Egger Franz エッゲル 2016 | èVino-ゴリツィア支店

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出会った造り手たちの話やイベントなどなど、、、。

みなさんこんばんわ!

 

例年稀にみる大寒波ということで、寒い日が続いていますね、、。皆さんいかがお過ごしでしょうか?

エヴィーノはといいますと、昨年末に到着した造り手たち、レ コステ、ダミアン、そしてシードルの造り手エッゲル、、、etc。先週無事に出荷開始となりました~!

、、と一安心したのも束の間、想像をはるかに超えるリクエストをいただき、、、。もちろん嬉しいのですが、対応しきれない事態となることも多々ありまして、、汗。いろいろと反省&改善が必要だと身に染みた1週間でした。

そのなかでも今回、凄まじい反響をいただいたシードルの造り手、エッゲル!昨年秋に訪問した時の話をさせていただきます!

 

アルト アディジェ、ボルツァーノ近郊、サロルノに隣接する町エーニャ。リンゴ栽培の盛んな土地ですが、シードル造りはアルト アディジェでも数えるほどしかありません。

しかも、その中で唯一瓶内醗酵のシードルを造るフランツ エッゲル!

彼に会うのはこれで2回目。一昨年の夏に訪問した時、、もうシードル造りをやめようと考えていたフランツでした。が、あれからわずか1年たらず、実験的にではありましたがシードル造りを再開!しかも、以前とは全く違うアプローチで造られた、楽しすぎるシードルでした!!

再会がこんなにも早く来るとは、思ってもいませんでした、、、(笑)。

リンゴの樹と一緒に植えられているサンブーコやカリン(マルメロ)、ザクロの樹などなど、、、。彼がシードルに入れているものは、同じ畑で収穫したものだけなんですね。

久しぶりの再会を喜んでくれたフランツ。カメラを向けてすこし緊張気味ですね、、、(笑)

 

今回はまだ収穫が終わる前、畑にはまだすこしだけリンゴが残っていました。

赤く色づいたトッパス、深紅に染まるピロートに、黄色いゴルドラッシュ。3種類のリンゴに共通しているのは、どの品種もより原種に近いものと話すフランツ。

「近年、食用で好まれているのは、酸が少なく、糖分が高い品種。日本のフジは今イタリアで人気なんだ。しかしながら、改良が進んだ品種は、病気やカビに弱く、守るためにたくさんの薬品を使うことになる。しかし、トッパスなどのリンゴ樹はこういった病気への抵抗力が強い。だから、薬品を全く使用せずに栽培ができるのさ。そして、これらの品種は共通して、酸がとても高い。この強い酸が、シードル造りにはとても重要なんだ。」

 

畑では、一切の薬品類を使用しません。さらにはボルドー液も使わず、天然由来の硫黄物をごくわずか、あとは畑で栽培した数種類のハーブの煎じ液のみ。湿度が溜まりにくく、風の通り道にある土地、そして病気やカビに強い品種、表層土を極力傷付けず、自然の微生物環境を整えた土壌、そして、収穫量を抑え、樹に過度な負担をかけない栽培方法、、、etc

話し始めたらキリがないフランツ、元植物学者の経歴はハンパじゃありません、、、汗。

樹の病気について話す彼。その説明はとても理論的でわかりやすい!

 

今回、リンゴの収穫を教えてもらいながら、とても驚いたこと。それは、リンゴの収穫期間がとても長いことです。収穫の始まりは8月下旬~9月上旬、一度に結実するのではなく、時間差で熟していき、終わるのは10月末~11月上旬。最長で2か月以上収穫ができるんです!

 そこで思いついたフランツ、完熟したものから順番に収穫し醸造。そして、ビン詰めした後に加える再醗酵に必要な糖分として、後から収穫した搾りたてのリンゴ果汁を加える、という手法。「果汁を最も自然な状態で保管するには、樹につけておくのが一番だと思わないかい?」

 

訪問したのは10月下旬、樹に残してあるのは、再醗酵で必要な果汁をとるためのリンゴ。

 

畑の中にあるカンティーナ、奥の部屋で用意してくれていたのは、、、

寒い季節に飲むという、温めたリンゴジュース、そして自家製のシュトゥルーデル!もちろんおいしいんですが、、これでもかというくらいリンゴ尽くし、、、汗。

 

 

彼の生い立ちや、これまでのことなど、、いろいろ話した後、ついに本格始動したシードルの試飲。実際に一緒に新しいシードルを飲むのは今回初めてでした!

写真は、先日入荷しました生姜入りのシードル!、、、なのですが、入荷量が少なかったこともあり、早々になくなってしまいました(スミマセン!!)。しかし、ご安心ください!今回入荷したものは、昨年5月に造った、実験生産のもの。2016年に収穫したリンゴで醸造したものが、夏前には入荷する予定です!

生姜を一緒に破砕して醗酵させるという、思いもよらない発想から造られたシードル。香りははっきりと生姜を感じつつも、リンゴの雰囲気も失われていない、、。そして味わいたるや、個性的でありながら、ものすごく心地よい味わいとさわやかさには、本当に驚かされました、、、汗。

他にも、カリン(正しくはマルメロでした)を加えたものや、サンブーカの花を加えたものなど、普通では考えつかない個性あふれるシードル。なぜこんな組み合わせが思いつくの??

フランツ曰く、「子供のころブレッサノーネの町でよく飲まれていたのが、空き瓶の中に少しのワイン、水と砂糖を加えて、そこにサンブーカの花を入れるんだ。中で醗酵が始まって、サンブーカの香りが広がる。貧しくてワインがとても貴重だった時代ならではの飲み方なのだけれど。その時の発泡したワインのイメージが、シードルと重なったんだ。」

他にも、カリンを入れたシードルは、「ブドウ(ワイン)にあって、リンゴにはないタンニン(渋み)を補うため」。カリンから抽出したタンニンは、シードルに味わいの幅を与え、厚みと旨みを強く感じる味わい。

正確にはカリンではなくマルメロ(別名:西洋カリン)。産毛のような綿毛でおおわれているため、収穫してから一つずつ手作業で磨き上げる必要があります。ものすごく手間がかかっているんですよね、、汗。

 

とにかく、気になったら何でも実験してみる!という実験大好きのフランツ!

訪問した時点で、すでに新しいシードルを生産中、、汗。考えているのは、ザクロ(メログラーノ)を加えたシードルだというのです!

「赤い色がとても個性的だと思って、先月試してみたんだ、色は良かったけど味わいがリンゴに隠れてしまって、、。さらにザクロはとても酸化しやすいし、他にも、、、。」、この人、根っからの研究者なんです、、焦。

 

そして今回、何よりも嬉しかった事。

フランツには大学で農業を学んでいる娘がいます。

前回訪問した時に聞いた話ですが、、、地域的には全く需要のないシードル造りに、これほど没頭する父に対して、娘の一言!

「私はパパのやっていること(リンゴ栽培、シードル造り)にあまり興味がないわ、、、。」

、、、この一言で、シードル造りを辞めようとしていたフランツ(父親にとっては重い一言ですよね、、汗)

しかし今回は違いました。

畑を一緒に歩き、シュトゥルーデルを用意してくれて、一緒に食事に付き合ってくれた彼女。フランツの信念は娘に伝わった、そう確信できる一日でした。

初めは本当に偶然の出会いでしたが、それがきっかけとなり、素晴らしい造り手の未来が少し明るくなった、と思う出来事でした。この時間、空間を共有できたことを、心底嬉しく思います!これから続々とリリースします、フランツのシードルが本当に楽しみです!!

是非ともよろしくお願いいたします~!

並んで歩く父娘、何とも微笑ましい一枚です♪