恋は二度目のアネモネ -30ページ目

相も変わらず、
緑のランプは点いたまま。
チカチカ、臨戦態勢。
混じり気のない悪意と愛が、
混在しながらわたしを満たすの。
溺れない。
満たされた水の中で自由に泳ぐのだ。
わたしには、他人も世間も関係がないし。
揺らいだら揺らぐまま、
安定しなくても誰も困らないから、
そのとき、心がどんな形をしているかで
生き方を決めていけるの。
右も左も、
大して変わらないかもしれないけれど。

難しいことはさておいて、
夜と悪を楽しもう。
薄っぺらい言葉遊びをしようではないか。

ロマンチックじゃない人生なんて!









あぁ
浮かばない。
気持ちがフラットになったら途端にこれだ。
もっとゆらゆら
いや、ぐらぐら!
していなくちゃだめなのだ。
言葉の上を歩くように生きているのに、
それも停滞してしまったら、
いったい何に足をつけて生きてゆけばいいの。
地地地!
正解は地です!
なんて。
ブブー、だ。
不正解。
そして不信感。
足をつけられるような地があるというなら、
見せてみろというのだ。



あー
幽霊船でゆらゆら
耐震偽装でぐらぐら。
絵にならないわたしなの。
言葉の上ときみの上でゆれてるときが
もっとも現実感があったのよ。

キュルキュル
巻き戻したい。
記憶も時間も。
いいとこばっかり、
何度もリピートしたい。
でも、
これから起きることだって楽しみなの。
わくわくする。
まだ出会ってない誰かと、
まだ気づいてない何かに。

でもほんとうは、
きみをもう一度、夢中にさせたい。
一緒に愉しく遊びたいだけなの。
肌の表面で忘れない海馬が、にくらしい。
純情。










1人になりたい夜に限って、
羽毛布団のように優しい人がいる。

ふんわりと
つららを溶かす温度。
だからわたしは
歌いたくもない歌を口ずさんでしまうのだ。
ときどきは、
ときめきたい。
あなたにも。
余所者の顔をして、
人間ではなく、
単なる異性でいてほしいのよ。


口ずさむ。
本当に歌いたい歌は、
もう誰かが高らかに歌ってしまっている。

口ずさむ。
口ずさむのは、
旋律のないソネットだ。

背骨の階段を
冬がのぼってくる。

そんなような。


幻の中にいさせて。
夜が明けてもずっと。
馬鹿げていて、曖昧な幻が、
この世でいちばん欲しいものなの。










感情がまだ熱を持ったまま、
突然理性に放りだされてしまったから、
名前のない気持ちを持て余してしまってる。
きみのちょっとした変化も、
ちゃんと気づいていたけど、
もういいの。

あなたにもう一回恋できたらなあ。
なんで自分の分泌物さえも、
思い通りにできないの。
体って誰のものなの。
何のためのわたしなの。

体が泣くから、
悲しくなるのかな。
逆じゃなくって?
世界はいつも曖昧模糊。


知り合おう。
一刻も早くさあ。
わたしたちには時間がない。
そのためには勇気とお金と美貌が必要だ。
どうしよう。
なにひとつない!

だからいつも
行き当たりばったりなのだ。

バッタリ。




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5つまでしかつけられない星を、
連打したくなるほどにいい小説だった。
さすが西加奈子。
文字で人を号泣させるなんて神業だ。
人物も感情も鮮やかに心に浮かんで、
好きな人に好きと言いたくなる。
今すぐに抱きしめたくなる。
人間がそんなものを作れるなんてすごすぎる。



すてきなものや
面白いものを読んだり観たりしたら、
急激に冷静になった。
冷えた頭が理解した。
我にかえる。
かえりたくなどなかったが、かえる。
仕方ないね。
さようなら!
だけど、もっともっと重ねよう。
経験と感情が大切だ。


人生の醍醐味は恋だと思っているけれど、
恋はうたかた。
幻の満月だ。
月並みな台詞と体だけなら、
いつまでも妄想の真夜中で呼吸をしていられたのかしら。 
だけど唐突に理解する。
気づいてしまう。
2人はふたり。
わたしが好きなのは、
わたしが創作した、
わたしの中のきみ。
わたしが書いた登場人物としてのきみ。
あなたはちがう。
言葉をこえて、そこにいる。
どうしたって誰も、
あなたには、かなわないの。


料理をしよう
お酒をのもう
読書をしよう
あなたを待とう

美しい夜が、やってきた。