最近、アマプラで『蟲師』というアニメ(原作は漆原友紀のコミック)を、寝る前に1話ずつ観ています。
というのも、YouTubeでこんな動画を見つけて
私も好きなスピッツの『ガーベラ』が主題歌なら、アニメも観てみようと思ったのです。
前知識なしで観はじめたのですが、思いがけず素晴らしいアニメで、毎回感心しながら観ています(いま1期の17話)。
ただ・・・
OPもEDも、歌がスピッツじゃないんですけど・・
おかしいと思って改めて動画のコメント読んでいたら、私がアニメのOPかEDと思い込んでみていた動画は、誰かが『ガーベラ』と『蟲師』を組み合わせて作ったオリジナル動画だったんですね。
MADというのが二次創作を意味する語だとも知りませんでした
でも、『蟲師』の雰囲気に『ガーベラ』があまりにぴったり合っていて、こちらが本家と言われても納得するくらい。
動画作者の方のセンスに感心します。
特に、闇の中に棲む「ギンコ」という光の龍のような巨大な蟲が遠ざかっていくシーンをアウトロに当てたのは、すごくいいと思いました。
『ガーベラ』は具体的な解釈をするのが難しい歌詞ですが、これも闇の中で命に触れる感じが『蟲師』の世界に合っていると思います。
『蟲師』は、普通の人間の目には見えない、動物でも植物でもない「蟲」と呼ばれる生命体がいて、それが人間に様々な影響を与えているという世界観です。
その「蟲」を見ることができ、対処法を知る特殊な職能が「蟲師」と呼ばれています。
その「蟲」と「蟲師」の描き方がとても奥行きがあって、印象的なのです。
「蟲」といっても蝶やセミのようないわゆる虫の姿をしているわけではなく、一見植物のようだったり、時には影、光、闇のような、不定形なものだったりします。
病気だったり、自然災害だったり、人間の生活に影響を与える出来事が、実は人間には見えない生命の活動によるものだったのでは・・・。
『蟲師』はそんな世界です。
舞台もほとんどが山奥の山村や海辺の村などで、時代も、作者によれば「鎖国を続けた日本」もしくは「江戸期と明治期の間にある架空の時代」という設定らしい。
民話や「日本昔話」に出てくる不思議な出来事を「蟲」による現象と置き換えた、といえばイメージに近いかもしれません。
一話完結の形式なのですが、どの回も静かな語りの中で、別れのつらさや自然に対する人間の無力さなどを感じさせるもので、余韻があります。
日本の自然の美しさや寂しさを描く美術も素晴らしいと思います。
道具立ては『呪術回戦』や『もののけ姫』にも少し似ていますが、そうした「戦い」の物語にしなかったところに、作者の特質を感じます。
きっと、穏やかで優しい方なんだろうなと、勝手に思っています。