せっかくウブドまで来たんだから、スパだけ受けて帰るのは
もったいなく~ウブドでしか観れないから~と思い、
バリ舞踊を鑑賞して帰ることにしました。
何人かの人から「凄いよ!別格だよ!」と
教えてもらってた楽団がありました。

♪スマラ・ラティ♪
スマラ・ラティは、天才バリスダンサー、アノム氏が率いる
ガムラン楽団です。バリ芸術大学があり、そこの卒業生の中でも、
とりわけ優秀な演奏家を集めて構成されている、
プロ集団なんです。

バリ舞踊を観たことある人は、たいがいが、
ウブド王宮の会場でご覧になったと思います。

ここは王宮会場のように観光客受け入れに力をいれてるのでは
なさそうな感じ。会場も体育館のようなバンジャールで、
細い小路を入っていく、地味な場所。
スマラ・ラティは、火曜日だけしか演奏してないと思う・・・多分。
田舎の村の集会所で、50人くらい座れるスペース確保してる、
小屋に毛が生えた程度の会場で繰り広げられるのが、
伝説とも言える物凄いレベルに達した演目

「スピリット・オブ・バリ」です!

たまたま火曜日だったので、今回しかチャンスはない!と思い、
開演1時間前にバンジャールに行くと、

チケットは売ってるものの、まだ誰もお客はおらず、し~んとした感じです。
入場料は10万ルピア(約1000円)です。
「本当にこんなところで開催されるの?」と思いました。
開演20分くらい前からちらほらとお客さんが集まり始め、
開演時間の夜7時半には、50席ほどの椅子が
満席になってました。
客層はほとんど西欧人、日本人も少しいました。

19時半になっても始まらないな~と思っていると、
後ろからガムランやら銅鑼やらの音がなんとなく聴こえてきます。
 
イメージ 1

 

写真わかりづらいけど~、
楽団&ダンサーが後ろから客席の通路を通って入場するという演出。

 

 

イメージ 2

 

まずガムラン隊によるインストゥルメンタルです。10分近い曲でした。
まず第一音聴いて鳥肌~。
「違う!今まで聴いたガムランは何だったの~!」

も~レベルの高さに度肝を抜かれました。上手すぎる!
王宮の観光演目のガムランも上手いと思ってましたが、比べ物になりません。
スマラ・ラティのガムランと比べると、あちらは子供の学芸会レベルです。

バリのガムラン&バリ舞踊って、要するに古典で、
素人が観てもイマイチ分かりにくくて、
ま~バリらしい雰囲気だから、
観光のオプションとして観るのはいいかもね~的な
位置づけになってしまってると
思うんですよ。
スマラ・ラティの何が違うかというと、テクニックの高さは
言うまでもないですが、ここの演奏は、
コンテンポラリーなんです(現代音楽)。
専属の音楽監督と振付師と作曲家がいます。

バリ古典音楽の現代進化版という感じでしょうか。
演奏家達の音楽に取り組む精神が今まで聴いたバリ音楽とは別物。
観光ガムラン楽団は、昼間は公務員だったり~別の仕事してて、
観光客に聴きに来てもらって~自分も好きな事やって楽しいし~
副業でお金入ってくるし~、みたいな感じなんです。

でもスマラ・ラティのストイックさ!
観光客の見世物という意識じゃなくて、身も心も音楽に捧げていて、

内に追及していってるっていうのが、第一音聴いた瞬間に分かりました。

ガムラン演奏のあまりの素晴らしさに呆気にとられていると・・・
続きましてレゴンダンスです。
イメージ 3

 


イメージ 4イメージ 5
 

レゴンダンスは、本来は宮中の花踊りで、
10代の初潮を迎えるくらいの若くて綺麗な女の子の踊りで、

踊り子は処女だとされてるんだけど、
顔見てよ~、ここのレゴンダンサー、
処女なわけないじゃん!

左の人なんか、子供3人くらい産んでそうな雰囲気。
王宮のレゴンダンスは、綺麗どころ集めて、
お客さんから「まぁ綺麗」という声があがるんですが、

スマラ・ラティのレゴンダンサーはブサイクでした。
顔四角くて、キンタロー似のダンサー。
顔デカくて5等身くらい。
でも上手い!王宮のは可愛いだけでお遊戯だったと分かります。

これがバリ芸術大学出身の最優秀人材の踊りか~。

続きまして、スマラ・ラティのリーダー、
アナッ・アグン・アノム・プトゥラ氏
(名前長いわ~)登場!
イメージ 6


 

イメージ 9

 

圧倒的な存在感!
バリスと呼ばれる戦士の踊りは、おそらくバリの儀礼舞踊の中で
最も古いものです。バリスとは隊列を意味する
ガリスという言葉から来ており、通常は数名の男性がぴったりと
揃った軍隊編成で踊り、様々な武器で技を披露します。
バリスは厳格な宗教舞踊から若い正義の戦士の
様々な感情を表現した魅力的なパフォーマンスへと発展しました。
この舞踊はバリの男性舞踊の基本中の基本とされており、
ダンスを習っている少年たちは必ずこのダンスを習います。

↑パンフレットより引用
 


イメージ 10


イメージ 11

 

こんなダンスや・・・。

 

イメージ 12

 

猿が瞑想したり・・・。

 

イメージ 13

 

瞑想から覚めたかと思うと、ダイナミックな踊りを披露。

 

 

イメージ 14

 

オッサンに見えるけどオバサンです。
このオバサンただものではなかった。

 

イメージ 15

 

普通ダンサーって、肉体美ですよね?
このオバサン、お腹出てて、典型的なオバサン体型なんです。
しかし!踊りがめっちゃうま~!
今まで見たバリの舞踊家の中でトップじゃないか?

憑依系の踊りで、体の中にガムラン埋め込まれてるんじゃないかと思うほど、
目の動きから指先の神経まで、ガムランの音楽と一体化してて、
太ってるのに、体のキレがあり、
無駄な動き一つもなく、
とにかく引き込まれました。女性にマエストロって
表現するのは違うのかもしれませんが、マエストロって
こういう人のことを言うんだろうな~と思いました。天才でしょう。

1時間半ほどの演目があっという間に感じられました。

 

イメージ 16

 

最後に出演者勢ぞろいです。
バリ舞踊にはまずはない、カーテンコールです。

私、前々から言ってるんですが、バリ舞踊って
あまり好みではないんです。バリ舞踊より、
バレエとか劇団四季とか観る方が、
ずっといいわって豪語してたのですが、
撤回します。
スマラ・ラティは素晴らしかった!
第一級の芸術集団。プロ中のプロだと、素人目でも分かりました。
王宮の観光踊りと比べて、会場地味です。踊り子ブサイクです。
でも!でも!バリにあるいろんなガムラン・舞踊楽団の
中で間違いなく、トップの実力でしょう。
演奏家も踊り子も、観光客に観てもらうために披露しているのではない、
ただただストイックに芸術に打ち込んでいるという
姿勢がビンビン伝わりました。これは日本とか
海外に演奏旅行して、絶賛浴びるレベルよ。

スマラ・ラティのホームページに動画があったので、
貼り付けておきます。
お時間ある人はご覧になってください。
上から2番目のガムラン演奏が、お勧めです。

http://www.semararatih.org/videos.html