先日、席替えをした。
なんと、好きな人の後ろの席になった。その人が席に座ったり少し動いたりする度にいい香りが漂ってくる。
今は現代文の授業中。私は眠くて仕方ないが、由依にちょっかいをかけたくなってきた。
ボールペンを持って背中にスーーッとしてみる。
ビクッとしてる。可愛い。怒ったか?ちょっと震えてる。
もう一回やってみる。
ほらまたビクッと反応した。背中弱いのか。
由依は成績優秀だし真面目だから絶対こっち見てこないから、もっと色んなことしたらどんな反応するのか気になる。
40人近く入っている教室は狭いもんで前後左右の間隔が狭いから暑苦しい。
由依の背中をツンツンしながら、ふと窓の外を見ると雲行きが怪しくなっている。一応傘持ってきたからまあいいか。
やっぱ眠い。終わるまで寝ようかな。
勉強嫌いな私は机に伏せた。
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『渡邉』
『渡邉理佐!』
うるさいなと顔を上げると目の前に頭にツノが生えた鬼のような形相をした教師が立っていた。
『はぁ。ちゃんと授業に参加しなさい』
呆れながらそう言ってくる。
『この間の中間試験の点数みんなの前で言いましょうか?』
『15点だなんてあり得ない。何をしてたらそんな点数になるのですか?』
みんなに言うって言う前に自分から言ってんじゃん。
クスクスと笑い声が聞こえる。
前を見ると由依も笑っているように見える。
好きな人に笑われた私は恥ずかしくなり身体が熱くなった。
恥をかかせてきた教師のことも嫌いになった。
授業が終わり清掃の時間になった。
由依「変なことしてこないでよ」
理佐「ビクビクしてたじゃん可愛かったよ」
由依「はあ?人にちょっかいばっかして授業すっぽかしてるから15点取るんだよ?」
理佐「ごめんって」
由依「ちょっ、触らないで。きもっ」
理佐「ツンツンしないのー」
由依「もういい。掃除して」
なんかやっぱ弄りがいがあるんだよな。
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清掃が終わり今日は部活がない日のためそのまま帰ることにした。
しかしタイミングが悪くちょうど雨が降ってきた。
昇降口を出ると困ってそうな子がいた。
理佐「どうしましたか」
『傘忘れちゃって』
理佐「家どっちの方面ですか」
『あっちの方です』
理佐「じゃあ同じだ。傘持ってるのでよかったら一緒に帰りましょう」
『え、いいんですか?』
理佐「はい」
『ありがとうございます!』
そのまま二人で学校を出た。
理佐「何年生の方ですか?私は二年です」
『一年生です!』
理佐「そうなのか。学校生活慣れた?」
『ぼちぼちです』
理佐「部活は?」
『ダンス部入ってます!』
理佐「へえすごいね」
「あ、車道側歩くよ」
『え、すみません。ありがとうございます』
『あの...』
理佐「ん?」
その子に腕を組まれた。
『ダメ、ですか?』
理佐「んまあいいよ」
いきなり何でだ?まあいっか。
そのまま歩き続け送り届けた。
『ありがとうございました!』
理佐「いいえ。お疲れ」
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翌日教室に入り席に着くと、由依が振り返ってきた。
由依「ねえ」
なんかすごく怒ってそうなんですけど。
理佐「おはよ。どうした」
由依「付き合ってる人いるの」
理佐「え?」
「いないけどなんで?」
由依「昨日一つの傘に二人で入って腕組んでた」
理佐「見てたの?あれは帰ろうとした時に昇降口で傘忘れちゃって困ってた子がいたから声かけて、たまたま帰る方向が同じだったからだよ」
「何?笑」
もしかして嫉妬してるのか?笑
そうだったら可愛すぎるんだけど。
由依「そか。何でもない」
理佐「何にもなかったら声かけてこないでしょ」
由依「うるさい」
由依は前を向いてしまった。
なんか機嫌悪そうだし今日はイタズラするのやめとこう。
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放課後
由依「今日は意地悪してこなかったんだね」
理佐「なんとなく」
「して欲しかった?」
由依「別に」
理佐「何そんな怒ってるのさ」
由依「怒ってない」
「今日部活は」
理佐「めんどくさいからサボる」
由依「そ」
理佐「もしかして一緒に帰りたい感じ?」
由依「悪い?」
理佐「嬉しいよ。でも何で?」
由依「別に何でもいいでしょ」
理佐「はいはい」
今日は雨は降っていない。
二人で横に並んで歩いている。
ジッと顔を見ると怒られそうなのでチラチラと見てるがやっぱ可愛いな。
由依「ねえ」
理佐「ん?」
「え、」
由依「いいでしょ」
腕を組んできた。
ドキドキ止まんない。
やっぱ昨日のこと気にしてたのか。
由依って私のこと...
理佐「由依、好きだよ」
「...あ」
しまった。心の声がつい出てしまった。
由依の方を見ると顔を真っ赤にして俯いている。
由依「な、何なの!本当調子狂う」
理佐「いや、」
由依「もう帰る!」
理佐「あちょっと待って」
先に行かれてしまった。
でも少しだけ由依の私に対する気持ちが分かった気がする。
青春ってこういうものなのか。
振り向いてもらえるように頑張ろう。
fin