èVino-ゴリツィア支店

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出会った造り手たちの話やイベントなどなど、、、。

恵まれたヴィンテージに最高のブドウを収穫する。しかし、オレの中では「最高のワイン」じゃない。単純に“良いワイン“止まりだろうね。最高のブドウには「これまで以上の挑戦」をして、はじめて「最高のワイン」になり得る、、、。    だって、その方が面白いだろ?
ジャン=マルコ アントヌーツィ Gian Marco Antonuzi    (Le Coste di Clémentine Bouveron)
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みなさんこんばんわ~!

またまた久しぶりの更新となってしまいました、、汗。

新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、今月は急遽予定が白紙になったり、、、。来月にもイタリアへ造り手に会いに行く予定だったのですが、入国制限や移動制限のためキャンセルせざる負えない状況になってしまいました、、、。

それ以上に、外出制限やイベントの自粛など、もちろん仕方のない事なのかもしれませんが、終わりの見えない閉塞感に、日々悶々としておりますエヴィーノでございます。

更に心配なのは、イタリアでの感染拡大と死者数の増加は本当に辛く、、、心配が募ります。

少しでも早く、状況が回復する事を心の底から祈るばかりです。

 

こうした状況だからこそ、自分のできることを一つずつやっていこう!ということで、前回ご紹介したエミリア=ロマーニャの造り手Koi コイに続いて、4月からリリースします新たな造り手「Erioli エリオーリ」、ジョルジョ エリオーリをご紹介させていただきます!

 

Koiのフラヴィオの元を訪問した後、フラヴィオから「ぜひ行ってほしいワイナリーがあるんだ!」と言われ、今回訪問することになりました。場所はモデナからボローニャ方面に車で30分ほど、ヴァルサモッジャの町。Koiの当主であるフラヴィオの実家がある町です。

 

街道沿いにポツンとありますが、ありがちな看板なので、教えてもらわないと絶対に通り過ぎちゃいますw

 

彼がこのワイナリーの当主である、ジョルジョ エリオーリ。スミマセン、今回も全然写真を撮っていなくて、、泣。

直接会うのは初めてですが、実は7年ほど前に、偶然ですが彼の事が書かれた記事を読んだことがありまして、、。まさか本人と会う日が来るとは、思いもしませんでした、、汗。

 

この土地と畑は彼の母の家族が持っていた土地だそうで、ずっとこの土地に住み続けている家族でもあります。ワイナリーとして登録されたのは1933年、彼のお爺さんが始めたそうで、今は孫であるジョルジョが受け継いで運営しております、、。といってもほぼすべての作業は彼と、彼の父二人で行っています。

「若い時はワイン造りにはあまり興味が持てなくて、画に没頭していたんだ。母から受け継いだのか、昔から絵をかくのが好きでね。」部屋には油絵や水彩画、いろんなタッチや手法で描かれた絵が沢山ありました。

 

畑は2.5ha、すぐ横にはサモッジャ川が流れており、土壌は川によって運ばれてきた砂や砂利を含んだ複雑に入り混じった堆積土壌。ジョルジョ曰く「ボルドーやナパヴァレーと同じ地質環境といってもいいだろ(笑)?」この人いったいどこまで本気なんだろう?なんて思っていましたが、畑を見せてもらえば歴然でした!!

スパリエッラという高い仕立てのピニョレット。かなりのび放題なので、どれがブドウ樹と他の草木が一体化したブドウ畑。かろうじてワイヤーが見えるでしょうか?

 

父から畑を引き継いで、栽培とワイン造りを始めたジョルジョ。初めから農薬や肥料を使う前提の近代的な農業が好きにはなれず、父と2人で有機的なブドウ栽培を続けてきました。

「2000年に入ってからは最低限のボルドー液しか使わないようにしたんだけど、このボルドー液さえもできることなら使いたくないと思っていたんだ。徐々に使用回数を減らして、銅と硫黄はこの10年で年2~3回の散布にまで落とすことができたんだ。」、そして樹齢の一番古い区画のピニョレットについては、昨年は実験で1度も散布をしないで収穫をすることができたといいます。

 

ブドウの栽培について最も優先していることは、「ブドウ樹と土地の相性」。ジョルジョ曰く、「イタリアでは各地域に昔から残るブドウ、土地で長く栽培されてきたブドウがある。ここでいえばピニョレットやアルバーナ、すでに絶滅しかけているアリオンサやネグレット。モデナで言えばトレッビアーノ モデネーゼやランブルスコ ソルバーラ、、。ただそれは、単純にその土地にあった訳ではないんだ。各地の気候環境や地質によって作られる食物は違うし、その食物によって伝統料理が生まれている。ブドウ樹についても全く同じことが起きてきた。その土地の環境に適したブドウ、、、栽培しやすいという意味ではなく、そこの環境で高品質な収穫ができるブドウが、昔から尊重され残されてきたはずなんだ。ボローニャやこのあたりの平地では、暑さと湿度が大きな問題だった。だからその暑さにも負けない酸を持ったブドウ、豊かな土壌でも結実の少ないブドウ樹、糖度が上がりすぎないブドウだからこそ、時間をかけて成熟させることができた。その流れに従えば、必然的に農薬や肥料を使う必要はなくなると思わないか?」

 

高さが2メートル以上の古いスパリエッラ仕立て。ここはジョルジョの父が植えた区画で、この年は一度も同と硫黄を散布しなかったといいます。「2019年は気候的にもとても恵まれていたからね」、と語る彼。

 

しかし、これほどうっそうと草木が茂っていて、なぜカビや病気などの問題が起きないの?

単純に疑問ですよね、、(笑)。

「自然の森は誰も手入れをしていないだろ?日当たりのない場所も多いし、湿度もたまる。でも樹木が病気になって、森が消滅したりするかい?それは多種多様な樹木や植物がそれぞれ適したところにあり、共存することで土地のバランスをとっているからなんだ。すべてが勝手に生えているように見えて、本当はそれぞれの地勢や環境のバランスの元成り立っている。だから、その考え方を自分のブドウ畑に持ち込むことで、樹のバランスを大きく崩すことはなくなるし、剪定や雑草刈りを行う必要もなくなる。」

あまりにも突飛な考え方にもとれますが、彼の考えている農業へ携わるフィロソフィ、、、ブドウ樹との接し方、畑での仕事への心構えとでもいうのでしょうか?ブドウ栽培のみの知識や技術に限られたものではなく、もっと大きな枠といいましょうか、環境を整えることの重要性を見ているのだと思います。

 

コッリ ボロニェーズィと呼ばれるこの地域、今は国際品種が主流となっていて、DOCの登録ブドウ9種類のうち、6種類はフランス系品種になっているという現実。ではこの土地に地品種がなかったのか?いやいやもちろんありました、ただ元来あったはずの地品種はもう栽培されなくなってしまいました。「今栽培しているアリオンサや、ネグレットは古くはこの土地で栽培されてきたブドウ。でも収穫量や効率的な栽培、さらには売るときにお金になるブドウ(売りやすいもの)を栽培する、そうした流れになったのが1970年代、、。収穫量の少ないアリオンサや糖度の上がりにくいネグレットはその流れに合わなかったため、栽培していた農家のほとんどが、需要の上がっていた国際品種に植え替えてしまったのさ、、。」

 

あと10日程度で収穫かな?という白ブドウのアリオンサ。黄色みがかっていてばらけた長い房、酸が高く果皮が取っても厚いブドウです。

 

収穫の時期は驚くほど遅く、、、。このあたりのワイナリーは平地で気温が高いこともあり、近年は8月中、9月初めには収穫を終えているのが一般的なのですが、ジョルジョは「一番初めに収穫するのはアリオンサで早くても9月中旬くらい。さらに驚くのはピニョレットやネグレット、さらにはカベルネ・メルローまでも10月下旬まで収穫を行わないといいます。果皮の完熟はもちろん、一番大切にしているのは種子の完熟だと話すジョルジョ。当然ながら収穫量は少なくなります。

2.5haの畑から、毎年10000本程度のボトル詰め、、。さらには自分で納得できなかった年はボトル詰めさえも行わないというこだわり、、汗。

 

そして、彼の家に戻り早速試飲させてもらいました、、、

スミマセン~今回初めての訪問だったのと、あまりの衝撃で写真をろくに撮らなかったため、、あまりいい写真がありません、、。ただ、、うちの事をご存じな皆様には言うまでもないですが、、。今回もなかなか独創的なエチケットですよね、、、汗。一つだけ、言わせてもらえるならば、「大切なのは中身!見た目で選んでるわけじゃないんです!!」といいたい、、泣。

 

現在はスティルワインが4種類と、瓶内2次醗酵のスプマンテを3種類造っているそうなんですが、訪問した時期にはまだスプマンテはできておらず、4種類の試飲となりました。

左上のアリオンサで造る白、マルヴェッツァはまだボトリングして日が浅かったこともあり、切り立った酸と香りがとても個性的な白でした。

そして、彼のピニョレットをグラスに注いでもらった瞬間、その香りと深さに衝撃を覚えたのを今でも覚えています。ピニョレットというブドウ、ワインについては僕自身、そこまで飲んだ経験や知識はなかったのですが、地域的な特徴やワイン造りを考えて、それほどすごいポテンシャルを秘めたブドウだとはあまり考えたことがなく、、、汗。彼のピニョレットに感じる果実的な豊かさはもちろんなのですが、その果実味だけでは言い表せない複雑な味わいと香り、そして何よりあふれ出る熟成香に驚かされました。

よく見てみるとヴィンテージは2013年!何故こんな古いヴィンテージを飲ませるの?という問いに対し彼は、「このヴィンテージ2013が今年のリリースだからさ!」と一言、、、汗。正直信じられないという僕の態度に彼は「ピニョレットの本当の姿は熟成した時に現れるんだ。10年熟成したピニョレットはもう本当に素晴らしいんだ。」

今はピニョレットを収穫からリリースするまで約6年の歳月を費やしているジョルジョ、、、。ただただ驚かされるとともに、そのワインの素晴らしい味わいに衝撃を受けました。しかしながらワインの名前は「Grechetto Gentileグレケット ジェンティーレ」、残念ながらDOCの認証を取っていないためピニョレットと名乗ることができず、別の呼び名であるグレケットの名前となっているのだとか。「ピニョレットという名はこの土地を表す唯一の名前で、今のDOCでは認証を取っていないと名乗ることができなくなっているのさ。もちろん申請はしたのだけれど、官能検査で落とされてしまったんだ、、。だってそうだろ?俺のワイン以外はみんな2017年、2018年の若すぎるピニョレットばかり、、。そこにこのワインが混ざっていたら、香りや味わいが違いすぎるからね、、。残念だけど仕方がないよ。」そう笑うジョルジョ。

10月下旬まで樹上にて成熟させたピニョレットを果皮と共に醗酵が始まるのを待ち、圧搾して醗酵が終わった後、ボトル詰めの直前までオリと共に、いわゆるシュール・リーの状態で熟成を行います。オリの上で熟成をすることは、オリからの味わいや旨みをワインに戻すこと。オリの持つ味わいや複雑味、いわゆる「幅のあるワイン」になるのですが、それ以上にオリからくるネガティヴな香りや味わいがワインに移りやすく、あまりにも長いシュール・リーはとてもリスクが高いものです。ジョルジョ曰く「それは触れているオリに問題があるからで、健全でキレイなオリであれば、そういったネガティヴさを恐れることはない、むしろオリがあることで、ワインを酸化から守ってくれるんだ。そうすればSO2の添加を抑えることもできる。」

シュール・リー状態で3年以上、途中オリ引きを行うことなく熟成を遂げたという驚きのピニョレット。名前が名乗れないのはとても残念ですが、間違いなく最高のピニョレットだと思います!この「名前が名乗れないことに対してジョルジョの言った言葉が忘れられません。

「オレはこの造り方がこの土地、ブドウに対して最も適していると信じているし、その味わいは自分が一番好きだ。それは画を描いたり、詩を書いたりする事と全く同じで、自分がいいと思ったものを造る。それがDOCを通らなかったり、世間的に受け入れられなかったりすることは大した問題じゃない。それよりも自分が納得できるものを造ることの方が大切だと思うんだ。」

これほどのワインを造り、そのために十分な時間を費やし、そして確固たる哲学を持つジョルジョ、、、本当に驚かされました。

カベルネ ソーヴィニヨンとメルローで造られている、ロッソ エミリア”サモディア”。凄まじい果実の熟度の高さと酸のバランス、これほどのカベルネを飲む機会がどれだけあるんだろう?と悩んでしまうほどの味わい、、汗。

「日照も気温も高いボローニャでは、納得のいくクオリティのカベルネは収穫できないと思ってきた。しかし、最大限の労働と手間・時間を費やすことで、ある程度自分の納得できるブドウを収穫することはできるのではないか?」、そう話す彼。10月下旬まで樹上で成熟させた、房からこぼれ落ちそうな完熟を見せるカベルネ ソーヴィニヨン。メルローはカベルネよりも10日ほど早くピークを迎えるのですが、カベルネの熟成を待つ(一緒に収穫・醸造するため)ので、そのまま樹上で追熟させるとの事。収穫した2つのブドウは長い時間をかけて果皮から完全抽出。高熟度の果皮からはカベルネの持つネガティヴさや青さを一切感じません。それほどの熟度と糖分を持っているにもかかわらず、酸がしっかりと残りワイン全体のバランスを保っている、、酸を失わないことが不思議でなりません。

そして、今は失われた地品種であるネグレット100%のワイン「マイヨルス」アリオンサと同じく独創的な香りと果実味、そして芯のある酸を持ったブドウ。猛暑の年でも糖度が上がりすぎない、絶対的なバランス感。そして高い酸と強い色素は、ワイン自体のもつ酸化耐性にもなる言う彼。収穫からボトル詰めまで、ほとんどSO2の添加を行わないという話に衝撃を覚えます。詰まった濃密な果実味は、剛健な酸によって非常に軽やか、そして広がる果実由来の様々な香りと、甘みを感じるほどに熟れたタンニン。とても興味深いブドウであり、このように個性を尊重した造りに、改めて驚かされるワインだと思います。

 

という訳で、久しぶりに鳥肌が立つほどの衝撃を受けた造り手、エリオーリ。

みなさんに飲んでもらうのが楽しみでなりません!もちろん不安な部分もありますが、、汗)

ぜひともよろしくお願いいたします~!