今日の中国考察。 | とあるインテリア・家具デザイナーのブログ

今日の中国考察。

もうそろそろ新年を控え、田舎に帰り出す者も多くなってきた。

夜の仕事やサービス業に従事する者などは、比較的田舎に帰る時期が早いように感じる。

一方製造業に従事する者はギリギリまで仕事をするのだろう。

そして倒産寸前の工場の経営者は工員が田舎に帰る春節を利用して、

人減らし、夜逃げ、売却と色んな事を考えるのだろう。

さて、国家主席が交代してから中国国内での報道を見ていると、

さまざまな変化が見て取れる。

この変化は要約すると、国民のための中国だと認識させる変化である。

汚職の撲滅対策や視察の簡素化などはかなり報道されている。

しかし、この国が滑稽なのはそれを国民が全く信じていないことである。

視察に関しても、背景を合成して誰でも嘘だと分かるコラージュで

それを堂々と放送していたり、汚職の追求も詰め腹を切らされるのは主に

地方の官僚、中央まで追求の手は到底及ばない。

そして尖閣諸島関連の異常な報道体制。

この国の報道では尖閣諸島が中国の物で日本が横取りをした状態を前提に

論調が展開される。まあ去年のデモで民衆が一丸となった怖さも理解しただろうし、

どの程度まで進行したら、軍隊でも抑えが効かなくなるかも理解できただろう。

この国は子分である習近平を国家主席とした、

江沢民がワンマン経営者の非上場株式会社みたいなものである。

貨幣を武器に社会主義化した企業のように、末端に富は公平に分配されない。

重要な意思決定は常に密室で行われる。

暴動が散発的に起こっているフォックスコンの国家バージョンとでも言えばいいかと。

おそらく彼が死ぬまでに対抗勢力が力を持つことはないだろう。

それくらい力を持っている。だから彼が死ぬまでは彼が墓場まで持って行くであろう。

過去のとんでもない規模の汚職は隠蔽されるであろう。

ただ最近の中国は国民の目を気にしている。

経済が成長、活性化、グローバル化すれば、当然知識を持ち、

それ自身のベクトルは資本主義へと向かう。

そして彼らが今求めているのは公正な選挙と言論の自由、政治の透明性である。

政府は個人の力学を徹底的に潰しにかかる。

だから彼らが求める変化は対立する構図しか生み出せず、それは溶解せず圧力となる。

軍は今までになく力を持ち、実績のためか国土拡大に精を出している。

過去の歴史では戦争に負けた負い目からか、この種の劣等感は異常に強い。

マンパワーの生産性はピークに達したといっていいだろう。

今後は成熟期となり、それに応じた産業が出てくると考えられるが、

内需拡大策に応じたスピードで産業を創出することは不可能である。

先般の大規模な内需拡大政策の予算の数10%は官僚の懐に入ったであろう。

現在内需拡大政策をとり目下インフレ中だが、大部分の国民の収入はその割合に応じて

上がっているわけでもなく、中間層の生活レベルは向上していない現状。

ただ経済の成長は鈍化し、汚職や利権の旨味も以前ほどの規模ではなくなっただろう。

また超個人主義に基づく拝金主義も中国人が世界で嫌悪される原因である。

そして資源の乱開発によって、内陸部では慢性的な水不足となり、

ウイグルでは砂漠化が進み、汚染され使用不可となった耕地も多い。

そして北京では大気汚染で人間の日常生活にまで影響を及ぼしている。

別に1党独裁支配を辞めよとはいわないが、有る程度資本主義の理念と折り合いを

つけないと、この体制が長くは継続しないことは目に見えている。

彼らはそれをどう阻止するかしか考えていないため、理解ができない。

だから国民とのギャップは大きくなる。

「商売は好きにしてもいい、だが政治に口は出すな」

この体制がどこまで持つかはもはや壮大な実験である。

私は習近平政権時に体制の変化を余儀なくされる大きな変容が起きると予想している。

修正不能なひずみを抱えた国、中国。

彼らはどこに向かうのか...