2007年7月16日、「新潟県中越沖地震」がありました。
このとき、東京電力の柏崎刈羽原子力発電所3号機変圧器から火災が発生しました。火災現場に職員ら4人が駆けつけたものの、現場近くにあった消火用配管が壊れていて、消火活動は行われなかったとのことです。また、地震の影響で地元消防署との専用電話は使用できず、消防隊の到着が遅れたために出火より2時間近く経ってようやく鎮火しました。
そして、これを機に毎日新聞が調査したところ、国内の「全ての」電力会社が、地震に伴って火災が発生した場合の具体的対応を定めていないことが判明しました。
驚いたことに、各社とも、火災発生時に外部の消防隊が来ないケースは想定していませんでした。しかし、常識で少し考えるだけでも、大規模地震では交通インフラに深刻な影響が出るのだし、消火にあたらなければならない大規模火災は原発以外でも多数起こりえます。そんな中で、まっさきに消防車が原発に駆けつけることができる保証がなんて、どこにあるのでしょうか。
なお北海道電力は、地震による原発事故発生を想定した訓練すら実施していませんでした。調査に対する北電の回答。
「原発は十分な耐震性が確保されていることが前提で、地震による大きなトラブルや事故は発生しないことになっている。そうした訓練は想定しようがない」。
「事故は発生しないことになっている」・・・絶望的に恐ろしい発想だと思います。
以下はかわって、今回の福島原発の事故について、今日(2011年3月21日)の毎日新聞から。
東電は今回の事故を、設計時の想定を超えて炉心の損傷につながるような「過酷事故(シビアアクシデント)」と認めている。保安院によると、東電は複数の対策シナリオを国の指示で02年に作成したが、津波による被害は考慮されていなかった。国の「原子力白書」でもシビアアクシデント発生の可能性について「工学的には考えられないほど低い」などとしていた。
今回の福島原発の事故の原因の詳細な検討は、これから行われることでしょう。ですが、国と電力会社に原発の安全性への過信があったことは明らかだと思います。