私は夢をよく見ます。
他の人も夢は当然に見ているのだと思っていたのですが、聞いてみると「ほとんど見ない」という人も結構います。
他人と比較して自分は夢を多く見る方だと自覚したのは、まあまあの年齢になってからです。
私は夢が好きです。
私の夢は、困っていたり、不安だったり、切羽詰まった場面が多く、楽しい内容はほとんどありません。
景色や建物も、人気が少なくて、寂しく、汚れたり壊れたりしていて、現実にあったとしたら、行きたいと思うようなところではないことが多いです。
でも、どの場面も、すごく自分の心に馴染んでいて、どんなに非現実的なものであっても、それが間違いなく自分から出たものだという感覚があります。
陽が落ちて、もう帰る電車のなくなってしまった駅や、霧の中に紫の花が一面に咲いている野原や。
時折、いつまでも心に残るような、おそろしく美しくて幻想的な風景などに出会うことがあり、本当の出来事のように、大切な思い出になっているものもあります。
夢が不思議な点はいくつかありますが、そのひとつが、夢の中で「驚く」ことです。
夢は自分自身で創り出しているものなのだから、すでに自分の中にある情報のはずなのに、それに驚いたりショックを受けるのが不思議だなと思うのです。
「私」にとって、夢は外部だということです。
これからすると、自分の中で「私」が占める部分など、ほんの一部に過ぎないんだなと思い、少し寂しい気もします。