èVino-ゴリツィア支店

èVino-ゴリツィア支店

出会った造り手たちの話やイベントなどなど、、、。

恵まれたヴィンテージに最高のブドウを収穫する。しかし、オレの中では「最高のワイン」じゃない。単純に“良いワイン“止まりだろうね。最高のブドウには「これまで以上の挑戦」をして、はじめて「最高のワイン」になり得る、、、。    だって、その方が面白いだろ?
ジャン=マルコ アントヌーツィ Gian Marco Antonuzi    (Le Coste di Clémentine Bouveron)

皆さんこんばんわ~!

 

前回久しぶりに造り手紹介を更新させていただきました!

が、実はもう一人、先に紹介しなければいけない人がおりまして、、、。

昨年春に初めて訪問してから、もう2回も行っているのに、何一つブログでご紹介しておりませんでした、、汗。

 

という事で、昨年よりお付き合いさせていただいております造り手、La Cascinettaラ カッシネッタをご紹介させていただきます!

 

初めて訪問したのは昨年の春のことでした、、。

ピエモンテ州アスティの北東に位置するヴィアリージの町。ジャンカルロの家族は、元々はトリノに住んでいました。元来農業を行っていませんでしたが、両親と共に将来的にブドウ畑を持ち、農業を営みたいと考えていたといいます。

 

子どもの頃から空手をやってきたというジャンカルロ、どこかで日本と縁を感じちゃいます。

 

ヴィアリージの郊外にあるブドウ畑、そして畑の横に建つ家(La Cascinetta)を手に入れたのが2007年。畑は約3haあったものの、長期間放置されていたため、元々植わっていたブドウはひどい状態、、。そこで一度畑をキレイにしてから、2009年に新しく植樹しました。

2022.11月、ルケの畑。収穫後でブドウはありませんでした。これから休眠に入るブドウ樹

 

2022.3月、隣の耕作地の表土の色が違うのが良くわかる写真です。

彼の畑の周り、土壌の色が場所によって違うのは、土壌自体が複雑に混ざり合ってるから、そう話すジャンカルロ。基本的に粘土と石灰が強く、場所によって赤土やマール、砂が入り混じる土地。

 

2022年秋、収穫が終わった後の畑。2022は醗酵が長引きすぎて、緑肥を入れられなかったと話すジャンカルロ。

 

畑はルケが中心で2ha、バルベーラとグリニョリーノが0.5haずつ。今年ようやくバルベーラをご紹介できましたが、実はまだグリニョリーノがもらえていません、、、汗。

ワイン造り、、というよりも農業自体未経験だったジャンカルロ、栽培については近所のブドウ農家に教えてもらい、ワイン造りについては専門のエノロゴ(醸造家)に頼んでいたといいます。

 

はじめは何もわからなかったから、専門家の意見に従いながら畑作業、ワイン造りを行ってきたけれど、そうしてできたワインを飲んで、、、、何一つ自分の「ブドウ畑」を感じられなかったんだ、、。そう話すジャンカルロ。

植樹をして3年間まち、2013年よりワイン造りを始めた彼。エノロゴやアグロノモの言いつけ通りブドウを収穫、醸造するなかで、彼なりに感じていた違和感、、「どうしてこれをしてはいけないのか?なぜこうしないのか?そうした疑問があふれた結果、彼らに頼むことなく、自分でワイン造りを始めてたね、、w」そう笑うジャンカルロ。

2015年まではエノロゴに造ってもらってましたが、2016年から自身で醸造も始めるようになりました。彼が最も感じていたこと、したかったことは「この土地、自分の畑らしさを感じられるワインが造りたい」というものでした。

そこで彼が注力したのが、土地の地力を高める事、そ収穫量を抑えて凝縮したブドウを目指すこと、そして、樹上で完熟を最大限待ち完熟したブドウを収穫する事、と言います。

 

「とは言っても、初めは一体どうしたらいいのかわからなかったから、緑肥の回数や時期はこれまでの経験を参考にしながら試行錯誤、、、。収穫量も手探りで、落とし過ぎてしまうと年によっては病気や雹の影響でほとんど収穫できない年もあったりしてさ、、、。収穫時期も手探りなんだけど、糖度を図って入るけどなるべく遅らせたいから、だいたいいつも周辺の農家の収穫が終わってから、1週間~10日遅らせてから収穫するようにしてる。」とのジャンカルロ、、、。なかなかどうして手探り感が半端ではありません、、、汗。

 

それでも彼は言います。「自分がしたかったのはお金を稼ぐことじゃない。もちろん生きていくために必要な分はあるけど、それよりも品質のあるものを造っていきたい。」

 

経験値はなくとも、自身が進みたい方向をはっきりと見据えている彼。ワインにブレがない、明確さがあるのは、やはり彼の性格によるものなんだと確信できます。

 

 

上記のような理由もありまして、、汗。生産量の一番多いルケ以外、年によっては全く造ることが出来なかったり、、、。昨年もグリニョリーノは雹の影響もあって、僅か120Lしかない、、というので(汗)。さすがにちょうだい!とは言えませんでした。

カンティーナ、、と言ってもあるのはたった3つのタンクだけ、、。あまりに質素で小さなカンティーナ(汗)。醸造についても非常にシンプル。ブドウの糖度だけではなく完熟を待ってから収穫したブドウを、除梗してこのタンクの中で果皮と共に醗酵。期間はルケで2週間以上、バルベーラやグリニョリーノは4週間以上行います。

 

特に糖度が高いルケは、アルコールが15%を軽く越えるヴィンテージも少なくない。年によっては16%に届くヴィンテージも、、(驚)。しかし、ワインにはそれほどのアルコールを感じません、、むしろルケの溢れんばかりの香りが湧き上がってくる、、。ホント、香りの爆弾のようなワインです!

 

現在3haのブドウ畑で、約500~8000本という生産量、、、。少なすぎる(驚)、でもその少ない生産量=選別し凝縮したブドウだからこそ彼のルケには素晴らしい表現力がある、、そう感じずにはいられません。

カンティーナでも、セメントタンクや熟成に使う木樽、特に大樽を取り入れたいと目標を語るジャンカルロ。でも大樽を使うには、中身を埋めるだけのワインが無いとね、、(笑)。

 

そしてジャンカルロ、これは今現在も変わらないそうなんですが、醗酵が終わったワインは圧搾し、オリ引きを行った後、半年や1年くらいは手を加えない(ゆっくり熟成)のが一般的なんですが、、「ワインを造ってきた中で、タンクの中でなんかワインが汚れていくような香り、感覚がするんだ。だからそれを感じたときは必ずオリ引きをしてる、、」、と話すジャンカルロ。

 

確かにタンクの中で熟成していく過程で、液体の中で酵母や果皮の破片、色素など、役目を終えたモノたちが固形物となり、タンクの底に沈んでいきます。それがオリとしてタンクの底に溜まるんですが、一般的には6カ月~12カ月に1度くらい。ごくたまにしか行わないものなのですが、詳しく聞いてみるとなんと多い時は月に1度、それを1年間ほど続けているのだそうです、、(驚)。

 

ざっくり合計すると1年間で12回、、、。それはいくらなんでも多すぎるんじゃ、、汗。あまり多いとワインが空気に触れすぎて「酸化」のリスクを心配してしまいますが、彼のワインからはそうしたネガティヴな印象はほとんど感じません、、。この辺りについては、今後もう少し詳しく聞いていきたいですね!

 

オレはVinaiolo(ヴィナイオーロ=ワイン生産者)じゃない、Travasatore(トラバザトーレ=オリ引きする人)だ!と笑うジャンカルロ、気が付けば3時間以上一所に試飲してしまいました。

 

アルコールを感じない、、とは言ってもそこはやはり16%近いルケを飲み続け、みんなだいぶ泥酔して帰ったのをよく覚えています(笑)。

 

経験値は浅く、本当にまだこれから!という造り手ラ カッシネッタ。しかし造り手ジャンカルロのこだわりと、固定観念に左右されないトラバザトーレ(笑)というほどの、自分の信念を持ったワイン。これからのリリースが非常に楽しみな造り手!今年もこれから訪問予定ですので、再開と共に彼と話すのが楽しみでなりません!

 

ご紹介が遅くなって申し訳ありませんが、La Cascinettaラ カッシネッタ、皆様どうぞよろしくお願いいたします。