GPSはアメリカ国防総省が世界各地に展開する艦船や航空機の位置決定のために開発した衛星システムである。これが民間にも開放されカーナビや携帯電話に広く使われるようになった。当初は位置精度は数十メートルであったが、現在は1メートルのオーダーで現在位置が求まるようになっている。このGPSをカーナビや携帯電話で使われてる受信機とは違うしくみの受信機を使って観測すると位置がミリメーターオーダーで求まるという新しい方法が1980年代にアメリカの大学グループによって開発された。これにより測量や地殻変動の分野でGPSが使われるようになったのである。日本では国土地理院が1980年代終わりごろからGPSを測量に使う研究を始めた。マクロメーターという受信機をアメリカから購入し、実際にどの程度の位置精度が出るのか調べ始めた。この受信機は1台数千万円で、重量も一人では抱えきらない約50キロという代物だったので測量現場では使えないし、あくまで実験用の受信機でした。GPSの実験を進めると、GPSの測位精度は従来の測量機器に較べて遜色がない、むしろ上回るということが段々分かってきました。 またGPS受信機の改良も進み軽量で低価格のものも沢山出てきた。
それまでは測量の世界では光波測距儀というレーザーで距離を測定する器械が最高精度の器械だと思われていました。 国土地理院では1970年代頃から精密測地網測量というものを始めていました。ちょうど自分が国土地理院にはいった頃の出来事です。これは全国の三角点相互の距離を光波測距儀で繰り返し測定し日本列島の歪を詳しく調べるというプロジェクトです。繰り返し観測は5年から10年間隔で行われ、その間の歪の変化がわかることになります。 当時はまだ地震予知が信じられていましたからこの歪変化から地震を予知しようとしていました。この精密測地網測量は明治以来100年間続いてきた三角測量を一新する当時としては画期的なものでした。
しかしこの精密測地網測量もGPSが出てきたことで1990年代に終わりを迎えることになりました。GPSが光波測距儀を駆逐したのです。測量のGPS時代の始まりでした。