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劇団バナナのブログ

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スプーンが好きだ。
特に大きめの銀のスプーンが。
スプーンの裏側を鏡のように使って自分を映してみる。
自分の顔がびろーんと横に広がって、後ろの自分の部屋がぐるんと歪んで見える。
魚眼レンズみたいに部屋全体を見渡せる。

子供の頃、よく母と近所の牧場にピクニックに行った。
どこかの大学が所有している小さな牧場で、原っぱにはいつも牛がむしゃむしゃと草を千切っていた。
春には蓮華やぺんぺん草なんかが風にゆったりと揺れていたのを覚えている。
青空の下、スプーンをのぞいてみると空がぐわんと拡張される。
広く、まだ自分の知らない世界が手の中にすっぽりと収まった気がして、子供心にも満足感にひたっていたのだった。

小さな頃に広いと思っていた世界は、思っていたよりも狭かった。
あの頃好きだった物のほとんどが、とるに足らない物になってしまった。
それでも一つ歳をとるたびに、一ヶ月が過ぎるたびに、一日を過ごす間にも新しい発見や新しい出会いに、私たちは遭遇しているはずなのだ。
それにただ気づきにくくなってしまっただけなのだ。

本来、この世界は奇跡だとかキラキラしたもので満ち満ちている。

都会の雑踏の中見上げた空は、あの頃よりずっと狭くなってしまったけれど。
ちいさなドキドキとかワクワクに、実は心を躍らせながら私たちは生きているのだ。
小さな出会いに日々感謝しながら、本当はあの頃と何も変わっていない空の下、今日も空を見上げる。




(堺雅人ボイスで脳内再生してくださいw)