「あ、オチの無い人だ!」
私の名前は越智玲子。小学6年生。別に裏の意味がある訳でもなく、ただただ普通の女子小学生。
特に得意なこともないし、目立ちもしないし、でもそれでいいと思っている。
ただただ平和に過ごしたいなーと思っていたのに、最近変なあだ名が付いてしまった。
そう、あの日から・・・
特に得意なこともないし、目立ちもしないし、でもそれでいいと思っている。
ただただ平和に過ごしたいなーと思っていたのに、最近変なあだ名が付いてしまった。
そう、あの日から・・・
「最近みんな、国語の授業だけは真面目やね~」
この人は落合さん。最近京都から転校してきて、男女問わずすぐに人気者になったスゴイ人。
下の名前は・・・忘れちゃった。
この日がきっかけで皆も苗字でしか呼ばないようになったし。
下の名前は・・・忘れちゃった。
この日がきっかけで皆も苗字でしか呼ばないようになったし。
「みんなって男子だけでしょ~」
「どーーーせ先生の顔を見ているだけで、黒板なんか見てないんだから!」
「どーーーせ先生の顔を見ているだけで、黒板なんか見てないんだから!」
今はお昼休みで、女子だけのランチタイムを満喫中。
テレビのこととか、家族のこととか、どうでもいいことをダラダラと話すだけなんだけど、今日は最近赴任してきた国語の先生の話だ。
テレビのこととか、家族のこととか、どうでもいいことをダラダラと話すだけなんだけど、今日は最近赴任してきた国語の先生の話だ。
「えみ先生美人やもんな~」
転校してきたばかりなのに、落合さんはいつも会話に参加していてビックリする。
私なんて恥ずかしくてなかなか入り込めない。
あの日もただ黙って聞いていれば良かったのに、なんで会話の輪に入ろうとしたんだろう?
私なんて恥ずかしくてなかなか入り込めない。
あの日もただ黙って聞いていれば良かったのに、なんで会話の輪に入ろうとしたんだろう?
「ワタル君っておるやん、B組で学級委員やってる。」
「あぁ、あの真面目で目立ちたがりだけど、困るとすぐにオドオドする子か。
まぁ勝手に学級委員に立候補してくれるしいい子よね。」
「えみ先生が来てから国語ばっかり勉強しているらしいよ。前は『今の時代は国語より英語だ!』って言ってたのに、笑っちゃうよね!」
まぁ勝手に学級委員に立候補してくれるしいい子よね。」
「えみ先生が来てから国語ばっかり勉強しているらしいよ。前は『今の時代は国語より英語だ!』って言ってたのに、笑っちゃうよね!」
「昨日の放課後、ワタル君がえみ先生に廊下で質問してるのを見かけて、
『じゃあまた明日ね。』って先生が言った後に『先生!』って急に呼び止めて、
『じゃあまた明日ね。』って先生が言った後に『先生!』って急に呼び止めて、
『先生、僕の気持ちを受け取ってください!!!』
『・・・ねぇ、"へんぶん"って何???』」
「ハッハッハ、ウケる~!普通に『ラブレター』って書けばいいのに、国語の先生だからってカッコつけて『恋文』って書こうとしたんでしょ!」
「先生の顔だけ見て勉強しないからこうなるんだよ~」
「先生の顔だけ見て勉強しないからこうなるんだよ~」
今日も落合さんの話で大盛り上がり。
昨日見たばかりの話をすぐに取り入れられて、本当に話題に事欠かない人だなぁ。
その時、似た話で私も会話に加わりたくなったのか、
昨日見たばかりの話をすぐに取り入れられて、本当に話題に事欠かない人だなぁ。
その時、似た話で私も会話に加わりたくなったのか、
「私も、タケシ君がえみ先生に質問してるの見たことあるよ!
おとといも教室の前で質問してて、先生に『勉強熱心で偉いね。』って褒められてて・・・」
おとといも教室の前で質問してて、先生に『勉強熱心で偉いね。』って褒められてて・・・」
(な、なんだろ?周りの熱い視線を感じるよ?会話に入るって、恥ずかしいなぁ・・・)
「タケシ君、すっごく嬉しそうな顔をしてた!」
「・・・それだけ?」
「うん。」
(あれっ、みんな冷めた感じになったけど、どうしたのかな???)
しばらく沈黙が続いた後、
「あーあ、落合さんの後に入ってきたんだし、面白い話だと思ったのにな~」
「越智さんって、苗字の割にオチのある話とかできないよね。」
「越智さんって、苗字の割にオチのある話とかできないよね。」
あの日の昼休み以降、「私はオチのない話をする子」という変なイメージが付いてしまったらしい。
女子にそう思われるだけなら良かったのだけど、どこからか男子にも伝わって、「2人のうち『おち』と入る苗字のうちオチの無い方」とか、「オチが0個で越智玲子」とか呼ばれる始末。
地味な私が男子に話しかけられることなんて今までなかったけど、こんなことで目立っても全く嬉しくない。
そんな不名誉なあだ名で呼ばれ続け、不愉快な思いをすることもあったけど、今はそんなに気にしてないんだ。
今日、全てを変えてやるんだ!って決めたから。
みんなにとっては金曜の午後の授業が無くなるだけの、大した意味のない行事かもしれない。
でも、私にとっては、自分の記念日にしようと思ってる。
私だってやれるんだ!私だって・・・"噺"くらいできるんだって!
いわゆる「普通」じゃなくなるかもしれないけど、引っ込み事案な私と決別したい。
こんな私を応援してくれてる、おばあちゃんのためにも。
ありがとう。おばあちゃん。
私は変われたよ。ううん、これから変わってみせるから。
帰ったら、いっぱい・・・いっぱいお話するから!
だから・・・もう少し待っててね。
私は変われたよ。ううん、これから変わってみせるから。
帰ったら、いっぱい・・・いっぱいお話するから!
だから・・・もう少し待っててね。
嫌なことがあるたび、おばあちゃんに泣きついていた私。
あの日だってそうだった。
地味な私でいいやって思ってたのに・・・辛くって、悔しくって、心の中から色々溢れる感じ。
名前のことをバカにされると、大好きな家族のことまでバカにされたような気になった。
おばあちゃんのひざ元で泣いて、泣いて、ひたすら泣いてた。
あの日だってそうだった。
地味な私でいいやって思ってたのに・・・辛くって、悔しくって、心の中から色々溢れる感じ。
名前のことをバカにされると、大好きな家族のことまでバカにされたような気になった。
おばあちゃんのひざ元で泣いて、泣いて、ひたすら泣いてた。
私の話を聞き終わった後、おばあちゃんは1本の動画を見せてくれた。
おばあちゃんがパソコンを使うのを珍しいなって見ていたら、座布団の上で着物を来たおじさんが何かを話していた。
おばあちゃんがパソコンを使うのを珍しいなって見ていたら、座布団の上で着物を来たおじさんが何かを話していた。
「これはねぇ、落語っていうんだよ。」
それが、私の"落語"との出会いだった。