CEDEC2013 ペラコン応募作品「Let's快温生活!」 説明 | negitoro503のブログ

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ほとんど更新しない気むんむんですが、ドキュメント置き場として…。


今年も CEDEC2013 ペラコン 参加させていただきました。
不甲斐ない結果でしたが、せめて自分のやったことに意義を見いだしておこう
というわけで思考の痕跡を記してみます。
自戒を込めて。



マイテーマ「3DCGで作る」「ちゃんと遊べる所まで考える」

前々回は手描きイラスト、前回は写真を使いました。毎回表現手法を変えたいと思っているので、今回は3DCGでビジュアルを作ってみることにしました。 また、今まではネタのインパクトとそこから発生するビジュアルで勝負してきましたが、今年はちゃんと遊べるように考えることにチャレンジしようと思いました。



題材決め
お題は「温度コントロール」。物理現象はゲームとの相性が良いため考えやすいのですが、その為既存のゲームと被ったり凡庸になりがちでもあります。

温度をコントロールすることそれ自体に焦点を当てたいと考えました。温度変化によって結果的に起きる現象(海流など)に焦点を当てると、テーマが間接的になってぼやけると感じたためです(海流は海流でダイナミックでオモシロイんですけどね)。それから見た目にハッピーな雰囲気を出したいです。

そこで

温度を直接操作することにします。凡庸だけど。
温度変化で人を幸せにするのを目的にします。ここの見せ方で勝負。



仕組みを考える
今回は具体的なゲームプレイに言及したいと思っていますので、なるべく細かく考えてみます。

●温度操作
温度を上げるボタンを叩くと温度が上がり、下げるボタンで下がることにしました。
 ・ニュートラル状態では20度を保ちます。
 ・ボタンを連打すると温度が大きく変化します。
 ・20度から離れるほど20度への引き戻しが強くなる=早い連打が必要=温度維持が困難
  になるようにします。


動くモノは大きい方が楽しく見えそうです。時間経過をドラム上に回転するステージで表現することにします。 春からスタートすれば徐々に難しくなるので、導入としてもふさわしいでしょう。 1年経って春で終れば「桜を満開にしてゴール」という区切りが美しいです。 桜は3月中に「三寒四温」を表現したリズム入力で満開にするとおもしろそうです。 桜を咲かせられるなら、ゲリラ豪雨や雪など自然現象イベントも表現できそうです。

ガイドとして通年の平均気温を示し、それに従うプレイを基本とします。
 ・平均気温トレースで得点増加
 ・ただし平均気温はあくまでもガイド。ガイドから逸脱すると劇的な変化も


●成否判定
「今日」という固定ラインがあり、回転する地形に流れてくる人々(及びイベント)がココにさしかかった瞬間の気温に対する満足度で成否を判定します。失敗が重なるとゲームオーバーとします。「何回失敗すると」や「それをどう表示するか」については、方法はいくらでもあるし、今回は言及しなくても良いだろうと判断しました。

成否判定で得られたポイント(=幸せコイン)の個数を競います。

慌ただしさと的確なコントロールを両立させるために、一ヶ月5秒程度のスピードで進行させます。



これらをビジュアルに落とし込みます



企画書作成
具体的な絵にしていきます。
書面に書く必要があるかどうかはココで考えます。

●鉛筆で下書き
必要な要素を絵で描き出し、
 ・見た目で遊び方を推察出来るかどうか
 ・情報量に過不足がないか
 ・絵の素材に必要なモノは何か

を確認します。
桜は絵的に入れたかったけど、他のイベントが考えやすかった夏を軸にすることに。

●CG素材作成
手早くそれっぽい絵が得られるmental rayレンダリングを使います。
モデリングなどに時間を使いたくないので、ライティングだけで質感、存在感を出します。
マテリアルも質感表現には使わず原則1種で。
アンビエントオクルージョンが効くように凹凸のクッキリしたモデルにします。

●レイアウト
キーカラーを決めます。
 ・一昨年は青、去年はオレンジ、今年は黄緑で行ってみます。
 ・印刷に出ない色だけど、多くの人はモニタで確認するだろう前提で
  RGBで構わないとしました。
(ちょっとキツ過ぎたかも)


CG素材、必要な文字情報を入れ込んでいきます。
まだ考えていなかったタイトルを考えます。
平均気温をトレースできていることを確認するための折れ線グラフを追加します。

せっかく考えた仕組みですが、全部入れるスペースがありません。
無理に入れるとガチャガチャになるか、文字をとても小さくしないといけません。
取捨選択をします。
 ・ボタン連打のニュアンスの説明は省くことにしました。
 ・攻略のアシスタントとなるキャラクター名は、画面内の文字情報が多くなりすぎるので
  カットしました。(掲載した画像はこれを復活させたモノになります)
 ・「ゲリラ豪雨」など、遊び方のニュアンスを伝えるには重要だけど、テーマ説明には
  重要でないモノを極力小さく配置し、気になった方が読めば良い、読まれなくても
  構わない扱いにしました。
 ・感謝コインの表示は、キャラクターが出しているものだけにし、UI表示は
  カットしました。
(掲載した画像はこれを復活させたモノになります)

 
ここまで来て、まだ情報過多な印象がどうしても軽減できません。
パズル的にあれこれ試しますがなかなか腑に落ちません。
もうガッチャガチャです。
しかしこれ以上そぎ落とすとアイデアが貧弱に見えると判断し、このまま行く決断をしました。

…といったことを盛り込んだ一枚が次のようになります。


ペラコン2013





結果

一昨年優勝、昨年失格(失格でなければ結構上位だったようです…)という派手な結果に比べて22位というとても中途半端な順位を頂くことになりました。ゲームとしては遊べるモノという自負はあるのですが、多くの方の心には響かなかったようです。結果を真摯に受け止めます。

情報過多になってしまったのも、内容を文章でないと説明できない弱さでもあります。もっと誰もがパッと見てガツンとくる内容である必要があると思います。

次回もペラコンがありましたら、優勝を目指して参加させていただきたいと思います。




【おまけ
ちょっといたずらで「あまちゃん」要素を入れてみました。
わがるヤツだけわがればええ。