「ねへさん、何でそこに居るんですか?」

 

始めに謝らなければならないことがある。

今回のらいだぁ杯、諸事情により決勝戦のカバレージを記録することができなかった。

 

らいだぁ杯はディソナ杯前日に開催され、各チームの直前調整の場となるはずだった。

だが、ウルズ・14歳JK・てらたかチームでは、てらたか氏が運営のため出場できない。そこで僕に白羽の矢が立った。

 

僕は周知の通り、ほぼウィクロスに触れていない。ディソナと聞くと銀行を連想するレベルの僕が、一昨日に14歳JK氏よりユキのレシピを受け取り、1日個別指導を受けた程度で山をまともに回せるはずもない。所詮は代打。チームメイトには悪いが、予選でさっさと沈んで本業のカバレージ執筆に移ろう。そういう目論見だった。

だが、崩れてしまった。

 

予選最終戦でバーストチャンスを決め、チームを決勝トナメに導いてしまった。

そして決勝戦では、立ち会うことが出来ずに3位決定戦の席に就き、1勝1敗の状態から最後に勝利し、またまたチームを勝利に導いてしまった。

 

カバレージを逃したのは、全ては僕の実力の致すところ。本当に強すぎて申し訳ない。

 

まぁ、14歳JK氏が本家ユキでディソナ祭を5-1したのだから、山が強かったというだけなのだが。

自分語りはこの程度にして本題へ移ろう。

 

 

1.同年代対決

 

ドラクエ3はバラモス撃破で終わらない。

杉下右京の「最後に1つだけ、よろしいでしょうか?」の質問は一言で終わらない。

らいだぁ杯は決勝戦で終わらない。

 

この世の三大真理である。

表彰式の後、らいだぁ杯のおまけ、いや聴衆の盛り上がりではどの戦いよりもアツいイベントが待ち受けていた。

 

エキシビジョンマッチ

 

らいだぁ杯運営の3人が、環境の主流などという固定観念を無視した、己の個性に特化したデッキを持ち込み、優勝チームを迎え撃つ。

数々のチームを撃破し、頂点に上り詰めた選手とデッキを前に、一歩も退くことの無い戦いを見せつける。

余計な物音1つ立てないガチの賞レースでは見られない、突飛なアイデア、プレイング、そしてLBに、選手と聴衆は一体化して熱狂する。

今回もまた、そのような熱い場に立ち会えることを光栄に思う。

 

らいだぁ(アンジュ with マドカ・マキナ) VS しみずき(メル with LION・マキナ)

 

まずは軽く選手紹介。

といっても、2人とも最早不要なレベルの超有名人。

 

らいだぁ選手は主催として、だぁ杯を11回も開催してきた。

僕は中華街の誘惑に釣られるせいか、優勝には縁が無く、なんなら今日の3位が最高成績という気がするが、だぁ杯では毎度カバレージを取る機会を頂く間柄となっている。

僕自身、飲みクロスというイベントを主催したから分かるものの、運営として多くの選手と関わり、円滑に進行することは大変なことである。ようやく10年が見えてきたウィクロスというゲームで、年1回以上の頻度で、コロナを乗り越えて大会を開き続けるというのは立派な偉業だと思う。今後も期待したい。

使用デッキは・・・最近追加されたプリパラ絡みだろうか?カードの効果は全く分からんが、雰囲気で書いて良いと快諾いただいた。この懐の広さも、協力して大会を運営するメンバーを束ね、出場者からも敬意を集める秘訣なのだろう。

 

一方のしみずき選手は、僕が競技としてウィクロスと関わった中では最も関わりが深い人物である。

僕が真っ先に遊々亭ブロガーに勧誘した所から始まり、共に花代・爾改を愛し、速攻の道を歩み続けた。そして果てには世界決勝の撮影卓で相まみえた。

僕が一線を退いてなお、最前線で戦い続ける。今回の優勝インタビューでも、

 

「全勝したらイキろうと思っていましたが、決勝で1敗したので謙虚になります。明日も頑張ります。」

 

という意識の高いコメントが。バーストチャンス込みの5-1でイキり倒した僕とは大違いだ。

一夜漬けで80点を取るよりも、普段から勉強して90点取る奴の方が偉いに決まっている。まだ燃え尽きない闘志と情熱を胸に、これからも最前線を駆け抜けてほしい。

 

年代が近いこともあり、対戦前には僕を含めて3人で、もうすぐ31歳という話が出た。

まぁ、僕は1月でお先に31歳へ失礼したよ。早く老人の域へおいで。

そんな同年代対決では、僅かに若手のしみずき選手が先攻を取り、エキシビジョンマッチが開幕した。

 

 

2.2点止まる。つまりTROUBLE

 

まずはマリガン。

しみずき選手は4枚、らいだぁ選手は1枚チェンジ。

そしてオープン。

決勝後の段階では、しみずき選手がメルというのは周知の事実だが、0ルリグの下に謎のカードが敷かれている。

 

「これ、コイン5枚の代用で」

 

 

そこにはコングラサーバントの姿が。

最早老人会トークとなるが、セレモニーの全身、ウィクロスパーティースペシャル時代では、このサーバントを巡って全国を駆け回った。それが今では1枚400円という。

 

これが時代の流れなのか。

己の時価を突き付けられたようで、一線を退いた身に染みる。

だが、時代から取り残されようとも、当時を共にした人々の記憶には残る。僕が未だに銃使いとして畏れられるように、このサーバントも、「コンサバ」という懐かしい響きと共に、末永く記憶に残り続けるはずだ。

こういう懐かしい無駄話に花が咲くのも、エキシビジョンマッチの醍醐味といえよう。

 

サーバント1枚でコイン5枚分。メルはコイン5枚を一気に使い切るから1枚で代用できるというだけではあるが、それでもコンサバ1枚でコイン5枚全てを代用させようという発想は、古参プレイヤーとしてのセンスを感じた。

 

 

Turn 1

 

先攻1ターン目。

オールスターなら2ミルルンでぶん回すターンではあるが、普通は2体並べてエンドするのみ。

しみずき選手も例に漏れないず2体立ててエンドだが、とある一言を漏らす。

 

「予言。ピンチ。」

 

そこにはペイラビの姿が。

プリパラの弾を全く知らない僕にはピンと来なかったが、歴戦の猛者の勘は正しかった。

 

返しのターン。らいだぁ選手は《プリパラアイドル レオナ・ウェスト》を場に出した。

そう、ちょうど2000ダウンだったのだ。

ペイラビが溶けて2面要求に。更に運の悪いことに、LBもサーバントも無く、計3点が素通りしてしまう。

 

引き運の無さとはいえ、教科書通りのプリパラの展開に。

観衆からも野次が飛ぶ。

 

「エキシビジョンで運がゼロォ~運ゲージの使い方がお上手~」
 

夢限少女ことシロネコ選手である。

今日も実力を見せつけ、僕に唯一の黒星を付けた。まぁ、チーム順位は僕の方が上なんだけど。

無駄話に野次、そして選手の息遣い。

賞レースでは抑圧された、ポーカーフェイスの裏側が見える戦いに思わず見入ってしまうのであった。

 

らいだぁ選手 7点/しみずき選手 4点

 

 

Turn 2

 

出遅れを見せたが、ここから逆転をという気概を見せるかの如く、しみずき選手は3面要求を仕掛けてアタックフェイズへ。

3面要求のターンは、ディーセレ最大の興奮要素「LB」に一喜一憂するものだが、今回も例外では無かった。

いや、想像以上のドラマが待ち受けていた。

 

まずは1点目。早速LBが捲れた。

 

 

盤面埋めのLBだが、まだらいだぁ選手はLv1。

3枚捲りというのが微妙な枚数で、持ってない奴ならLv1が1体も捲れず、なんなら1面防御にすらない運任せのLBだ。

だが、らいだぁ選手はイベントを主催してきたエンターテイナーだ。

ここでもその資質を遺憾なく発揮した。

 

 

3枚ルックでレオナが降臨。

まずは1面が止まる。だが、これで終わらない。

 

 

残る1面、しみずき選手はランサー持ちのワウルフを立てていた。

みれぃのような盤面埋めLBに対抗するため、ランサー持ちは最後に殴るのがセオリー。

何も間違っていない。ただ運が悪すぎただけだ。

 

レオナ出現時でワウルフのパワーは1000へダウン。バニッシュはされない。

が、ワウルフの正面にはレオナ(パワー2000)が立っている。

そう、

 

ランサーが通らない

 

のだ。

 

みれぃLB1枚で2点止めてしまった。

TROUBLEで一気に2点止まろうものなら、即座に頭を抱えてしまいそうなものだが、普段は見慣れぬプリパラ対面に、しかもLBから華麗に出現時能力の連鎖を決められたとあっては、瞬時に理解が追いつかないようだ。

しみずき選手は茫然としつつも、事態を理解すると共に諦めの色が広がっていった。

 

なんと呆気ない。

3面要求を仕掛けて、LBで2点、サーバントガードも決められて1点しか通らないとは。

早くも勝勢というべき差が付いてしまったのである。

 

返しのターン、らいだぁ選手は勢いに乗り、マキナウイングスラッシュで1面除去し、直後にマキナリペアへグロウ。リミットが6となった。

更に《み~んなで始めるアイドルライブ!》で戦力を増強しつつ1面除去。

ドロシー+ファルル×2という盤面で、2面要求+ファルルの2ハンデスをけしかけてアタックに入った。

 

しみずき選手は「めっちゃキツイ」「めっちゃキツイ」と呟くばかりで、最早なすすべ無いようだ。

流れは止められない。LBの無いままに2点+ルリパンが通り、早くもライフは1点となった。

 

らいだぁ選手 7点/しみずき選手 1点

 

いや、ライフ差おかし過ぎやろwww

というツッコミが観衆から舞い込んだのは言うまでもない。

 

 

Turn 3

 

1ターン目の不吉な予言から、既に結末を悟ったかに見えるしみずき選手だが、メルとしての最低限の動きは示そうという意志が見られた。

メルのゲーム1で1点回復し、3面要求でアタック。

 

やはり流れは止められない。

ここでもLBで1点止まり、ルリパンもガードされた。前のターン程ではないものの、2点止まりとなった。

 

一方のらいだぁ選手は快調である。

ズットモのパンプには手を焼くものの、他の2面は除去し、アンジュのゲーム1を使ってアタックへ。

しみずき選手はマキナスマッシュで1面止め、ルリパンはサーバントでガードするも、盤面1点とアンジュのゲーム1が通ってライフが0に。

 

このワンサイドゲームに観衆が黙っているはずもなく。

 

「もうライフ0なのwまぁでもメルのゲーム1起動でワンチャンあるでしょw」

 

シロネコ選手は夢限少女としてのみならず、煽りの世界でも一線級である。

 

「えっ、ゲーム1使ってもうライフ0なのwだぁさん1面要求2ターン繰り返したら終わりやんwww」

 

しみずき選手に残されたのはLIONのみ。防御手段が1つしか無いのなら、たとえ1面要求でも2ターンに分けられたらそれまでである。
 

らいだぁ選手 5点/しみずき選手 0点

 

 

Turn 4

 

しみずき選手としては、後攻4ターン目を「きあいのハチマキ」でHP1で耐えることを前提として、先攻5ターン目に勝ち切るしかない。

全身全霊の特攻を見せたい所だが、完全に流れを手放してしまったようだ。

ズットモ2点要求でアタックへ。

 

勝負の女神も最後に情けを見せたか、LBもサーバントも無く、ここは計3点通過した。

残り2点となったが、時すでに遅し。まだマドカが残っており、先攻5ターン目の詰め切りは絶望的に見えるが、それ以前の問題であった。

しみずき選手のエナは4枚。聴衆である競合プレイヤーも、何よりらいだぁ選手自身も当然、見逃すはずが無い。

 

「LIONの3面防御は4エナ必要ですよね?」

 

らぁら、そしてアンジュのライバーコラボ×2でエナを与えることなく、瞬く間に盤面を空にしてしまった。

そのままアタックが通りゲーム終了。

 

もうやめて!しみずき選手のライフはゼロよ!!!

 

だが、らいだぁ選手は容赦ない。

対戦後、更なる絶望を口にした。

 

「実はラス盾、ひびきだったんですよ。」

 

 

僕はカバレージ執筆のために画像を拾って初めて知ったのだが、インチキLBもいい加減にしろという性能である。

例え先攻5ターン目が回った所で、マドカが残っているし、ライフは2点あるし、ラス盾が鉄壁だしでノーチャンスだったということだ。

 

TROUBLEはルリパン直前に捲れるとスカすというリスクを冒すのでまだ許される。

だがひびきは、1ドローという最低保証が付いているのがズルい。

僕の知らなかったプリパラの恐ろしさを、まざまざと見せつけられた1戦であった。


主催としてだけではなく、選手としても榊遊矢に劣らぬエンタメ性を発揮したらいだぁ選手の快勝であった。

ガチ勢目線では幕切れの速いワンサイドゲームかもしれないが、観衆、そしてカバレージ執筆としては興奮要素のある一戦だったと言えよう。

(おわり)