ブランドと中国 | とあるインテリア・家具デザイナーのブログ

ブランドと中国

仕事が落ち着きましたので、ブログの更新です。

中国においてビジネスを行うにあたり、ブランディングという概念を考えてみます。
経済活動を行うにあたり、広告活動、ブランディング戦略は企業にとって重要なもの
であります。また中国という市場の特性として、他の経済発達した他国(アメリカや日本)
と比較すると、あまりにも短期間に外国の商品が流入し、マーケットを形成してきた背景
があります。ですので不特定多数の消費者が固有の商品に対して固有の思考を形成できて
いないと思うのです。

例えばメルセデスベンツを例にとると、
仮に日本、中国それぞれA,B,Cさんがいたとします。
日本人のメルセデスベンツへの評価は
Aさんー車体のデザインが好き
Bさんー動力性能が好き
Cさんー機能性があり、それが好き
という具合に評価はまちまちです。
しかし中国ではAさん、Bさん、Cさんの評価が似たりよったりで平均的になって
しまうのです。

それはなぜか?
私が思うに近年の経済発展において、あまりにも短期間でマーケットが形成されたため、
消費者が固有の商品を個人固有の思考において判断する思考の形成がまだ不足しているの
だと思います。
ですからより消費の傾向が他者依存型に近い現象がおきるのです。まだ消費者が固有の
商品の情報をすべて知り得ていないし、競合商品に対する知識もまだまだ足りないと
思います。ですので周囲の状況が消費者が購買の対象の決定に関与しやすいんですね。
また市場の拡大が近年顕著だったことから、1つの市場に参入すれば、なんとか企業活動
を維持できる、そんな状況だったのです。

企業の大型広告は商品の説明よりも、イメージの構築に重点をおき、大規模な面の戦略を
おこなってきました。とにかく大規模な広告によって消費者はイメージを植え付けられ
商品を購入し、市場が形成されてきました。これは悪い言葉でいうとイメージの洗脳ですね。
だからブランド名は知っているけど、どんな商品?という人間がとても多いんです。

しかし、そのような状況も今現在落ち着きつつあり変化が見られます。
世界の工場として外需主導で発展してきた中国ですが、ここ近年政府の経済における方針
を内需へと舵取りしていく方向に切り替えたことによって、また大都市の中流層以上の
クラスの人間のライフスタイルの変容も伴ってよりすべてが多様化していっているのです。

分かりやすい例をあげると、日本食レストラン。
数年前は日本食といえば、総合日本料理店。いろいろな料理があるのですが、どれも
美味しくない、こんな店ばかり。しかし近年は焼鳥屋、寿司屋、しゃぶしゃぶ屋、FFなど
専門店の多様化が始まっています。

つまり現在の中国の大都市における市場は発展から成熟の過渡期なのです。

これからは寿司屋1つとっても、その業態の多様化が顕著になっていくでしょう。
例えば高級カウンター寿司や回転寿司、回転寿司のカテゴリーの中でも安価なもの、
比較的高級なもの、などなど。

人間の生活水準がある一定(最低限の生活が保証された状態)のところまで到達した状態から
価値観の多様化は始まっていきます。つまり余剰=個性と考えてもよいかもしれません。
車、スポーツ、音楽、食など個人の個性を形成する価値観的要素は無限にあります。
また日々、新しい価値観も生まれています。
さらにインターネットで情報が洪水のようにあふれだす時代ですから、
情報に乗って流行を謳歌する人間、情報を選別して「こだわり」を持つ人間など
さまざまですね。

とりとめもなく書いていきましたが、これからの中国におけるビジネスでは、これから
市場が成熟していく過程において、価値観の多様化をどう解釈するか?
この部分がとても重要になってくると思います。
欧米人は日本人と比較して物事を寡占したがる傾向にあります。
一方日本人は棲み分けをよしとする心のゆとりがあります。
両者の傾向が上海での外資参入ビジネスに顕著にあらわれています。
化粧品で言えば、ロレアルと資生堂の戦略の違いに見る事ができます。
ロレアルの市場の寡占を最優先とした、大規模な面の広告戦略、一方資生堂の小規模から
始めた対面販売で商品のクオリティーを知ってもらい、そこから規模拡大していく、
同じ業界の戦略をとってもこれだけ違うんです。

しかし多様化とともに、規模より質がより問われていくのは必然の流れです。
質は価値と同義と考えれば、価値を持ちそれを低下させないビジネスを構築しなければ
いけません。その価値=高い粗利です。私のような少数人数の企業ほど、この部分を
大事にしないといけません。

中国で仕事をすると、考えることは無限にあります。