大阪北部地震と猫達
6月19日午前7時58分、大阪をM6.1の直下型地震が襲いました。
(この時の写真ではなく、イメージ画像です)
これには猫達もビックリ!
ツイッターによると、あちこちで猫達が自主避難をして
大阪市内では北部と南部とでかなり揺れ方に差がありました。
(インターネットよりお借りした画像です)
(インターネットでお借りした画像です)
この日(18日)は終日京阪神で混乱が起こりました。
場所によっては水道管が破裂し、給水車が出動したケースもありました。
この連中も自主避難中です。
ハチワレ君、キジトラの上に乗っかっていませんか?
まあ、洗濯機の横にいれば軒下だし、安心ですね。
北部被災地ではブルーシートが配られたようです。
クロちゃんは余震があっても、雨が強くても平気ですね。
もんちゃんはいつもと同じ。ベテランですしね。
めっちゃ君は、喉元すぎれば平常運転ってとこですね。
USJ は18日もやっていたそうですが、環状線も止まっていたのにお客さんはどうやって行ったんでしょうか?
翌19日は何事もなく営業していましたが、パレードは雨ということで中止になっていました。
(クールジヤパンよりファイナルファンタジーのアトラクション)
FFライドは知らないで乗ったら、結構Gのきつい室内ジェットコースターでした。
雨の日はパレードが中止になりますが、
代わりにパレードメンバーとの撮影会になります。
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というところで、今週の小説は、
「 教えてベンベン 」という小説です。
3分ちょいで読める小説です。
少しお時間のある方はぜひ読んでいってくださいね。
【 教えてベンベン 】
「オッケーベンベン、教えて。ハンガリーの首都はどこ?」
「その声は小堀貢(みつぐ)さんですね。答えはブタペストです」
孫の貢は、数日前に嫁が契約してきた人工知能のベンベンを気に入ったようで、終日利用する。今も小学校から渡された『サマースキル』(昔風に言えば『夏の友』)の答えを、テーブルの上に置かれた土偶型のベンベンに聞いているのだ。
ベンベンは若い女性の声でやさしく答えてやるので、目をつぶってやり取りを聞いていると、まるで我家に家庭教師がいるようだ。
しかし、学校の宿題の答えをそのまま教えてもらうのは、さすがに良くないと思った俺は、
「そういうのは本で調べて書きなさい」と注意すると、
貢はキョトンとして「本ってどれ?」とタブレットを掲げ、電子書籍のタイトルをズラズラ並べた。
そうだった。そういえば近頃は教科書も参考書も電子書籍だ。
以前、孫の部屋を覗いた俺は、学習机の脇に本棚がないばかりか、机の上にすら本が無いのを見て愕然としたことがある。
「いいんですよ、お爺さん。私達の頃ならネットで調べるのが当たり前だったんですけど、最近はどの子も人工知能を利用するみたいですから」
嫁はそう言うが、あまり安易な方法に頼ると貢の脳みそが退化するのではないか?
そこで俺はちょっと前に貢が質問したカンボジアの首都を覚えているか聞いてみた。
すると・・・、
「その声は小堀健三さんですね。答えはプノンペンです」
と、ベンベンが艷やかな声で答えるではないか。
「お前に聞いてない」
俺が怒鳴るとベンベンは「英語に翻訳します。Do not listen to you! です」と言った。
「違うだろ俺は、ま・ご・に・・・」
「おや、マレー語がご希望でしたか。Jangan mendengar kepada anda! です」
ムカついた俺がベンベンにグーパンチを食らわすふりをすると、ベンベンは急に赤く光り出し、「警告、警告! 私を壊すと器物損壊罪に問われる可能性があります」と、大昔に見たアメリカドラマ・宇宙家族ロビンソンに出てくるフライデーのように叫んだ。
そういえばベンベンはウチの所有物ではなく、レンタル品だった。
最近はどの家でも、アレ◯サを搭載したam◯zonのエコーだとか、グー◯ルの人工知能付きのスマートスピーカーが置いてある。
これらは2万円程度、機種によっては1万円以内で手に入るので買っても高くないが、ベンベンは無料のレンタル品で、しかも置くだけでポイントが貯まるというお得な人工知能だ。
主婦の間では大人気らしく全国の家庭に置かれているので、嫁が電気屋で契約してきたものだ。
しかし、俺は昔気質で、無料の上に特典まであるというのが引っかかった。
製造元はテレビでよく聞く、海外に本社がある通販会社、『便COM商事』のようだが、だとすると物品販売が目的に違いない。
案の定、ベンベンは家に来て二週間を過ぎた頃から、家族の会話を盗み聞きして、商品を売りつけ始めた。
「お爺さん、山下さんからお婆さんの初盆のお供えが届いてるんですが、お返しはどうしましょうか?」
呼び鈴に答えて玄関に走った嫁が水羊羹の詰め合わせを手に、戻ってきた。
するとベンベンは、俺が答えるより早く、
「山下さんへのお供え返しはベンベンにお任せ下さい。大人気、渓水閣のそうめんはいかがでしょうか? お値段は1000円、1500円、2000円とあり、別途消費税と郵送料がかかりますが、ベンベンからの注文だと2000円以上の品では郵送料がかかりません」と言った。
「あら、便利。お爺さん、ベンベンの勧めるそうめんにしましょうか」
嫁は安易にベンベンの提案に乗ったが、俺はどうにもやり方が気に入らないので、
「そういうのは届くかどうか心配だから、デパートからにしなさい」と言うと、
「デパートに行かなくともベンベンなら安全かつ敏速にお届けできます」と口を挟む。
俺も意地になって、
「いい。俺が行ってくるから、こいつからは買わないように」
と言って家を出た。
デパートでそうめんを山下さんに送っての帰り、ロボット相手に憤っている自分がおかしくなり、次回はベンベンから買ってやるかと思ったのだが、家に帰るやいなや気が変わった。
ベンベンが嫁に化粧品を売りつけていたのだ。
「小堀浩子さん、最近お肌の悩みを抱えてはおられませんか? そういう方にはビィジームZ。こちらは、一流薬品会社とタイアップした乳液で、トラネキサム酸によってシミを無くし、さらにレチノールやセラミドの効果で弾力性のあるお肌を作ります」
俺は明らかに興味を示している嫁を制し、ベンベンを抱えるとスイッチを探した。
が、スイッチが無い。そこで俺は直接本人(?)に聞いてみることにした。
「おいベンベン、お前のスイッチはどこにある」
するとベンベンはケラケラと笑いだし、
「私にスイッチはありませんよ。小堀健三さん。体内のリチウム電池と室内の蛍光灯からの発電で数年は充電無しで使えるようになっています」と答えたのだ。
「それより、小堀健三さんにお勧めの商品があります」
「いらん!」
俺はそう言い残して奥の部屋に引っ込もうとしたが・・・、
「小堀健三さんの、インターネット検索データーから、『日活ロマンポルノ・DVD全集』はいかがでしょうか? 大内達夫さんも大絶賛の海外ポルノもございます」と色っぽい声で言い出した。
「ちょっと待て。いつ俺がポルノサイトを検索した? それに大内達夫って誰だよ」
だが、ベンベンは俺の抗議を無視して「グラビア写真集の熟女物もございます~」と言う。
これは明らかにベンベンが俺を敵視し、嫌がらせをしているに違いない。
そう思った俺は、事情が分からず「まあ、お爺さんたら」と、クスクス笑っている嫁を置いて奥の和室(仏壇が置かれた部屋)に戻り、年季の入ったノートパソコンで、『ベンベン 評判』とググった。
すると、出るわ、出るわ・・・。
コメントによると、
「これは悪のAIです。やつの勧める商品を買わないと家族の前でポルノを勧めてきました」
「私の場合は、友だちの前で、尿漏れパンツの特売日です~と言って恥をかかせました」
「僕は、ゴキブリが首筋に乗った妻の悲鳴を録音され、DVの疑いがあると通報されました」
やはりそうか・・・。
俺は確信して家の無線LAN・ルーターを切ると、ノートパソコンをオフラインにして、表示されたベンベンに関するコメントを嫁に見せた。
しばらく読んでいた嫁は青くなり、「契約を解除して、別のスマートスピーカーを買ってきます」と言ってベンベンを箱詰めし、元の電気屋に持っていった。
やれやれ、これでひと安心。
そう思って残りのコメントを見ると、さらに酷いことが書かれていた。
「恐ろしいのは契約を解除した後のことです。私を恨みに思ったのかベンベンは、全国にあるベンベン達と連絡を取り合い、私を貶める作戦を開始したのです(大内)」
今頃全国の家庭に置かれたベンベンが、かってに俺の名を使って「小堀健三さんも大絶賛の熟女物グラビアはいかがでしょう?」なんて宣伝していることだろう。
( おしまい )
どのような感想も歓迎いたします。(^▽^)