フルマラソンで自己ベスト更新を目指して
練習を積んでいるランナーにとって、
切り離す事が出来ないもの・・・
「故障」です。
走力を高めるという事は
筋肉を強くするとか
筋肉の持久力や耐久性を上げる
と言い換えることが出来ます。
筋肉が強くなって行く過程は・・・
自分の筋肉が頑張る様な負荷をかけて
少しずつ筋肉が耐えられる負荷を上げて行く訳です。
逆に言えば、
自分の筋肉が耐える事が出来ない
負荷がかかった時に
「故障」してしまう訳です。
筋肉や関節が故障すると、
筋力や耐久力、持久力と言った
筋肉の能力が低下します。
30㎏の荷物を持つ事が出来ていたのに、
故障して20㎏以上の荷物が持てなくなったり
1時間以上平気で同じ姿勢でいられたのが
30分で腰に痛みを感じる様になったり、
筋肉や関節を支える靭帯が傷ついた事で
能力が低下してしまうのです。
機械が故障した場合は、
故障した部品を交換すれば元に戻るのですが、
人間の場合は痛めた筋肉や靭帯を簡単に
交換する事が出来ません。
その代り、「自己治癒力(じこちゆりょく)」
「回復力」と言った
自分で治す力が備わっています。
分かり易い例だと、
転んで膝などを擦り剥いて出血した時に
血が固まり瘡蓋(かさぶた)となり、
瘡蓋の下では新しい皮膚が再生されて、
新しい皮膚が再生されると、
瘡蓋が自然と剥がれ落ちて
怪我をするまえの皮膚の状態に戻る。
これが「自己治癒力(じこちゆりょく)」です。
ランナーが故障する場合は
筋肉の肉離れや関節の炎症と言った形で
擦り傷の様に目に見える場所の故障ではないので
イメージしにくいかもしれませんが、
筋肉や靭帯が故障した時も同じように
「自己治癒力(じこちゆりょく)」が働いて
痛んだ筋肉や靭帯の組織が再生されて
元に戻ります。
しかし、気を付けなければいけないのが、
治ったばかりの組織は弱い
という事です。
例に挙げた
皮膚の再生も同じなのですが、
瘡蓋が剥がれ落ちた直後の皮膚って、
周囲の皮膚と比べて
皮膚の色が白っぽくて
ちょっと柔らかかったりしませんか?
筋肉はちょっと頑張る負荷をかけられて
回復する過程で少しずつ強くなって行くと
お話したように
再生されたばかりの組織は
負荷をかけられていない弱い組織なんです。
痛みが取れて、普通に走れる様になった
からと言って、
故障する前と同じ様な
負荷をかけたトレーニングをすると、
再生されたばかりの弱い組織には
負荷が強すぎて耐える事が出来ずに
「再発」という形で再び故障してしまうのです。
プロスポーツ選手が
怪我から復帰して、試合に出場したまでは
良かったものの、
同じ場所に痛みを訴えて、再び
故障者リスト入りしてしまう事があります。
これは恐らく、再生された組織への
負荷がかかり過ぎて同じ場所を痛めて
しまった可能性が高いのです。
私達市民ランナーも同じように
故障して走れない期間が長ければ長いほど
走れないストレスに耐えながら
コツコツをリハビリを続けなければなりません。
ようやく痛みが取れて、走っても痛みがなくなり、
やっと思いっ切り走れる様になった!!
そんな時こそ、慎重に
少しずつ負荷を上げて再生された新しい組織を
鍛え直して行く事が重要です。
痛みが取れて、違和感なく走れるようになったら、
まずは今までの練習量の3分の1以下で
様子を見て行く。
練習量はあくまでも目安ですが、
リハビリの最初はウォーキングから始める位の
つもりでも良いと思います。
「急がば回れ」
と言う諺がある様に
絶対に大丈夫だろうと思える程度の
練習から徐々に負荷を上げて行く事が大切です。
レース直前の故障の時ほど
リハビリをあまりせずに
練習計画の遅れを取り戻そうと
ついつい無理してしまいがちです。
そんな時こそ
これから先も、慢性的な痛みを抱えることなく
生涯現役で楽しく走る事を目指すのであれば
焦らず時にじっくりとリハビリを重ねて
走力を戻して行く事を目指しましょう。