リンリン
電話をかけたい
誰かに。
夜通しおしゃべりしたい気分だ。
野暮な朝日に見つけられないうちに さ。
リンリンリン
コール三回で、今なら出るから。
ねえ
急にわたしを欲しくなってよ。
今といったら今だよ。一秒後じゃだめなの。
女の心は、一瞬と永遠の間をつねにぐらぐらしてるんだからさあ。
安いワインをいくら呑んだって足りない。
もっと酔っていたいっていつも思う。
生態として
男よりも女のほうが面白いのだ。
どろりと粘着質でもあるし、ハサミでパチンと切ったみたいでもある。
シンプルなものは美しいけど、奥行きがないのも確かだ。
女は決してシンプルな生き物ではない。
そして美しくない女なんていないんだ。
のどをとおって、胃ではないどこかへ落ちてゆく一滴一滴が、
世界を少しずつでも変えてしまうのは不思議なことだね。
人間なんてとても胡乱な生き物なんだ。
むかし、
大学生のころ、
卒業間近に友達と2人で作った、手紙っていう曲がある。
友達が曲でわたしが詞を書いた。
それは、今思い出しても胸が震えるくらいすてきな曲なんだけど、
形にすることなく卒業してしまったんだ。
この世には、形になることもなく終わってしまうすてきなことがいっぱいあるね。
そう
いくら難しい漢字が読めたって、
目の前の人の心が読めないんだったら
そんなの何の意味もないや。
ねね、
そんなあれやこれや
胡乱でとりとめもないことを、
喋って聞いて、ワインと一緒に飲み込んでしまいたい夜なんだ。
