歩くこと約2キロ、小松島駅跡は公園になっていた。一角にC12形蒸気機関車と、旧型客車に模すためか青く塗られた50系客車が鎮座している。「やっぱり50系は真っ赤がいいなあ…」などとボヤキつつ、例によって室内を観察。すると掃除のおばさんから声をかけられる。「不審者じゃないよぉ」と内心思いつつ振り向けば、ニコニコしながら立ってらっしゃる。聞けばこの人、公園や遊歩道に訪れる人達とおしゃべりするのが趣味らしく、小松島駅の思い出から始まり身の上話や近所の見所など沢山話してくれた。最後に「いつもゴミ拾い、大変ですね」と言うと「ゴミを捨てる人がおるから私も仕事して小遣いもらえるんよ。そう考えると腹立たんし、こうやっていろんな人と知り合いになれる。毎日楽しいよー」なんというポジティブシンキング、見習わなきゃ。因みにその先の小松島港仮乗降場は、跡形もなかった。新しい港の無機質さが小松島線の夢の跡の侘びしさを、一層引き立てているようだった。
そこから牟岐線に引き返し、徳島から待望の特急に乗車。今日から3日間は「バースデーきっぷ」を使うため、特急乗り放題なのである。徳島から「剣山」に乗って徳島県最奥の街、池田(三好市)へ。時折吉野川に沿って、一時間強で着く。そこから土讃線の特急「南風」で高知に向かう。吉野川とその支流穴内川の刻むV字谷の底を、うねるようにレールが続く。2000形気動車はここぞとばかりにエンジンを唸らせ、車体をグンと傾けながら、駆け抜けていく。あっそう「南風」はグリーン車なのだった。ゆったりしてリクライニングもよく倒れる。これならよく眠れそう…って、寝てはいけない。ここは渓谷美をしっかり見とかなきゃ。しかし悲しいことにクローバー座席は渓谷の反対側。仕方なくデッキで立ち尽くし風景を堪能する。結局高知までは立ってる時間の方が長かったような気がする(笑)
鉄橋の中にホームがある土佐北川駅、スイッチバックの新改駅をあっという間に通り過ぎ、特急列車は高知平野へと駆け下りてゆく。