賞をオアズケされている気持ちを紛らわすために、電子書籍にて原作漫画である「この世界の片隅に」を全巻購入しました。ワタクシはこれを何周も何周も何周も重ねてしまっておりました。朝から通勤電車の中で何度涙したことか・・・。おかげで、すっかりストーリーを頭に叩き込んでしまった状態になっていたのです。
そしてこのアニメ映画版「この世界の片隅に」は原作のストーリーを結構忠実に詰め込んでいます。おかげで、映画のストーリーの展開が分かっている私には、「この後どうなるんだろう・・・」ということが分かってしまっている分、楽しみを損なった状態で鑑賞することになってしまったのです。
というのも、映画版では『すずさんと周作さんとリンさんの関係』のエピソードが大幅に削がれているので、原作を読み込んでから見る本作は、私には損なっている状態のものとして映ってしまいました。がっかりというか、これに関しては非常に「しまった」と思いました。
おそらく「映画」→「漫画」の順で見るべき作品だったように思います。そうすればどちらの媒体でも100パーセントの気持ちで楽しめたような気はします。
●映画におけるプラスアルファ
もちろん、映画の文脈だからこその要素やプラスアルファの部分はあり、そこにはなるほど!と思わされました。
例えば、
映画の中でも非常に大きな事件が発生するあのシーン。映画特有の映像で描かれて非常に印象的でした。またその後の布団の中で考えに耽(ふけ)るシーンも、漫画では印象的な見開きの場面でしたが、そこも画や音声の使い方が絶妙な、見事な映像に昇華されていました。
また、漫画にも描かれていなかった場面やエピソードもいくつかあり、結婚に向かう列車の社内描写や、最後の方の“あれ”など、この映画を見たからこそ広がる物も、あった事は間違いありません。
そんな感じで、傑作漫画の忠実なアニメ化作品であり、漫画を読み込みすぎた私には総集編映画な気持ちにもなってしまった、映画鑑賞の失敗体験という感じになってしまいました。
ちょいちょい映画鑑賞の“予習”なんて表現を使ってますが、アニメ映画好きとしてはやっぱり映画鑑賞後の“復習”で原作を追うほうが良いような気がする経験となりました。
そして、
実はこの映画鑑賞時に、直接片渕須直監督にお会いすることができました。
浜松シネマイーラさんの舞台挨拶付き上映回での鑑賞だったのです。
当日は3月19日ということで、作品の舞台である呉市にある呉高校が高校野球で直前に勝利をしたエピソードや、呉の大空襲が始まった日でもあることなど、リアルタイムならではのエピソードを話してくれました。
また浜松市を経由した食材が当時、すずさんの住む呉まで運送されていたことなど、流通に関するエピソードもしてくれまして、作品のような戦時中の世界でもインフラが想像以上に整っていたことなども紹介してくれました。
どの日付に何があったかなどの原作同様のリアル主義っぷりを感じるエピソードを聞くことができました。
前述のように原作から削がれた部分が映画ではあるのですが、この登壇時も監督自身が120分の尺を非常に意識しており、描きたいことを詰め込みきれなかったことを述べておられました。より尺を伸ばした拡大版の制作についてもはっきりとした明言はしていなかったものの、実現の可能性があるようには感じられました。今回の鑑賞で不足感を得た私としては是非制作して欲しい限りでございます。
登壇後はサイン会も実施。
その後には静岡の映画館でも登壇されるそうで、本当に各地を回ってお忙しい中、浜松でも対面の機会を設けてくれたことに、監督とシネマイーラ さんに感謝です。わずか数秒ではありますが、直接感謝と応援の旨をお伝えできたことが嬉しく思います。
ピークは越えてしまいましたが、「この世界の片隅に」の上映館はまだまだ多数。まだ漫画とか全然読んでない人にこそ、センスオブワンダーな一作なのでぜひ足を運んでみてください。
この世界の片隅に公式サイト:http://konosekai.jp/
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